忘れたくないこと
覚えておきたいこと
いつか全部
忘れてしまう日が来るのだろうか
いや
来るんだろう
どれだけ写真を撮っても
どれだけ文字を書いても
deleteボタンを押すみたいに
「削除します」
のボタンをうっかり押すみたいに
それは悪いことではなく
良いことなのかもしれない
哀しくはあるけれど
きっとその悲しみもすっかり忘れてしまう
限られた脳の中では
哀しみさえも残しておけない
壊れてしまえば
否応なしに全消去
仕方ない
いつか
私の存在そのものも消えて無くなる
誰からも
誰の記憶からも消えてしまうのだ
それは
哀しいことではない
悲しむべきものではない
自然のことなんだ