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Day 7: ボドゲレビュー「ティルトゥム」完成版

おはようございます。Sato39です。
毎日更新ボドゲレビュー7日目。

ついに「ティルトゥム」レビュー完成です!
今日は、この6日間につらつらと書き連ねたことをまとめました。
手抜き?まさか・・・w



【アートワークからひしひしと伝わる王道ドイツゲーム感!】

パッと見ただけで伝わるドイツゲーム感。無駄なテキストなどない、非常に洗練されたデザインはとても好み。ちなみにパッケージに描かれたお祭り感いっぱいのイラストもかなり好き。しばらく棚に飾っておきたい♪

「ティルトゥム」パッケージイラスト

デザイナーは、ツォルキンやマルコポーロシリーズで有名なダニエレ・タッシーニ(Daniele Tascini)とシモーネ・ルチアー二(Simone Luciani)の新・黄金コンビ。この2人が共作としてマルコポーロ2以来3年ぶりの新作として発表したのが、この「ティルトゥム」である。これは期待しかない!

プレイヤーはルネサンス時代の裕福な商人となり、ティルトゥム(現在のベルギーのティールト)から南はヴェネチアまでヨーロッパ中を旅して、交易をしたり大聖堂の建築などに貢献して名声点を獲得する。途中、各都市で行われる見本市に参加したりする大忙しなゲームとなっている。

ドイツゲーム感漂うメインボード


【ヨーロッパを旅するマルコポーロ感が楽しい!】

メインボード右側の地図上にはルネサンス時代に栄えた都市がいくつも描かれており、プレイヤーは商人や建築士を移動させて商館を建てたり、大聖堂の建築に貢献するため柱を建てたりする。

ブラックレターで描かれた都市名がルネサンス時代を彷彿とさせる

<商館>

商館を建てると毎ラウンド終了時に行われる見本市に参加し名声点を得ることができる。このため、見本市の行われる都市に商館をぜひ建てたいのだが、商館を建てられるスペースは各都市に1〜2個程度に限られており、早取り要素となっている。これが程よいインタラクション要素となり、プレイヤー間の読み合いが楽しい。

また商館が建てられなかったとしても、ラウンド終了時に商人駒がその都市に滞在していれば見本市に参加できるようにもなっており、救済処置はしっかりとある。この場合は、ラウンドの終わりに上手く見本市が開催される都市に着くような計画性が重要となってくるのだが、それもまた面白い。

<見本市>

ゲームは4ラウンドで、1ラウンド目の見本市が開催される都市はティルトゥム固定。残りの3箇所はゲーム毎にランダムセットアップとなっている。つまりゲーム毎に目標となる都市はガラッと変わり、毎回違うゲーム展開を楽しむことが出来るだろう。

手番的に見本市の行われない全ての都市を回ることは困難で、この辺りはルチアーニ&タッシーニの名作「マルコポーロ」のプレイ感に似ている。もちろん私の大好きな作品で、どのようなルートで決められた目標都市を巡回するのか考えるのは非常に楽しいものだ。


【アクション選択は独特のダイスピック方式、強さはアクションポイント制で表現!】

手番で行えるアクションは6つ。アクションホイールの上から時計回りに以下のようになっている。長くなるのでアクション詳細は省略。

  1. 国王アクション

  2. 商人アクション

  3. 建築士アクション

  4. 人物アクション

  5. 契約アクション

  6. ジョーカーアクション

6番目のジョーカーは、他のアクションのコピーなので実際には5つのアクションとなるのだが、面白いのはその選択方法。ラウンドの初めに振られたダイス(4人プレイの時は14個)をその目のところに配置して、手番時にはダイスを一つ選ぶだけ。


<ダイス選択は合理的でかつジレンマたっぷりで面白い>

選んだダイスの色に応じたリソースを目の数だけ獲得し、その反対の目(7-ダイス目)の分のアクションポイントで選択したアクションを行う。何を言っているのか最初は分かりにくいが、非常に合理的に出来ている。

つまり、リソース(黄金、鉄、羊毛、石、食料)をたくさん獲得するためには目の大きいダイスを取る必要があるが、行うアクションの強さが弱くなる(アクションポイントが少なくなる)。

逆に強いアクションをしようとする(アクションポイントを多くしようとする)と、得られるリソースは少なくなる。この相反する利益によるジレンマが、この作品で最も特徴的でかつ、面白いシステムだ。

ただし、自分の手番になるまで先が読みづらく、選択肢も多いがゆえにダウンタイムは長く感じた。この辺りは「ゴーレム」と同様の欠点を伴っており、4人プレイはお勧めではない印象だ。


【国王トラックによるペナルティはロレンツォ風】

各プレイヤーのアクションフェイズが終了すると国王フェイズになる。このとき、国王トラックのマーカーが初期位置より右側にある(忠誠心が高い?)と名声点を獲得できるが、左側にある(忠誠心が低い)と名声点を失う。

どこかでみたことがあると思ったら、「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」の信仰トラックだ。規定ラウンドまでに教皇の信仰が得られていないと手痛いペナルティを食らってしまうというアレ。この作品の場合は単純に名声点が減点になるだけだが、やはり辛い。

またこの国王トラックには、ラウンド毎の手番順を決める要素もあるので、フェルトの名作「ドラゴンイヤー」の手番順トラック感もあるのは面白く、他プレイヤーとの駆け引きが熱くなっている。

赤マーカーのある位置が初期位置。これより左側は減点となる。


【個人ボードでは契約達成、人物の呼び込みなど大忙し!】

各プレイヤーに配られる個人ボードでは、6つの建物に人物を呼び込むセットコレクション要素や、商品を支払うことで達成される契約要素があり、まさにポイントサラダ!手番がいくらあっても足らないほどの要素がこれでもかというほどに盛り込まれている。

しかし、個人ボード右側の倉庫には同時に4つまでしかタイルを保持できないようになっており、将来的に役に立ちそうなタイルの確保ばかりしていると、すぐに倉庫はいっぱいとなりタイルを獲得できなくなってしまう。非常に悩ましい。

建物の完成、契約の達成など盛り沢山の個人ボード


【ランダムセットアップで毎回違った展開を楽しめる!】

セットアップのバリエーションは非常に多彩だ。見本市が行われる都市、大聖堂の建築コスト、ディスプレイに並ぶ人物タイル&契約タイル、マップ上に並べられるボーナスタイル…など無数のタイルがゲーム準備時に全てランダムでボード上に配置される。

これだけのバリエーションがあれば同じ状況でのゲームプレイはまず経験することがないだろう。リプレイ性は無限大と言って過言ではない。ただし欠点もあって、タイルが多くゲームの準備、片付けは非常に大変w
まあ、致し方ないところだろう。

帰宅後に使用したタイルを分別しているところw

【まとめ】

<良いところ>

  • 王道ドイツゲームを感じさせる豪華でお祭り感のあるアートワーク。

  • これまでに培った洗練されたシステムの融合で悩ましい選択の数々。

  • ランダムセットアップによる無限の可能性とリプレイ性。

<悪いところ>

  • ゲームに慣れたプレイヤーほど既視感を感じて目新しさが感じられないかも。

  • 悩ましい選択が多く、ダウンタイムは長い。

  • タイル類が多く、準備や片付けは大変。

<説明書&対象>

説明書:17ページ、リファレンス:7ページ
インスト:30分、 プレイ時間:120分(4人プレイ)
BGG weight: 3.36(2022/10/31現在)、軽めの重量級

おすすめの対象:「昔ながらのドイツゲームが好きなゲーマー



【総評】

正直言って、私は大好きな作品だ。近頃の私の傾向として、昔ながらのドイツゲームが特に気に入っており、最近のやや過剰とも言える特殊効果テキストのあるゲームはやや億劫に感じている。歳のせいだろうか。

そんな中で、この「ティルトゥム」という作品は清々しいほど言語依存もなく、また特殊なアイコンに頼るでもなく、ボード上の表現はシンプルにしつつも、アクション選択に関しては狂おしいほど複雑で悩ましいジレンマがある。

実際、プレイしてみると説明書で読んだ印象よりも、ずっと深く悩ましいプレイ感だった。もっと中量級的なサクッとしたプレイ感を想像していたのだが、実際は違った。おそらくそれは他のプレイヤーも同様に感じたはずで、ダウンタイムは長く思えた。

正直、ダウンタイムを考慮すると4人プレイは推奨できない印象だ。かと言って2人プレイでは、ダイスの取り合いやマップの場所取りがやや寂しい気もする。そういう意味で、ベスト人数は3人だと思う


また見本市が行われる都市があらかじめ分かっており、得点条件も明らかとなっているためプレイ方針は立てやすい。しかしその分、他プレイヤーと目的が被りやすく、目の前で狙いのダイスを取られたり、建てようと思っていた都市に商館を建てられて、

「あ゛〜!取られた〜!」

と、心の中で叫んでしまうことがあり、インタラクションは強めで面白い。

ダイスもタイルも全てが早取りなので先手番が有利になると思うが、国王トラックで手番順が決まるので、どのタイミングで国王アクションを行うかは非常に重要で、その駆け引きもまた楽しい。


ランダムセットアップで毎回違う展開が期待できるし、テーマのお祭り感も好きだし、悩ましいジレンマと強めの間接的インタラクションもあって、とても私好みの素晴らしい作品だと感じた。

テンデイズゲームズのタナカマさんが「ルチアー二&タッシーニからドイツゲームへのラブレター」と表現していたが、全くそのように思う。

またデザイナーの2人から「ドイツゲームってこういうのだろ? お前ら、こんなの好きなんだろw?」と言われている気もする。ドイツゲーム好きは、ぜひ一度試してみて欲しい。



昨日配信されたHAL99さんのYouTube Liveでも話題に上がりましたが、かなり好みの分かれるゲームのようです。まあ好き嫌いがあるのはデジタルにしろアナログにしろゲーマーとして当然ですね。

「賛否両論あるのは良いゲーム」

いい言葉ですね。覚えておきます♪

ではまた明日。


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