見出し画像

「想像的でなくなった組織」への対応方法について

ローマ帝国の直前に動乱時代のあったことを知った。この動乱時代は少なくともハンニバル戦争までさかのぼるものであって、この時期にはヘレニック社会はもはや創造的ではなくなり実際、歴然と衰退の道を辿りつつあった。この衰退はローマ帝国の成立によって一時くいとめられはしたけれども、結局、ヘレニック社会とローマ帝国とを同時に亡ぼす不治の病の徴候となった。(中略)
事実、帝国が滅亡して教会が生き残ったのは、教会が民衆に指導を与え、民衆の忠誠をかち得たのに反して、帝国はとうの昔からそのどちらもできなくなってしまっていたからである。かくして死滅する社会から生き残った教会が、やがてそこから新しい社会が生まれ出る母胎となったのである。(「歴史の研究1」第2章 文明の比較研究より)

1,「創造的でない」とは

私は、当初「創造的でなくなった」「民衆に指導を与え、民衆の忠誠をかち得た」という意味、イメージが全然つきませんでした。

1)当時の指導階層は、過去の成功体験もあり、既に機能不全に陥りがちな「共和制体制」に疑問を持たない人が多かった。
2)ポエニ戦争後、社会構造等が変化したのにも関わらず、変化に対応することができず、逆に改革するものを暗殺・自殺に追い込むなど、徹底した反対勢力への対応をしていた。(これは変革しようとする勢力が育たないことを意味しており、実際変革がなさる当初は数少ない人数で実行することを意味しています。)

このような社会であったのにも関わらず、「共和制から帝政への移行」した。今から思うと、そのこと事体が創造的であったという認識でいたので、イメージがつかったのかなと思います。

2,旧体制への妄執に対して「見せかけ」で対応

帝政への移行した理由の1つとしては、問題解決案を決定するのに時間がかかってしまう共和制では、領土拡張により様々な問題を解決していくのには不向きと判断し、1人で決定していける帝政(実際には今でいう内閣等の政治体制を作っている)により国家運営をすべきだという判断によります。

古代ローマの場合、「共和制」から単純に「帝政」となった訳ではなく、「共和制」と見せかけて、いくつものの制度の積み重ねことによって「帝政」を作り出しました。

そのこと自体が、既存の社会への妄執度合いを図れるバロメーターなのかもしれません。逆に言えば、「創造的でなくなった」という表現のままの状態であったと判断すべきだったのかもしれません。

そういう意味では、「この衰退はローマ帝国の成立によって一時くいとめられはした」という価値に留まるものでしかなかったということでしょう。

3,「リーダーシップ」のみで「創造性」を継続できるか

本来であれば変革する必要があるのにも関わらず、「創造的」に活動ができない。
そのような組織に関与するタイミングには、二通りあると思います。
1)関与した際には、既にそのような風土にある組織
2)関与した時は活動的で成功体験をどんどん積み重なった結果、そのような組織に陥ってしまった。

問題は、どちらの場合でも、反対するだろう人達にどう納得して貰うか、でしょう。

2)の「関与した時は活動的で成功体験をどんどん積み重ねていった。だが成功体験の果てにそのような組織に陥ってしまった。」組織の事例としては、アレキサンダー大王の組織です。彼は東征と続けたかったけど、彼らの部下たちは従わなかったので中断せざるを得なかった。

この事例から判断すると、「東征」を実行できる程のリーダーシップがある人はそうそういるものではありません。そう考えると、単純にリーダーシップだけの問題ではないのかなって思います。

『民衆に指導を与え、民衆の忠誠をかち得た』とある通り、王への『忠誠』としては存在していても、王の指示への拒否として現れた以上、東征を継続するには、従前通りの『指導』『忠誠』では不可能であることを示しており、組織に『変革』を求めている以上、リーダー自身の『変革』していることを意味しています。

1)リーダー自身の変革

2)その他。この事案でいくと、アレキサンダーだけの変革だけでなく、別の問題を内在しているので、東征継続の為にはこれらの問題を解決する必要がある。→ 組織上の変革。困難度合いによってことなる。

4,私の体験したこと

私は、「関与した際には、既に創造的でないある合議制の組織」に関わっていますが、早急な対応が必要と判断した為、下記のような概要で提案をしました。

①しごくシンプルなもの。これなら誰でも理解できると思われる程度のもの。

②シンプル案の実行については、委員会を設けて、そこで一手に引き受けます。

変革案を頭で理解できても、何か責任を負わなくても、それだけでは受入れなれないものだったようです。

1)リーダーシップの取り方も、前任者の面影を追いかけている?

そもそも先代の在任期間が長ければ長いほど、強いイメージであればある程、先代のリーダーシップの印象が残っている為、人が代わればリーダーシップの仕方も異なることは頭では理解できても、心は先代のやり方でないと納得していません。

2)従前の活動の踏襲もある程度必要?

既存の役員の方達には従前の活動を見せながら、彼らの納得できる範囲内で別活動を開始し、その別活動(多面的活動も含めて)を別組織で拡大展開していけば良かったのかな、と考えている次第です。

3)社会的にも常識と思われるものであったとしても、当人たちはそうは思っていないこともある?

①AIの導入:これからはAIの導入をどの業界でも、どの会社でもどんどん検討されていくものと思っていましたが、その組織では「AIという言葉自体を総会議案に入れるな、資料も入れるな」と騒ぎ立てる組織でした。我ながら認識が甘かったと判断せざるを得ませんでした。

②ホームページの活用:当該組織は、今年の春までHPがありませんでした。HPやネットでの活用については、全く頭の片隅にもない人もいたので、そこの常識から開始をすべきだったようです。社会的な常識と思っても妥協して頂いても、結局は心からの納得にはなっていない以上不満の火種にしかなっていなかったようです。

まとめ

合議制である以上、役員の最大公約数で決定をしていくことが基本でしょう。最大公約数からどこまで改革案に近づけれるかを検討する必要があったと思います。

改革案を段階的に実行して為には、次へのステップに上がる為には、実行は裏で動いて、上がったときにはスムーズに活動ができるようにしておく。この繰り返しをしていけば良かったのかなと思っています。

《問合せ》
「電話」 又は こちらのフォームでお申込み下さい。

社会保険労務士法人ファウンダー  / 札幌障害年金相談センター

受付時間 平日 9:00-20:00(土日祝も対応可)

連絡先 ℡:080-3268-4215 / ℡:011ー751-9885

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?