東京 小笠原諸島 硫黄島に新島誕生 西之島の噴火・拡大
小笠原諸島
このところ火山の噴火や地震が続いているなあ、なんだか嫌な雰囲気だなと感じておられる向きも多いと思う。近場の太平洋地域の国々で噴火したり、揺れたりが相次いでいることで、よけいに不安を感じてしまう。
11月17日、フィリピンのミンダナオ島付近でM6.8の地震
11月20日、パプアニューギニアのウラウン火山で噴火
12月2日の夜、フィリピンのミンダナオ島付近でM7.6の地震
12月3日の夕方、インドネシア・スマトラ島のマラピ火山で噴火
12月3日の夜、フィリピンのミンダナオ島付近でM7の地震
12月4日の早朝、フィリピンのミンダナオ島付近でM7の地震
いずれも火山の噴火、地震活動の活発な地域で起きている。世界地図で活動マップを見てみるとよくわかる。ついでにその災害分布を冷静にたどっていくと、日本列島にも色濃くつながっているのだ。
火山帯、海溝・トラフ、プレート、大断層・・・。ため息が出るよね。
小笠原諸島の父島は東京から南へ1000キロ、沖縄と同じくらいの緯度のところにある。地図画像では中央下端のあたり。ズームイン。
父島は中央下端のあたり。
小笠原村は父島にある。父島の上に婿島、下に母島。
硫黄島
硫黄島は東京から1250キロ。上に父島、中央下に北硫黄島。
上から北硫黄島、硫黄島、南硫黄島。火山列島ともいわれる。北、南硫黄島は無人島。
これが硫黄島。
新島の誕生
衛星画像は、2023年10月18日。何の前兆もないね。
衛星画像は、2023年11月27日。島の南部、翁浜の沖合にできた新島が見えるだろうか。南北400m、東西200mの大きさだという。10月下旬に海底から噴火が始まり、噴き上げられた岩などで100mほどの陸地がつくられたようだ。11月の初めに新島の誕生が観測された。
拡大。変色水や噴煙がわかると思う。
衛星画像は、2023年12月2日。新島が形成されたのは、火山活動と陸地の隆起活動によるものとされている。陸地が隆起するために、以前から港湾施設をつくれないという状況がある。新島は今後、本島とつながるのではないかといわれている。
拡大。
硫黄島の現況
硫黄島といえば、太平洋戦争時の激戦地だった史実が真っ先に思い浮かんでくる。今は自衛隊の航空基地である。島全体が地熱で熱く、いたるところで二酸化硫黄などの火山性ガスが噴出している。
参考衛星画像は、2023年2月1日。ズームイン。
島を二分割した南側。左下は擂鉢山。そこから右上に広がっているのが二ツ根浜、翁浜。
島の北側。自衛隊の飛行場。その上に見えるのは旧日本軍の元山飛行場跡。
擂鉢山をズームイン。擂鉢山は旧日本軍の拠点で、要塞化されていた。米軍は右の砂浜に上陸した。
標高170mの山頂には旧日本軍の慰霊碑、米海兵隊の記念碑がある。米軍人の遺体はすべてアーリントン国立墓地に移されたが、多くの日本人戦没者の遺骨が残されたままだという。
飛行場は海上自衛隊の硫黄島航空基地隊と航空自衛隊の硫黄島分屯基地が管理している。
旧島民による慰霊や国による遺骨収集のための上陸以外、基本的に民間人は上陸できない。
西之島
左中央に西之島。右の父島からおよそ150キロ離れている。無人の活火山。以前はもっと小さい島だったが、2013年の噴火活動によってあらたに陸地が広がった。その後も大きな噴火のたびに島は変容している。10年間の島の変化を見ていこう。
参考衛星画像は、2012年4月2日。島には緑が見える。
参考衛星画像は、2016年5月2日。2013年の大噴火によって面積は10倍くらいになっている。
参考衛星画像は、2018年12月3日。2017年以降、噴火活動が活発化している。火山灰が降り積もっている。
参考衛星画像は、2021年2月1日。噴火口が拡大している。島全体も大きくなっている。
参考衛星画像は、2022年1月20日。
参考衛星画像は、2022年8月6日。
衛星画像は、2023年11月5日。最近の様子を見てみよう。ズームイン。
周囲の変色水の様子がわかる。
火口からは水蒸気やガスが立ち上っている。生態系の変化を調べるために、島に上陸して学術調査が行われているそうだ。
二度あることは三度あるとか、連動するとか、シンクロしているとか、いたずらに悪い連想はしないようにしている。阪神、オリックスのリーグ優勝のようなめでたいことならともかく、不気味な自然現象はなるだけ連続しないように、またオーバーシュートしてほしくないものだ。
それにしても地震や噴火によって被害が出ているのだが、特にミンダナオ島付近の人、大丈夫なのか。
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する EO ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。