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聴覚過敏 ~鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版を添えて~
発達障害者の困りごとで、感覚過敏を挙げる方は多い。
特定の色が苦手で、目がちかちかする視覚過敏。私は赤黄色オレンジ、暖色系が苦手です。あとビビッドカラーもダメです。目が痛くなる。
肌触りがどうしても気になる、触覚過敏。これがあると、服選びが難しい。試着してみないと分からない。ちなみに私は人の手の感触が苦手。なんか生温かいし、べたっとくっつくし、正直気持ち悪い。肩とか叩かれるの、無理。
それから、特定の味が強く感じる味覚過敏。私はコーヒーの酸味が本当にツライ。コーヒー好きだけど酸味のない深入りしか飲めません。最近浅煎りが流行ってるので困り感が強い。
嗅覚過敏。人間の鼻ってそもそも鈍感なのに、すぐ慣れるのに、気付くのが異様に速い。そしてずっと気になる。
最後に本題、居酒屋とかスーパーとか、騒がしいところで聴覚情報処理できなくなってしんどくなる聴覚過敏。
基本的にASD/ADHDは人の声を聴き分けるのが苦手。定型の方はざわざわしている中でも人間の声(しかも今喋っている相手の声だけ!)をピックアップして聞き取ることができる、という我々ASD/ADHDからしたら特殊能力としか思えない能力がある、らしい。ASD/ADHDは居酒屋なら一緒にいる相手の声だけでなく、他の席の会話、店員さんたちのやりとり、皿とかがカチャカチャいう音、機械音、全部平等に拾う。この中で一緒にいる相手の声を聞き取るのって、正直ハードル高い。
こんなことがあった。オフィスで仕事をしていると、斜め後ろの人が電話をし始めた。しかもお怒りのご様子。よくある状況である。だが、この状況、ASD/ADHDの私にとってはかなりのストレスである。
まず、その人の声が気になって集中できない。そしてイライラされていると、自分に対して怒っているのではないと分かっていても、萎縮してしまう。過去散々怒られた記憶がフラッシュバックするのだ。当然仕事は進められない。与えられたタスクを果たせないということ自体も不快だし、それで納期に間に合わなければ叱られるのは私である。
そんな中、隣の席の先輩が話しかけてくる。大変申し訳ないが、この時点でキャパオーバーだ。斜め後ろの人の怒声と隣の先輩の声を識別して、先輩の声だけを拾って、言語として理解して、求められる反応をする。はっきり言って無理だ。私に言えることは一つ、「すみません、ちょっとトイレ行ってきます」だ。
その後先輩(定型発達)に聞いてみたが、先輩は斜め後ろの人の声は気付きもしなかったと仰る。なんだそれは。チートじゃないか。
ちなみにここに機械音とかが入ってくると、ASD/ADHDである私はそれも拾う。エアコンがうるさいオフィスで会話するのはほぼ無理である。
ASD/ADHDの私と定型発達が生きている世界は、こんなにも違うのだ。そしてその事実を把握している定型発達者はほとんどいない。医療関係者や支援者だってほとんど理解していないだろう。ASD/ADHD本人は聴覚過敏が当たり前だから、定型発達はそうではないと『知る』ところまでたどり着かなければならない。
そして困ったことに、ASD/ADHDの間でも個人差があるのだ。聴覚過敏が軽い人も、重い人もいる。『ASD/ADHD』と一括りにできないのだ。実に難しい。
しかも、この聴覚過敏が酷くなると(私の場合、体調の良し悪しによって変化する)、頭がキーンとしたり耳鳴りが聞こえたり、とにかく不快になる。これを見事に表現されているのが、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』。水木が島に上陸し、穴を除くまでのシーンの音。アレ。聴覚過敏MAXの時の音だ!!
定型の方にはあのシーンどんな風に聞こえるんだろう。ASD/ADHDで聴覚過敏がある方は、私と同じように感じたんだろうか。
ぜひ感想を教えていただきたい。
公式サイトのリンクは以下。映画としてもとても面白い。そのうち配信されるとは思いますが、ぜひ見て(例のシーンの音を聞いた感想を聞かせて)下さい。