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060: ゴア 〜魅力&感想〜

「ドーン歩き研究会」最後のゲーム「ゴア」の続き。今回は、ゴアの魅力とその感想を述べたいと思う。前回の記事はこちら。



オークションマーカーの駆け引きが楽しい♪

システム面でも述べたが、このゲームの最も特徴的な部分はこのオークションマーカーの配置だと思う。スタートプレイヤーから開始位置を指定すると(スタPはタイルを選択できないのも渋い!)、そこから各プレイヤーは旨いタイルであったり、自分の欲しいタイルにマーカーを置いていく。

しかし、次のプレイヤーに美味しい思いをさせるわけにもいかないので、なかなか悩ましい。これはちょうど「メトロポリィス」や「スカイライズ」の空間的なオークションシステムとよく似ている。できるだけ自分の欲しいタイルでありながら次のプレイヤーが得をしない場所を選ぶ妙味は、ゲーム全体に渋い駆け引きをもたらしてくれる。素晴らしい。

徐々に無くなっていくタイルを見ながら、次に狙う獲物をじっと探すところも非常に趣があり、よろしい。

強化されていくアクションが気持ち良い!

個人ボードでは、実行可能な5つのアクション(船の建造収穫徴税遠征植民地の発見)が示されており、これらのパラメータを上げていくことでアクションが強化されていく。これが非常に気持ち良い。

現在では特に珍しくもないシステムだが、ゴアが発表された2004年は、ドイツ年間ゲーム大賞(SDJ)が「チケット・トゥ・ライド」、ドイツゲーム賞が「サンクトペテルブルク」であり、個人ボードを使用するゲームはかなり珍しかったのではないだろうか。

プランテーションで交易品の収穫をするなど、2002年発表の名作「プエルトリコ」の影響を色濃く受けている気はするが、それをさらに発展させて拡大再生産することで気持ち良さを強化したシステムは非常に完成度が高く、現代のゲームにも多大な影響を与えているように思う。

植民地アクションのガチャに一喜一憂!

これまであまり触れてこなかったが、「植民地の発見」アクションではプランテーションとは別に植民地(クイロンコーチンマドラスカリカット)の建設ができる。これらは自由度の高い資源の産出が可能な上に、ゲーム終了時に1〜10点のボーナス点が与えられるため、ぜひ建設しておきたいところだ。

しかし、この発見アクションの成否は宣教師?が描かれた植民者カードのガチャにかかっている。具体的には、まずどの植民地を建設するか宣言し、カードを1枚山札から引き、その植民地に設定された数以上の植民者を招集することができれば建設成功となる。

このガチャが思わぬドラマを生んで面白い!

今回の満足度:9点(10点満点)

やはりゴアは面白かった。
2004年という古典的ゲームから現代的ゲームへと変化していく時代に生み出されたゲームらしく、古典的な競りによる強いインタラクション性と現代的な個人ボードにおけるパラメータ上げが気持ち良く融合しており、他のプレイヤーを意識しつつ、自分のことに集中できる感じが素晴らしい。

植民地の発見アクションにおけるカード引きガチャは2時間級のゲームでは賛否両論あるかもしれないが、競りの部分に激しい駆け引きがあるため息抜きのできる運要素となっており、おかげでゲーム全体がマイルドに仕上がっていると私はプラスに評価している。

今一つパッとしないアートワークのため訴求力が弱く、絶版となった現在においてプレ値で売買されているこのゲームを購入する価値はあまりないと思うが、機会があればぜひプレイしてみて欲しい傑作だと思う。

できればアートワークをブラッシュアップしたリメイクを期待したいが、ポリコレのうるさい昨今ではテーマが自然、動物、宇宙などに変えられてしまうかもしれない。こういう歴史をテーマとしたボードゲームは無くならないで欲しいと願うばかりだ。


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