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『ダーウィン事変』8巻

相変わらず超面白いです。
しかもクライマックスが近づくにつれてグイグイ面白さのメーターが上がってきてる感じ。
それはちょっと意外に感じていたりもして。

うめざわしゅんって元々オモシロワンアイデアで短編をつくるのがうまい人ってイメージがあったんです(個人的にはそれ故に「なんかもうちょい弾けてもいいのに」とか感じてたりもした。他の要素は好きだったから勿体ねえようみたいな)
だけどその人が積み重ねによって文句が言えない面白さに物語を導いてるのは意外且つ「そうそうコレコレ!」という喜びもあり。

いやー、面白いっす。

改めて思うけど、細かい所作とか表情とか間とか、そういう表現の積み重ねが本当に丁寧だなぁと。
今回出てきた新キャラクターとかも短く端的にでもちゃんと印象に残るように描かれてて。
そういう細かい組み合わせでしっかりお話を上昇させながら、クライマックスに向けてキャラクター達が「ある1ヶ所」に集まってくる感じとかたまらん。うまいなー!と感じます。
全体のグランドデザインがしっかり出来てるんだろうなぁ。

これはメチャクチャ褒め言葉として言うんですけど
「誠実な作り手が手掛けた超面白い大作アメリカ映画」感。

こんな映画をシネコンで見たらその日は「もう勝ち」になる面白いやつ。

最高なやつ。

全体的に「良質な大作映画」を見ているような面白さがあるこの漫画ですけど、その中で一番「漫画力」を感じるのはオメラスのルックスだと思ってます。

例えばメチャクチャ出来のいいCGでオメラスを作ってもやっぱ「違う」と思うんですよね。
特殊メイクなりなんなりも一緒で、そういう視覚効果で「手が加えられている」存在になったらこの説得力は出ない気がする。

何も加工されていないそのままの「命」として同じ地平に立っていると感じられるからこのテーマが真に迫る。

それは「想像させる」小説でもやっぱ違う。
しっかりその姿が描かれていながら(デザインのバランスもほんと完璧だと思う)、嘘も加工もされず登場キャラクターと同じ世界にいる。
それが実現できるのって実は漫画だけで、この作品が漫画で描かれている意味がそこにあると思います。

さてさて、恐らくもうすぐクライマックス。
どうなっていくのか超楽しみです。

ファイヤアーベントさん(大好き)ももうひと見せ場あるだろうか。

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