034: ラクリモーサ
少し前になるが、秋葉原のコロコロ堂さんでラクリモーサをインスト、遊ばせてもらった。システムは割と堅実的で地味だが豪華なアートワークとコンポーネントが魅力的だったので、ちょっと振り返ってみる。
ゲーム概要
『ラクリモーサ』では、プレイヤーはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの後援者のひとりとなり、未完の鎮魂歌(レクイエム)を完成させるため、資金援助をおこなうことになります。至上の作曲家を見つけ出し、モーツァルトの生涯で最も興味を惹くこととなるその瞬間を思い出して語りましょう。できることは全ておこない、かの天才の最たる後援者(パトロン)として、歴史に足跡を残すのです。(CMON JAPANのHPより引用)
豪華なアートワーク、コンポーネントが美しい!
大きなメインボードには非常に丁寧に書き込まれたアートワークが豪華な雰囲気を醸し出しており美しい♪またダブルレイヤーの個人ボードは使いやすく、とてもテンションが上がってしまった。
メインボード上部には美しい思い出カードと作曲カードが並んでいる。カードにより上や下に少しずらして配置することでコストが変わる仕組みになっているのだが、やや視認性が悪くてよく見ないと間違えてしまう。もうちょっと工夫して欲しかった。
ボード中央部にはヨーロッパ地図が描かれており、巡演することで様々なアクションを行うことができるようになっている。
ボード下部は、このゲームのテーマであるレクイエム作曲エリアとなっており、音符マーカーを置くエリアマジョリティ要素がある。
計画的なカード運用が悩ましく面白い
このゲームのリソースは3種類で個人ボード中央に3つのリソース管理を行うミニトラックが配置されている。モーツァルトの才能、旅、作曲という3種類のストーリーポイントがあるのだが、面白いのはここで管理するリソースはラウンド終了時に0にリセットされてしまうことだ。
つまり、アクションに必要なリソースはそのラウンドの収入時に獲得する必要があり、前のラウンドで個人ボード下側に差し込んだカードが収入となる。次のラウンドも考慮した計画性が求められて、なんとも悩ましい。
思い出カードには上側半分にアクションアイコン、下側半分にリソースが描かれており、手番では個人ボードの上側と下側に1枚ずつカードを差し込む。つまり、このラウンドで行いたいアクションのカードは上側に差し込み、次のラウンドでリソースとして使いたいカードは下側に差し込むわけだ。本当に悩ましく面白い。
また「思い出の記録」アクションでメインボード上部のカードを購入し、デッキの強化ができる。しかしデッキの枚数は9枚固定で個人ボード下側に挿入したカードを1枚交換する必要があり、これまた悩ましい。
「レクイエム」を完成させる!
このゲームの大きなテーマであるモーツァルトの遺作「レクイエム」を完成させることは重要だ。レクイエムは楽章ごとに5つのエリアに分かれており、個人ボード右側にある音符駒を対応する楽器アイコンの場所へコストを払って置く。
この時、補完をお願いする作曲家が2人いる(今回は、8分音符はアイブラー、16分音符はシュタードラー)ため、どちらかを選んで対応する楽譜駒を置くのだが、ゲーム終了時にどちらの作曲家がマジョリティを取っているかで点数が変わってくる。このエリアマジョリティ要素が熱くて面白い!
また支援した作曲家のエリアに対応するタイルが獲得でき、これを個人ボード右側に置くことで永続効果を得ることもあるため重要なアクションとなる。
ヨーロッパ中を巡演して回る
モーツァルトはお金に苦労したそうだが、このゲームでもお金を稼ぐのは容易ではなく、曲を購入して演奏アクションをすることでお金を稼ぐことになる。最初は2金程度と渋くて辛いのだが、ヨーロッパ中を旅することで大金を稼いだり何曲も演奏することで徐々に潤ってくるようだ。
旅アクションではリソースがもらえたり、セットコレクションの目標とするタイルを獲得できるためおろそかにできない。しかし、モーツァルト駒は全プレイヤー共通のため、行きたいところに行けなかったり、他プレイヤーに得をさせてしまうこともあるため注意が必要と、インタラクションがあり面白い。
今回の感想: 7点(10点満点)
これは評価が難しい、と感じてしまった。
というのは1回のプレイでは面白さを満喫することができなかったからだ。
モーツァルトの遺作「レクイエム」を完成させる、というテーマは非常に魅力的でアートワークも豪華でプレイ前は非常に期待していた。しかし、プレイしてみると、お金やリソースがカツカツでかなり苦しく、そこにカードによるアクション制限も加わりさらに苦しい。
テーマ的にレクイエムのエリアマジョリティが重要だろうと思って、レクイエムアクションに偏ってプレイしてみたのだが、マジョリティを取ることが案外難しく、ゲーム終了時の得点もあまり大きくなかった。むしろ何かに特化するのではなくアクション強化、曲の購入、演奏、旅と満遍なく無駄なく行うことが大事なのかもしれない。
そういう意味で1回のプレイでは面白さが分かりづらく、何回もプレイを繰り返すことで戦略が見えてきて魅力が増してくる作品なのかもしれない。
最近は新作のボードゲームが次から次へと発売されるため、2時間を超えるゲームはなかなか2回目のプレイができないのだが、ぜひもう一度遊んでみたいと思う。