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番組レビュー:神野元基 第1回 「In the Dreaming Class」で見つける新しい受験の形

"In the Dreaming Class"の初回放送

教育について考えるラジオ番組"In the Dreaming Class"は、この度3rd シーズンとしてPod Castで再開をすることになりました。初回の「In the Dreaming Class」は、神野元基さんをゲストとしてお招きしました。今後この番組のメインMCの一翼を担っていただく予定である神野さんとの初の対談は、彼の半生を振り返ることで、日本の教育が抱えてきた問題に真っ向から体当たりしてきた(ように見える)姿を伝える素晴らしい機会となりました。

初回の#1では、神野さんの高校時代にまで遡り、地方と都心の格差について、そして大学受験が流行りの言葉でいうと「ハック」可能なものであり、それができる人とそうでない人との差は情報を持っているかどうかが大切になるなんて話をしました。

神野元基
北海道網走市に育つ。慶応義塾大学総合政策学部在学中より起業。2011年にシリコンバレーで起業したことをきっかけに人工知能のもたらす未来の世界と教育について関心をもち日本に帰国し株式会社コンパスを起業。その中で、教育の壁にぶつかり2015年にQubena開発に着手する。現在は東明館中学校・高等学校の校長を務める。

▼ラジオはこちらから!
1-1.東明館中学高等学校校長 神野元基さんの生い立ちと教育観
1-2.東明館中学高等学校校長 神野元基さん 帰国後の起業、教育の現場で気づいたこと
1-3.東明館中学高等学校校長 神野元基さんが目指す教育とは?教育現場での取り組み

ゲスト神野元基さんの受験ハック体験

神野さんは北海道の網走市で高校卒業までを過ごします。
網走は当時でも4万人くらいの小さな街で、彼の通っていた高校(現地の進学校)も半数くらいしか大学に進まないような学校だったようです。

▼北海道網走市
北海道東部オホーツク海に面した街。札幌市ー網走間は、東京ー名古屋間と同等距離にあたる。現在高校は2校のみで、東京農業大学北海道オホーツクキャンパスが置かれている。カニ漁が有名で、3月末から5月上旬までが旬。冬には流氷が訪れるなど、北海道らしい豊かな自然が感じられるため、観光地としても人気。観光名所として「博物館網走刑務所」がある。

高校生の頃から数学が好きで、授業中も常に数学の問題を解いているような数学オタクでした。

高校の教師たちは当然彼が将来数学科に進むだろうと考えていましたが、内閣総理大臣になるという野望を持つ神野少年は、数学科に進むことが自分の夢の最善の道ではないだろうと考えていました。
ただ、政治家にとっての王道である政治学科や法学部には数学では受験することができないというジレンマを抱えたまました現役の時の受験は、見事に失敗に終わります。

札幌に移り予備校で浪人生活を過ごしていた神野さんは、彼の人生を変える2人の先生に出会います。一人目は、彼がやりたいことは政策をいかに作っていくかを考える政策学というものであり、日本では慶應SFCの総合政策学が先駆けであることを教えてくれました。そして奇跡的なことに、そこでは数学と小論文を使って入学することが可能だとも知るのです。二人目は小論文の先生で、元新聞記者の方でした。彼女のメソッドが、ロジカルに考える彼の思考法に合っていたわけです。

「知らないものは目指せない」とはよく言ったもので、こうして彼は網走から札幌の都会へと移り住むことで、地方では得られなかった情報を得て、自分の特技と興味がすっぽりとはまる場所を見つけ慶應大学の総合政策学部に進みます。

受験ハックの普及と課題

彼の選択を簡単にハックと呼んでいいのかわかりませんが、このような受験方式があるという事実は、地方にいると未だに多くの人が知らないままです。
東大を頂点とするヒエラルキーの中で、全教科を満遍なく勉強する途方もない努力をしなくてもいいようなハックの仕方が存在します。そしてそれが自分の興味や性格にあった選抜方法であれば、学ぶこと自体を楽しむことができ、最小努力で最大の効果を上げることが可能です。

その例として、私自身も好きな科目だけを勉強して大学に進んだ一人です。私の場合は歴史、その中でも特に現代史が好きで、それこそ授業中もテスト期間の自宅でも政治小説やスパイ小説をかじり付くように読んでいた時期があります。その結果、自分の得意分野を活かして世界史(しかも現代史のみ)と英語だけで慶應の経済学部に進むことができました。

神野さんと私の共通点は、このように受験をハックした経験を持っていることです。そして、価値観の変容に伴い受験も大きく変化していく中で、新しい方法で受験をハックできるようにもなっています。総合型選抜や、4技能型入試、さらには海外大学を目指すのも今までは、東大合格者数で受験の成否を論じてきた社会にとっては、大きな思考の飛躍だと感じています。

【2023年】1教科で受験できる大学例

競争社会と受験ハック

現代の教育環境は激しく競争的で、偏差値の高い中高に入ることが勝ち組の条件かのように中学受験が加熱しています。しかし、それが本当に最適な選択なのかは疑問が残ります。
自分の興味や能力に基づいて適切な教育環境を選ぶことが、個々の成長と成功にとって最も重要であると言えます。それこそが最高のハック法で、それを叶える道がたくさんあることを伝えることが、教育に携わる大人の役割だと感じています。

実際、2021年には茨城や徳島の公立高校からスタンフォードやハーバードに合格した生徒が出るなど、様々な教育環境から優れた結果を出す生徒が存在します。これらの事例は、個々の能力や情熱を最大限に活用することが重要であることを示しています。

【関連記事紹介】
茨城からハーバード、徳島からスタンフォードに合格した18歳が語り合う 東京との「格差」

朝日新聞出版公式サイト

この番組の展望

「In the Dreaming Class」では、このような新しい視点から大学受験や進路について考えることもテーマの一つと考えたいと思っています。一人ひとりの興味と性格にあった受験の方法と大学を見つけることが、大学受験の最高のハック法だと言えるでしょう。
受験の最適化という視点から、これまで考えられていなかった方法を学生たちに伝え、彼ら自身の可能性を最大限に引き出すための情報を提供していきたいと考えています。

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