【着物コラム】中国で感じた、社会とファッションの関係
こんにちは、着物コーディネーターさとです。
先日、上海で着物のイベントを企画・主催しました。
現地の女の子が漢服や着物、
はたまたチーパオ(チャイナドレス)で遊びに来てくれました。
また、モンゴル民族、ミャオ族などの少数民族の女の子と話したり、
お茶菓子にしたチーズアーモンドおかきが大好評だったり、笑
貴重な経験をさせて頂きました。
中国に着物で行って、
歓迎していただけるのは当たり前の事ではないですし、
初渡航で自主企画イベントなんて、我ながら無謀な事をしました。笑
私を暖かく迎えて下さった皆様に本当に感謝しています。
また、現地に来られずとも、
たくさんの方にご協力・応援していただきました。
本当にありがとうございました。
中国ではたくさんの学びを得ました。
「中国と日本ではファッションの自由の方向性が違う」
という事もその中の一つです。
今日は私が感じた中国のファッション観と社会の繋がりについて書きたいと思います。
「やる自由」と「やらない自由」
滞在中はベットタウンが近所にあるホテルに宿泊したので、
上海の人の日常的な様子も垣間見ることが出来ました。
早朝から公園に大集合して太極拳をする中高年層とか。笑
訳もなく路上にたむろして煙草を吸う悪そうなあんちゃんとか。笑
そして、上海の街を行き交う「普通の女の子」の多くはノーメイク、
もしくはナチュラルメイクでした。
個人的な感覚ですが、
日本は「化粧=マナー」という風潮が強いと思っています。
「すっぴんで外出する=だらしない」というような感覚を持つ日本女性は意外に多いと思います。
上海ではホテルの受付の女性もナチュラルメイクで制服という出で立ちでしたし、
ホテル周辺で食事をしていても、周囲の女性はほぼ全員がすっぴんでした。
フルメイクでフル装備だなぁ、という女性を見かけたのは地下鉄や特急電車のみです。
イベントに来てくれた女の子達とは、
「普段は着物や漢服は家の中でしか着ない」
「日本の女の子は自由に着飾れて羨ましい」
という話題にもなりました。
この辺の事情は以前のコラムでも書いたので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。
ファッションやヘアメイクに関して言えば、
中国では「やらない自由」があり、日本には「やる自由」がある
と言っても良いと私は感じました。
「選択の自由」とは何か
上海の様子を見て改めて感じたのは、
この自由の方向性の違いは、社会の違いであって、
日本と中国のファッション観の違い=社会の違いであるという事。
個人的には、本来であれば「やる自由」も「やらない自由」も、
どちらも自己決定ができて然るべきだ思いますが、
できない・されていないのが現状です。
日本も中国も、その結果が女の子達のファッションという形で現れているという事ですよね。
やはり、ファッションを選択するという事と社会とは、
切っても切れない密接な関係があるという事を再確認した次第です。
ファッションとしての着物とは
私は着物をファッションとして自己選択していますが、
ファッションとしての定着を目指す上で何をしなくてはならないのか、
中国に行った事で少し見えた気がしました。
日本では「やる自由」があると上記で述べましたが、
それでも着物は選択肢にの一つになる機会が少ないです。
どうしてこんなに衰退しているんでしょう?
滅亡を防ぐためにはどうしたら良いでしょう?
ブラックに近い呉服店の営業方針や、
高級服としての付加価値をつけるために作られた、後付けの煩雑なルールは現状のままで良いのでしょうか?
私にはとてもそうは思えません。