055: オルレアン侵略拡張
面白かったパリオリンピックも閉会式を迎えた。手持ちのフランステーマのゲームでやっておきたかった「オルレアン」を久しぶりに引っ張り出してきていたのだが、ちょうど三男レオンと時間があったので協力ゲームである「侵略」拡張を遊んでみることにした。
ゲーム概要
今作は、オルレアンのデザイナー、ライナー・シュトックハウゼン(Reiner Stockhausen)と 私の大好きな「村の人生」や「ガンジスの藩王」のデザイナーであるブラント夫妻(Inka & Markus Brand)がデザインした 6 つのシナリオ集となっている。
<マルチプレイヤーシナリオ:3つ>
<ソロシナリオ:3つ>
なお、オルレアンの基本的な概要は以前のレビューを参考にして欲しい。
今回は6つのシナリオのうち、協力ゲームである「侵略」シナリオを遊んだので、その感想を述べたい。
街の防衛がテーマ
今回はオルレアンの防衛がテーマとなっている。詳細は明確化されていないが、オルレアンは百年戦争時にイングランド軍に包囲されたこの町をジャンヌ=ダルクが解放しフランスを勝利に導いたという歴史的な背景がある。このことから、彼女は「オルレアンの乙女」と呼ばれているが、それがテーマになっているのかもしれない。
ゲームは全プレイヤーが協力して、5つの共通目標と各々1つの個人目標を全て達成できれば勝利となる。またそのために5つの共通した功績が新たに準備されており、「街の防衛シナリオボード」に要約されている。
オルレアン基本と同じ面白さがある
目標とするところは変わったが、プレイ感自体はもとのオルレアンの面白さそのものである。農夫や船長といった随行者をバッグに放り込み、それをガチャ引きするのは何とも楽しい♪
場所タイルも新しいタイルが追加されており、バリエーションがさらに広がった。ただし場所タイルに関しては、オリジナルの「全てのタイルから好きなタイルを1枚選ぶ」というルールが経験者有利、時間がかかるなどの理由により不評なので、BGGのバリアントルールを用いて3枚公開してその中から選ぶ方式とした。
砂時計タイルは新たなイベントを追加
基本ゲームのタイマーの役割であった砂時計タイルは、このシナリオ独自のイベントを盛り込んだ全く新しいものが用意された。2〜3人プレイ時は18ラウンド、4〜5人プレイ時は16ラウンドとなっており、規定ラウンド以内に目標を達成しなければならない。
イベントは干ばつ、地震、飢饉など、たいてい負の効果を持っており、プレイヤーたちに試練を与えるものが多い。それにより目標達成の計画が狂うことになり、適切な計画変更をしていく必要があり面白い。
共通目標と個人目標
プレイヤー共通の目標5つと個人目標1つの達成が勝利条件となっている。
I、騎士の配備
II、市民タイルの収集
III、コインを宝物庫に献上
IV、倉庫を商品で満たす
V、13の辺境の町に要塞を建てる。
VI、個人目標の達成
I〜IVは該当する要素を集めていくので分かりやすいのだが、Vの要塞の建築がなかなか大変だった。13箇所となっているがプレイする人数によりいくつか要塞が建てられており、今回2人プレイだったので実際には6箇所の要塞を建てれば良かった。
しかしこれがマップの端っこに建てなければならないので、ロアール川周辺を歩き回る必要があり、最終ラウンドでようやく最後の1個を建設して無事に目標達成ができた。
実は他の目標もギリギリで達成できるように調整されており、そこに負のイベントが起こることも計画を狂わされて、なかなか痺れるレベルデザインだと感じた。
今回は息子と本気で相談しながらやりくりして、何とか18ラウンドで目標を全て達成することができた。嬉しさもひとしおである。
遊びの幅が広がる協力シナリオ
今回遊んだ「侵略」は、2−5人用(5人プレイには5人用拡張がさらに必要)の協力シナリオとなっている。もともとオルレアンはバッグ構築要素の楽しい商品の早取り競争のゲームだったが、クアックサルバー等よりもインタラクションの強いゲームである。
それ故、ゲームに慣れないプレイヤーにとってはストレスの強いシステムだったと思うが、協力ゲームになることによりそれが緩和された。毎ラウンド、お互いに何を目標とするか相談しながらプレイできるため、指針が立てやすく、また初プレイの息子に教えながらプレイできたのは非常に良かった。
最初は戸惑っていたレオンも中盤以降は積極的に狙いを話すようになったし、これなら次回からは通常のルールでも遊べそうだ。
今回の満足度:9点(10点満点)
やはりオルレアンは楽しかった。コロナ禍であったこともあり、苦労して手に入れた割にはあまり稼働しておらず我が家では不運なゲームだったのだが、パリオリンピックをきっかけにまた遊べたのは非常に良かった。
「侵略」シナリオは初めて遊んだのだが、協力ゲームなので初めてのプレイである三男レオンにも教えながらプレイできたのは良かった。奉行問題は解決していないのでゲーマー同士で遊ぶことはあまりないかもしれないが、ファミリーで遊ぶにはちょうど良いと感じた。
難易度の調整も非常に上手くできていると思われ、目標にやや届かない緊張感とギリギリに達成できた喜びは相当なものだった。これはまた4〜5人でも遊びたい。
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