『平成敗残兵すみれちゃん』3巻
最後に出てきた「枕営業」を持ちかける奴とすみれちゃんのやりとり良かった。
「枕営業」を提案する側をただのドクズ野郎として描くんじゃなく(一回こっちの「いかにも」な奴がそうかなと思わせる展開も効いてた)ちゃんと過去もあるしモノも考えてるひとりの人間として描いてる。
それが今の時代、逆に新鮮に感じたし「いや普通に考えたらそりゃそうだよな」と思わせる説得力もちゃんとあった。
で、説得力があった分、そこにどう対応するかってとこでちゃんと「キャラの魅力」でオチをつけてみせたすみれちゃんも天晴れ。
このふたりの感じ、凄い良かったと思う。
今巻の枕営業の話とか、前巻から出てきた「映像系」の会社を仕切ってる元アイドルの同僚の奴とか、想像してたより半歩踏み込んだ内容が出てくるのがこの漫画の面白いとこだなーと。
それにプラスして改めて、「敗残兵」なのはすみれちゃんだけじゃないんだな、と。
芸能界周辺で敗れて散っていった人はたくさんいるわけで、その人達を巡る乗り物としてすみれちゃんのバランスは丁度いいと改めて感じたし、今後も他の「敗残兵」な人達の今という物語を描いてくれるなら読んでみたいなと思いましたですよ。
敗れていった人達との対比として考えれば、雄星の立ち位置もより明確になるし。
ただ今んとこ「けっこー優秀」+「一応現実見えてる」という個性だけでうまくいきすぎちゃってる感もあるので、雄星が本格的にそういう業界の「闇」や「壁」にぶちあたる展開も読んでみたい。
最初はぶっちゃけ「この設定だけでどんだけお話続けられるもんなんだろーか」とか勝手に思ってたんだけど、この漫画で描かれる「リアルのライン」がだいたいわかってきたことによって、読んでみたい物語が幾つも思い浮かんできた。
それってたぶんいい漫画ってことなんだろうなーとか思います。
面白いっす。