【2024年面白かった漫画】
【2024年面白かった漫画】
1『ねずみの初恋』
2『スーサイドガール』
3『二階堂地獄ゴルフ』
4『夢なし先生の進路指導』
5『ういちの島』
6『ようこそ! FACT(東京S区第二支部)へ』
7『DOGA』
8『ザ•キンクス』
9『それでも天使のままで』
10『フォビア』
その他諸々
『薔薇がさくとき』『コワい話は≠くだけで。』『フォルトゥーナ』『MAD』『おちこぼれ』『バックホームブルース』『ニクバミホネギシミ』
(新しく読んだ方々)
『胚培養士ミズイロ』『フールナイト』『劇光仮面』『青野くんに触りたいから死にたい』『忍者と極道』『健康で文化的な最低限度の生活』『MUJINA INTO THE DEEP』『住みにごり』
(ずっと面白いけど更に面白くなってた方々)
個人的に今年は『スーサイドガール』が凄い印象的で。
大好きだけど毎回終わり方に恵まれない印象がある中山敦支作品が「このテーマは最後まで描かないと意味がない」という強い意思も感じた単行本連続刊行で、しっかり「完結」まで持っていった。
そこで描かれた最終回が本当に素晴らしかったのですよ。
まだキャラも設定も味がするだろうに、ちゃんと終わらせたのが凄く良くって。
漫画ランキングとかでもっと「今年完結させた」が入ってもいいんじゃないかなあとは前から思ってたんですよね。そこで作品として出来上がったわけだから。別軸でそっちのランキングがあったりしてもいいわけで。
で、『スーサイドガール』がずっと印象的だったんですけど、『ねずみの初恋』の新刊が「すげえ」でそれを超えていってしまった。
久し振りに読んでて震えた。
プロットはわかりやすくて面白い。
キャラも魅力的。
だけど演出のキレッキレぷりが尋常じゃなくて「なんだこの漫画は」となってしまった。スゴすぎてこんなにわかりやすいストーリーなのに「ヘンテコな漫画」の印象まである。そのいい意味での過剰っぷりとはみ出し方がメチャクチャ好きです。
本当に読んでて震えました。最高。
『二階堂地獄ゴルフ』は読みたかった福本伸行が帰ってきてくれた感動。
「中華料理屋での朝」の描写は生活感丸出しで、福本絵で、コミカルにだって見えるのに、名作映画の佇まいでした。
「わかっていながらまた地獄へ舞い戻っていってしまう男」。たまらん。
『夢なし先生の進路指導』は新世代の「犯罪者が出てこないウシジマくん的世界」として。面白かった。
この世の地獄、この世の不条理を、フィクションではなくデータで見せつけて、その物語を叩きつける。
でもそれを乗り越えるのもデータだったり、誰かが残してくれた著作物だったり、「学ぶこと」で世界を乗り越える。
こんなに健全な漫画も実は他にないと思う。
『ういちの島』はもう完全に見たかった都留泰作漫画という感じで。
美味しい設定てんこ盛りで好きなだけはっちゃけちゃってくだせえという感じです。
『竜女戦記』も変わらずずっと面白いんだけどなー。もっと評判になっていいのに。
『ようこそ! FACT(東京S区第二支部)へ』はnoteの感想でも書いたけど「今の時代の『未来世紀ブラジル』」だと思ってるし「『未来世紀ブラジル』のその先」を描いた漫画だと思ってる。
自分の中では『チ。』とこの作品はコインの裏表だし、ふたつセットでひとつのテーマでもあると思うので『チ。』が面白かった人はこっちも是非。
これも誠実で全うな最終回でした。
未だにふと「でもアレってこういうことだよな」って思ったりする。遡ってそういうことを思える深さと面白さが4巻につまっててやっぱすげえ作者だなーと思います。
『DOGA』は個人的に2、3巻でメチャクチャ面白くなってきたイメージです。
1巻ではまだ世界観キレイとか雰囲気いい感じとかで、面白みもわかるけどちょっとオシャレ雰囲気系漫画みたいな感じなんかなーと思ってたんだけど、ヨーテとドガの関係性がはっきりしだしてからメチャクチャ面白い。
なんつうか「アドベンチャー!」って感じでちゃんとケレンも見せ場もあって。
でもやっぱりヨーテとドガだな。本当に近年希に見るベストコンビだと思う。
『ザ•キンクス』は、なんかもう、説明とか野暮に思えてしまう。
榎本俊二っていう「絶対に天才な人」が、年を取ってどう創作する物が移り変わっていくのかをリアルタイムで見れる。それだけで凄い価値があると思ってます。
唯一無二過ぎる。
『それでも天使のままで』は今年出会った人枠。
いつの時代だって面白い「青春地獄物」を描いてる新しい人に出会えた。
他の「青春地獄物」と違って、なんちゅうか、より生々しいというか、創作とドキュメントの間のような、自分の経験に近いものをどろっと入れ込んでるようなイメージ。
こういうタイプの人が長編描くとド傑作になるパターンも多いと思う。新刊出たら絶対買う。
『フォビア』は「ある話」がメチャクチャ良かったパターン。
ゴトウユキコは凄く好きなんですけど(『水色の部屋』は大傑作だと思う)、この漫画は実は1巻読んでそんなハマらなかったんですね。原作の人との相性なのか「うーん…」という。
でもふらっと読んだ3巻の【死】のエピソードがメチャクチャ良かった。
漫画のコンセプト、テーマ、それとゴトウユキコ的な「それでも優しい世界」な作家性もばちっとハマった感じ。
短編的なひとつのエピソードで「メチャクチャいいじゃん!」と感動したのはこれだなーという感じでした。
個人的にはたーしの『おちこぼれ』と迷ったんですけど。あれもいい「短編集」だった。いい顔半端者ヤクザたちが最高すぎる。
あと「ずっと面白いけど新展開がちゃんと新しくて面白い漫画」が多かったと思いました(その他諸々の下の段の方たち)
『劇光仮面』の真理りま編。
『フールナイト』の新章。
『健康的で文化的な最低限度の生活』の東京水害編。
『住みにごり』の親父の話が終わった後の展開。
『忍者と極道』の救済無き医師団編。
などなど。
新しい漫画ばっかりじゃなくて、続けるカッコ良さもあるよなぁとか思ったりしましたです。
個人的な2024年で好きなキャラクター1位は『MUJINA INTO THE DEEP』のまいん。
好きなコンビは『DOGA』のドガとヨーテ。
あと『ういちの島』に出てきたあの夫婦。
好きな顔面はたーしの『おちこぼれ』に出てきた半端者ヤクザ達全員。マジで最高。本当に好きな顔ばかり。大好き。
はー、漫画面白いねえ。
本当はもっと読みたいんですよ。うん。