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高校物理は一斉授業じゃない方がいい?

おはこんばんは,こうです。

あっという間に教師3年目になりました。
2年間,今の高校では,物理基礎と物理,化学基礎の授業を持たせてもらい,また長期休業中には物理基礎・物理・数学の講習をもたせてもらいました。

今年度は,2年生の物理基礎と物理が全部で3クラス分,あと3年生の物理が2クラス担当させていただき,生粋の物理屋になりつつあります。

今回は,そんな僕が最近考えている,数学や物理の一斉授業の限界を話そうかと思います。

1.物理の言語は数学である

はじめに,物理という学問について簡単に解説します。物理とは,基本的に「数式」で自然現象を説明します。サイエンスは数学と密接に関わっているのです。
サイエンスの歴史を見るとわかるのですが,高校の物理や化学などで習う法則や公式は,自然界の事象に対して,論理をもって説明をするために,実験をしてその結果から見出されたものです。
その法則を物理では言葉ではなく,数式で表します。

例)温度と質量が一定のとき、気体の圧力 p は体積 V に反比例する
「ボイルの法則」「PV=k(一定)」

つまり,物理の言語は,数学なのです。
これが,物理の難しいところでしょう。言語がわからないと,1度つまずいたら,その先はずっとわからない状態に陥ります。

数学でも,連立方程式の解き方や因数分解の仕方がわからなければ,その先で習う二次関数の解などを求めたりすることはできません。

二次関数の解は,二次方程式を因数分解することで求めることができる。※因数分解が簡単にできない場合は,解の公式を用いるが・・・。

物理も同じです。高校物理は「力学」「熱力学」「波動」「電磁気学」「原子」の大きく5つくらいの単元で構成されています。そして,物理学の基礎が「力学」です。一般に古典力学やニュートン力学ともよばれたりしています。

この「力学」の単元は,そのあとのどの単元でも使う要素がてんこ盛りです。なので力学を制するものこそ,高校物理を制するのです。

しかし,高校で物理を習うと,大体この力学の「物体の射法投射」や「運動方程式」で躓きます。

なぜか。

それは,公式を丸暗記するからです。物理は(数学もだけど),公式丸暗記では太刀打ちできなくなります。なぜなら,物理は文章問題ばかりだからです。「ん?」ってあまりピンとこない人も多いかもしれません。

2.言語理解能力,イメージ能力,計算能力には個人差がある

実際の問題は,こんな感じです。

2020年度 センター試験 物理 問題 抜粋

めっちゃ文章長いんですね。センター試験から共通テストになって,ほとんどの科目で問題の文章が長くなっているのですが,物理もその煽りを受けています。
なので,こうやった問題文で起こっている物理現象を理解し,イメージできて,与えられた物理量を整理し,ようやくこの現象で成り立つ法則を使えるということです。公式を丸暗記していても,どこでどのように使って良いかを判断する力というものが必要なのですね。

3. 毎年半分くらいの生徒が途中でリタイアする

これは,ひとえに僕の指導量不足なのですが,専門物理クラスだと受験生クラスで毎年20〜30名ほどいるのですが,やはり最後まで受験で物理を使う生徒というのは半分ほど。あとは,途中で理系をやめたり,物理基礎までで受験したりと物理を受験で使うレベルまで到達しなかったのが現実です。

やはり,途中でつまずき,授業で僕が話す言語が理解できなくなると,「物理は嫌いスイッチがONになってしまい,しだいにやる気も失せていくのだな」と感じました。

4. 理想は「公文式」!

本来,理解度に差が出やすい教科(英語や数学)で有効なのは「習熟度別クラス編成」で到達度を個別設定し,一人ひとりに合ったペースで学習させることです。

しかし,僕の高校には十分に物理を指導できる教員が僕しかいません。なので,今試作中なのが「公文式物理塾」です!

ねらいは「習熟度別クラス編成」と同じで,到達度を個別設定し,個別学習をさせること。そして,それが一番できるのが公文式だと考えました。(僕も中学校まで公文式をやっていました笑)

方法①苦手生徒編
授業のワークシート(パワポレジュメ)に穴埋め or メモ欄を作り,授業の振り返り動画を作成。物理に苦手意識を持つ生徒は,その課題にとりくむ(Google Classroomで課題配信)。問題演習の解答解説動画も用意。YouTubeでの限定公開でいつでも見返し可能。確認テストをGoogleフォームで配信し,修得レベルをチェックする。
※学校授業中の視聴も許可。もちろん相互での教え合いも許可。

方法②得意生徒編
演習問題には解答解説をつける。確認テストをGoogleフォームで配信し,修得レベルをチェックする。修得レベルをクリアで次のレベルの問題へ挑戦。
※<レベル構成>公式活用→基礎→標準→共通テストレベル→国公立二次レベル

5.習熟度別に進めれば,教科書が一瞬で終わり,実験をたくさんできる

こんな感じで,RPGのようにGOALをたくさん段階的に作ってあげて,自力でロールプレイできるようにすれば楽しく物理の問題も解いてくれると,妄想しています。

また,これをすると,結構教科書が早く終わることができそうです。今までは,テスト前や単元の終わりに,苦手生徒のために結構足踏みして演習時間を長めに撮っていたのですが,全ての授業で個別学習を導入することで,確認テストのできやクリアマップの進捗状況で,生徒の到達度を毎回チェックすることができそうです。

空いた時間では,実験を効果的に入れて,思考力も伸ばしていきたいな。

てなわけで,さっそくGWで準備して,GW明けに実装する予定なので,実践事例を楽しみにしていてください。


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