エクスペディションズ 〜初プレイ感想〜
世界観が最高に素晴らしい4Xゲーム「サイズ〜大鎌戦役〜」を以前レビューしたことがあるが、その大鎌戦役と世界観を共有する新作「エクスペディションズ」をプレイできたので、そのファーストインプレッションをお伝えしたい。
ゲーム概要
1920年代、重装甲兵器(メック)を送り込んだ「ファクトリー」と呼ばれる大都市国家を巡る世界大戦が終焉し世界に沈黙が訪れたとき、ツングースカの地に隕石が落ち周辺に奇怪な現象が起こるようになった。大戦で活躍した英雄たちは早速調査に乗り出しのだが・・・。
今作は前作の後日談となっており、プレイヤーはメックに乗り込み隕石の落ちたツングースカの地を探索し名声を得ることを目指す。
S、C、Nの3種類に分けられた地形タイルを蜂の巣状に並べ、リソースやカードを獲得しメックを改造しながら探索を進め、誰かが栄光を4つ以上集めるとゲーム終了。勝利点の最も多いプレイヤーの勝利となる。
アクション選択は大鎌戦役に似ていて悩ましく面白い!
今作は探索ゲームなので前作のような戦闘要素は一切なく全く別のゲームとなっているが、美麗なアートワークによる重厚な世界観は踏襲されており大鎌戦役を彷彿とさせる。
またメインアクションは、メックボード右上に示されている「移動」「プレイ」「収集」の3つしかないのだが、“3つのうちどれか一つを選択して残った2つのアクションを実行する“という大鎌戦役っぽいアクション選択が非常に悩ましく面白い。
ちなみに「休憩」アクションを行うとプレイしたカードを手札に戻すことができ、3つ全てのアクションが実行可能とややトリッキーなので注意したい。
やはりメック!
メックと呼ばれる重装兵器を操り探索していくのだが、やはりこのメックの存在感が最高だ。精巧なモデリングで作成されて前回より大きくなったか。ゲームへの没入感と満足度は高い。
それに合わせるためか地形タイルも大きく場所を広く必要とするところはデメリットかもしれないが、美麗なアートワークを堪能できるので賛否両論あるところだろう。
増やしては消費していく不思議なデッキ構築感!
ゲーム全体の流れとしては、リソースとなるワーカーを集めつつ未開の地を探索していくと同時に、場に散りばめられたカードを回収していく。これがデッキ構築要素となり、徐々に手札が充実して様々なアクションが可能となる。
手札のカードはメックボード左側に公開しておき、「プレイ」アクションを行い右側へ移動させて武力や策略を上昇させると同時に、適した色のワーカーがあればカード固有能力を発動させることができる。
面白いのは、そうやって強化した手札のカードをメックカードの上、右、下に差し込むことで様々な改良を行なっていけることだ。今回、私はメックボード下側に隕石カードを差し込むことで重なったカード効果を何度も発動して勝利点を稼ぐ戦略とした。
重ねれば重ねるほど勝利点を得られる拡大感は非常に気持ち良かった。ただし、こうすることで自分のデッキはカードを消費してしまい弱くなってしまうのが悩ましい。非常にジレンマたっぷりのシステムとなっていると感じた。
対戦相手のTAKさんは、ボード右側にカードを差し込む「改良」を行うことで永続効果を次々と装備し、任務を達成していく戦略だった。これもかなり強力なコンボが得られるようだった。
ゲームは、TAKさんが4つの栄光トークンを置いてゲーム終了となり勝利した。私はもう1、2ラウンドあれば逆転できるところまで先が見えていたので悔しい思いだったが、違った戦略でも接戦となっていたのでゲームバランスは良いのかもしれない。
感想
今回の満足度:8点(10点満点)
なかなか面白かった。実は色々と気になるところもあるのだが、総合すると面白さの方が勝っているように思う。
<気になるところ>
・「征服」アクションがいつ出来るのか分かりにくい。慣れると簡単だが。
・カード効果の詳細な説明がなく、永続効果がいつ適用されるのか分からない。
・上記2つのためにゲーム中に審議となりテンポが悪くなってしまった。
・カード文字が小さく、新しいカードが公開されるたびに手を止めて確認する必要があり、時間がかかる。
・地形タイルがすぐにバラバラになって見栄えが悪い。
<良いところ>
・デッキ構築要素が楽しく、色々なコンボを研究できそう。
・後半の拡大感が気持ちよく、加速するゲーム展開は見事。
・地形やカードが変わるためリプレイ性が高そう。
用語の難しさや、アクションの分かりにくさのために初回プレイは迷うことが多いと思うが、リプレイすることで楽しさが引き出されるゲームと感じた。ストーンマイヤーゲームズだけに拡張も期待できるので、これからが楽しみなゲームだ。