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さすらうの雑記#2 執行されない死刑囚

執行されない死刑囚

近年、死刑囚の高齢化、執行されずに20年以上になる者が増えてきているが何故死刑が執行されないかの管理人の考察を簡素にまとめみた。
(専門家ではないので参考程度にお読みください)

尾田信夫

強盗殺人、放火などで死刑判決が下され1970年11月12日に上告が棄却されてから52年が経つ。すでにご存じの方も多いと思うが放火を否認し、ストーブを蹴った、倒れた際に火が消えるか等で再審請求を繰り返している。
被害者の死因は焼死とする文献が散見されるが判決文では一酸化炭素中毒となっている(昭和42年わ第25号)
控訴審では犯行時は心神耗弱や「死刑は残虐」との趣意だったが棄却(昭和44年う第64号)
死刑判決を下され冤罪を訴える事件は多数あるが、日弁連が支援する死刑判決事件は既に無罪が確定した事件も含め9件のみであり尾田のマルヨ無線事件もその一つである。
2012年には秘密交通権の侵害で国を相手に提訴している(日経新聞)
仮に尾田の再審が認められたら、既に懲役13年の刑期を終えている共犯はどうなるのだろうか?

藤井政安(旧関口)

全く情報が出てこない死刑囚の一人。4人の殺害で起訴されたがうち1人の殺害では無罪となっている。藤井が殺害を指示した首謀者とされているが、共犯者複数で複雑な関係のうえ、共犯のF田は心神耗弱で一審死刑から二審で無期に減刑になっている。
この共犯の証言が信用できるかなどを理由に一部冤罪を主張し再審請求をしているのでは?と推測している。
獄中結婚した奥さんは新聞投稿がきっかけで文通が始まったのが縁だそうだ(57人の死刑囚:大塚公子著)
この他にも渡辺清(4件中2件は無罪主張)、佐々木哲也(殺害は別人と主張)、金川一(凶器未発見で傷口と合わない)、大森勝久(状況証拠のみ完全黙秘で確定)、などが冤罪を主張し再審請求中である。

大濱松三(まつぞう)

2022年12月の時点で94歳。
騒音トラブルで階下の母子3人を刺殺。
確定後は担当した弁護人も「音信不通でどこにいるかわからない」と週刊紙の記事にあった(雑誌名失念)
日弁連が心神喪失で刑の執行停止を求めてる一人である。

刑事訴訟法479条による
他にも松本健次、堀江守男、松本美佐雄、柴嵜正一、造田博などだが、このリストのB氏(85年9月に最高裁で判決を受けた)だけが該当する者が見当たらずに謎である。

猪熊武夫

共犯と二件の強盗殺人で死刑確定
死刑囚の情報誌のユニテ通信『希望』の編集をしている。山野静二郎、村松誠一郎らも発起人で互いに情報交換をし、国を相手に多数の訴訟を繰り返している。そうこうしているうちに執行のタイミングを失い現在に至る?(アムネスティの報告書では村松が精神病との記述がある)
猪熊はこの『希望』の記事の中で癌の治療をしていると記されていた(希望の初期の号は大宅壮一文庫に所蔵されています)
そうなると獄死コースか…
猪熊の共犯は病死しているが「共犯が病死したから執行されない」というのは刑事訴訟法上にはない。

他に、執行を避ける傾向にある共犯者逃亡中や高齢での執行は共に合憲との判例が過去にある。
再審請求中でも執行されるようになった近年、平均寿命も上がり、80歳での執行や共犯逃亡中でも執行があるかもしれない。

判決訂正申立て

尚、『上告棄却確定』『上告棄却日を確定日』とする動画やブログが散見されるが近年の確定死刑囚はもれなく判決訂正申立(10日以内に申立て)をしている。これが棄却されるのは2~3週間後で完全な延命目的となっているが、以前は集刑に載っていたが、現在は新聞記事の片隅に載る程度なので、ネットで誰かが書いた文章をコピペするだけの自称事件系が知らないのも無理もない。正式確定日は棄却の決定が送達された日になるので正確な確定日は殆ど知られていない。
正式確定日が3週間近く延びるのは大事なことと思うのだが死刑事件を取り扱っていても興味がある人は意外と少ないようだ。

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