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INDEX|モーヴ街5番地《サティス荘》
Text|Mistress Noohl
![ディケンズ本](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26402753/picture_pc_89d3f949c9b2ec475f9c1f48201c92b8.jpg?width=1200)
ここモーヴ街5番地《サティス荘|SATIS HOUSE》は、英国の小説家チャールズ・ディケンズとヴィクトリア朝文化を謳歌するためのお屋敷。
ヴィクトリア朝文学研究の熊谷めぐみ様と霧とリボン主宰のミストレス・ノールが管理人をつとめます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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ヴィクトリア朝時代への興味の始まりは、シャーロック・ホームズとオスカー・ワイルドから——ディケンズに関しては、『クリスマス・キャロル』を読んだり、デヴィッド・リーン監督の映画《オリヴァー・ツイスト》などを観ていたものの、運命的な出会いはそれからだいぶ後になってからのことでした。
![サロメ2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26431183/picture_pc_f7bf1d8f0c930f828369a3d55fd38fc2.jpg?width=1200)
今でも鮮やかに思い出します。シャーロット・ランプリングがミス・ハヴィシャムを演じたTVドラマ『大いなる遺産』(BBC・1999年)を初めて観た時のことを——朽ち果てたお屋敷の中で、傷心から時間を止めてウェディング・ドレスを着たまま、美少女エステラと暮らすミス・ハヴィシャムの、「白のゴシック」あるいは「白の頽廃」と呼びたい優美な詩情に、いっぺんで魅了されました。
ミス・ハヴィシャムとサティス荘に出会わなけば、今でも迷走していたかもしれません。「ゴシック」や「頽廃」という世界に惹かれながらも、どこか突き詰めたところで生理的な苦手意識があり、自分の求めている世界とは質感が違うことにずっと戸惑ってきました。しかし、『大いなる遺産』を観て、はっきりとわかりました。「黒」ではなく、「白」なのだと——。
![クリスマスキャロル作品2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26432387/picture_pc_daef6760d75a7ef4ce1786b66a91654c.jpg?width=1200)
それは、単なる色彩を指すのではなくて、純度を高めた究極のところに、「清廉」や「玲瓏」など、透明感を宿す何かを求めていること。殊に「ゴシック」や「頽廃」に象徴される「闇」や「黒」の世界であれば尚のこと、「白」を感じたい——ノーブルなシャーロット・ランプリングを観ながら、霧が晴れたように美意識がクリアになった「白の記念日」でした。(そして同時に「大いなる菫色の記念日」でもあったのですが、そのことは長くなりますので、別エッセイにて改めて綴りたいと思います。)
![アクセサリー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26476154/picture_pc_43bc55a32b02593146b77aab595cf3e9.jpg?width=1200)
ディケンズに関して私はほぼ『大いなる遺産(主にサティス荘)』オタクなので、長年、ディケンズの豊穣なる世界の入り口に立ち続けたままです。これまでひとりぼっちでディケンジングしてきましたが、幸運にもディケンズオタクの大先輩である熊谷めぐみ様に出会い、こうして栄光の日を迎えることができました。
今秋開催のディケンズ没後150周年記念 熊谷めぐみ & 霧とリボン共同企画展《ディケンジング・ロンドン》の準備室でもあるここサティス荘——今後、ディケンズの小説の魅力を「ゴシックの景観」「頽廃とダンディ」など、図版もたっぷりに独自の切り口でご紹介していきます。
ディケンズがお好きな方も、これから好きになってみたい方も、熊谷さまの華麗なる筆にて届けられるディケンズの世界を一緒に楽しんでみませんか?
ときに、モーヴ街5番地《サティス荘/SATIS HOUSE》のお向かいさんはモーヴ街6番地《ブライオニー荘/BRIONY LODGE》——そう、シャーロック・ホームズに登場するアイリーン・アドラーの住む館。
ひそやかにヴィクトリア朝対決、日本での人気は大きくホームズがリード。これから、ブライオニー荘に仁義を切りにいってまいります。
皆様、サティス荘でまたお会いしましょう!
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サティス荘管理人紹介
熊谷めぐみ Megumi Kumagai | 立教大学大学院博士後期課程在籍・ヴィクトリア朝文学 →Blog
子供の頃『名探偵コナン』に夢中になり、その影響でシャーロック・ホームズ作品にたどり着く。そこからヴィクトリア朝に興味を持ち、大学の授業でディケンズの『互いの友』と運命的な出会い。会社員時代を経て、現在大学院でディケンズを研究する傍ら、その魅力を伝えるべく布教活動に励む。
ミストレス・ノール Mistress Noohl | デザイナー・霧とリボン主宰 →HP
1997年デザイン工房HOLONを共同設立、現在までブックザインの仕事に従事。2008年「霧とリボン」始動、プライベート・プレス活動や美術展の企画・キュレーションを行うと同時に服飾オブジェ作品を発表。2015年霧とリボン 直営SHOP & ギャラリー“Private Cabinet”オープン。以後、オリジナル製品の発表や文学・アート・モードの世界を横断する企画展などを多数開催。ディケンズ生誕200周年には記念美術展《英国文学十四行詩集vol.1〜ディケンズの夢》開催。
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![MS_展示作品](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26402975/picture_pc_051913801ccbae23846e68e630d9e5a7.jpg?width=1200)
作家名|ミストレス・ノール
作品名|喪の片袖〜ミス・ハヴィシャムの肖像
ナチュラルラテックスラバー・絹糸・絹リボン・スパングル・絹布・ジェッソ・木
作品サイズ|67.2cm×43cm×10.2cm
制作年|2012年
《英国文学十四行詩集vol.1〜ディケンズの夢》にて発表
非売品|霧とリボン 直営SHOP & ギャラリー「Private Cabinet」常設作品
![Noohl_ミスハヴィシャムの肖像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26172662/picture_pc_4e189a2ee5d791b8e9a81142b11c5fe7.jpg?width=1200)
ウェディング・ドレスを着たミス・ハヴィシャムの横向きの肖像(原寸大)をイメージして制作された片袖。
「第二の皮膚|SKIN TWO」と言われるコンマ数ミリの薄さのナチュラルラテックスラバー素材を使用、手縫いで仕立てたモーニング・オブジェ作品です(Mourningは喪・哀悼の意)。
ナチュラルラテックスラバー素材は、空気に触れることで、また、針を通す(素材に傷を付ける)ことで風化が進む素材——サティス荘の時を止めながらも、無常にも時が流れてゆくミス・ハヴィシャムの哀感を表現しました。
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![00_MSmap_ラスト](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/26410466/picture_pc_3fbd6131f0c8d791da41d7d7723a0c73.jpg)