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『劇光仮面』6巻

おもしれえ!!!!!

前巻までで「衝撃展開」だったお話にある程度かたがついて、この後どういう流れになっていくんだろうと思ってたんですけど、「ああなるほど!」という納得感と意味のある仕切り直しになってる真理りま編。

まず何が素晴らしいと感じたかって、現在の「戦隊特撮ヒーロー」とその作り手に対してのリスペクトが溢れてること。
これまではお話的に「特撮黎明期」「かつての特撮」に対しての愛と敬意がずっと描かれてきたわけだけど、ちゃんと「今の特撮物」を語るターンになったんだという。
そこで「昔の特撮物は良かったけれど~」みたいな老害回顧に陥るんじゃないのがとっても良かった。
しかもちゃんと今のニチアサっぽいセンスを再現してる感じ!
『後輩戦隊リョウカイジャー』はすんげえいいバランスだと思う。ほとんど正解なんじゃないかという距離感。
「ふざけてんのか」って一見思うけど今は普通に「ふざけてんのか」って一見思うくらいのシリーズを本当にやってるから、「そのカンジ」をちゃんと再現してるのは創作で初めて見たかもしんない。
なんとなくの空気感でパロディをやってる訳じゃないとしっかり伝わる。
(自分は特撮詳しくないけど、あのスタッフ陣は絶対モデルいるんだろうなー。わかる人なら一目瞭然なのかしら)

この「現場感」。たまらん。アニメのシナリオやってた時を思い出して圧だけでちょっと吐きそう。

その「現代の特撮物」を主題に置いて、「令和の今を生きる女性の物語」として主人公に真理りまを置く構成が、なんつーか、大正解!!としか思えないくらいにハマってて本当に素晴らしいです。
山口貴由流に解釈した「今を生きる女性の物語」をちゃんと特撮の文脈に乗せて物語っていくのは流石の一言。
マジですごい。超よくできてると思う。
なんというか、世間体なイメージで薄く「今を生きる女性の物語」をやってるんじゃなくて、ちゃんと語るべきものを語っているから、生きている者にしか感じないお話の手触りというか「重量感」がドスンある。それがどんなに荒唐無稽なお話に見えようと。確かに生きている者の物語が伝わる。
これはもう山口貴由にしか描けないだろうと。
まぁそんな漫画ばっかりなんですけど。

山口漫画の何が素晴らしいって
「山口貴由の漫画でしか読めないもの」であることがまずひとつ。

そしてもうひとつが
「絶対に『正しいこと』を言ってくれる」という安心感。

耳障りのいい「正しさ」ではなく、魂のこもった、こちらの目を覚ますような「正しさ」をちゃんと漫画に乗せて真剣にぶつけてきてくれる。
それが読みたくてこの人の漫画を読んでるわけで。

その感じが「現代を舞台にした作品」で一番炸裂してることも含めて、やっぱり『劇光仮面』は天才山口貴由の代表作にして傑作になるという予感は揺るぎません。

ああ早く続きが読みたいよぉー!

まだ本格的に動き出してはいないけど百目舌郎のキャラがたまらん過ぎる。
単行本最後のくだりの「ド変態以外の何物でも無ぇ!」というルーティンの怪人っぷりがたまらん(板垣版『餓狼伝』のクライベイビーサクラとか思い出したり)
そして名前が超いい。百目舌郎(ゼツロウ)。超いい。表記もかっちょいい。

コイツの大暴れとそれと相対することになるだろうベーアサーダ真理りまの対決が今から楽しみ。

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