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海外コミック紹介・レビュー

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海外コミックについて、作品紹介からその他諸々まで色々とまとめています。対象はアメリカン・コミックスだけでなくバンド・デシネなど全般的に取り上げています。今後随時更新予定です。
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記事一覧

『ザ・バットマン』公開記念!予習・復習に読みたい原作コミック5選

いよいよ3月11日、『ダークナイト・ライジング』以来10年ぶりのバットマン主演映画である『ザ・バットマン』が公開される。筆者は先日試写会にて一足先に観賞させて頂いたが、これまでの映画が描いてこなかった「世界最高の探偵」としてのバットマン像に焦点を当て、3時間近い上映時間を感じさせない濃密なバットマンワールドが展開されていた。コミック・アニメ、さらにはゲームの要素までもを取り入れ、自らファンを公言するマット・リーヴス監督だからこそ描くことのできた、まさしく『バットマン映画の模範

サディアス死す!『ミスター・ミラクル』byジャック・カービー #1 中編

今回は前回に引き続き、来月9月末に刊行予定のトム・キング&ミッチ・ジェラッズによる『ミスター・ミラクル』日本語版に備え、原作となった1971年刊行の『MISTER MIRACLE #1』の物語をご紹介。前編をまだお読みでない方は是非こちらから! 前回ガテン系鉄腕おじさんことスティールハンドが何やら企んでいたちょうどその頃、サディアス邸に招かれたスコットはサディアスの息子テッドの部屋で手厚いもてなしを受けていた。息子テッドはかつて"グレート・サディアス"と呼ばれていた彼にミス

9月の邦訳に備えよ!『ミスター・ミラクル』byジャック・カービー #1 前編

その男は目を見張るようなトリックの達人…あるいはそれ以上の何かか? 諸君は確信するだろう。これから対峙する男が、コミック史上最も奇妙で目を疑うようなヒーローであるということを! 諸君は彼のショーを目にし、そのトリックに考えを巡らせるに違いない! しかしその舞台袖で、彼にとって最大の脅威が常に出番を待ち構えている… それは彼に挑戦する者達と…彼自身の死だ! 彼の名はミスター・ミラクル! スーパーエスケープアーティストがお届けする"殺人ミサイルの罠!" とある郊外の平原にて、

〈アイズナー賞受賞!〉ー亡き父と過ごした記憶ー パコ・ロカ 『家』〈コミックレビュー〉

父さん、なんで闘うのをやめてしまったんだい?                          ー『家』本編より。   突如猛威を奮ったパンデミックの発生から早半年近く。感染拡大も落ち着きを見せ、ようやく家から出て人々との繋がりを取り戻す時がやって来た…  …かに見えたが、終わりが見えるとつい油断してしまうのが人間というもの。感染者数はあっという間に緊急事態宣言時の水準に戻ってしまい、それどころか毎日のように過去最多を更新し続けている。  そんな中、日本政府は「Go To

最近の海外コミック邦訳あれこれ〜その傾向と考察

 ここ最近のアメコミの邦訳スピードには目を見張るものがあり、ほんの少し前に話題になった作品がいつの間にか店頭に並んでいるというケースが少なからず発生している。僕がアメコミにのめり込み始めた頃は本国で発売された新作が邦訳されるには早くても2〜3年待たなければならなかったが、今となってはもはや1年待つ必要すらないらしい。例えば来月1日発売の『スーパーマン : イヤーワン』は昨年連載された作品で、TPBが発売されたのは昨年11月。なんと約半年で邦訳されたことになる。僕はしばらくアメ