あの事件の後
元父は仕事を辞め
別の仕事についた
家族と一緒にいるのが気まずいからなのか
次の仕事も行商のような
週に一度帰ってくるかどうかの仕事だった
その仕事でどれくらいの収入があったのか
全くわからない
それでも家に帰ってくる度に
高校生になった娘の機嫌をとるように
一万円札をくれるようになった
娘もどこから出てくるお金なのか
何となく気付いてはいたものの
何も言わずに受け取っていた
母も何も言わない
そんな生活が長く続くわけもなく
ある日事件が起きた
家に送られてきた茶色い封筒は母宛
その中身を見て母は驚いていた