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『二階堂地獄ゴルフ』5巻

頭の中で同じ理屈を言い方変えてグルグルグルグル巡り続けるといういつもの「福本節」ではあるんですが、状況があまりにも特殊すぎるわけで。
で、この異様な状況で繰り広げられる「福本節」を読んでいると、改めてそれがどこから来る面白さなのか再発見出来る感じがしてこの漫画は面白いです。

面白さの一番のポイントであり、これこそ福本伸行漫画の真髄だって感じる部分って
「魔法の力を使うかどうか」じゃなくて
「魔法の力を使うかどうかで悩む人間」を描いてるとこなんだなぁと。

そもそもが二階堂が「いい人」じゃなければ成立してない漫画なんですよね。

「いい人」って言い方もちょっと違う気もするけれど。
マジメ? 誠実?
どれもちょっと違う。

なんていうか「魂」の話だと思うんですよ。

せめて魂だけは汚さずに生きたいと思う人間。
そこだけが守れれば人間でいられる。もしくは「俺でいられる」。

黒沢とかもそうでしたけど、何も無いようなどん底の人間が生きてる意味。
それは「自分であることを貫く」という一点のみ。
その美しさに価値がある。

実は赤木の最期とかも同じ事を描いてたわけで。
あれはとびきりカッコ良くてロマンチックなフィクションとしての「男の生き様」。
でもみんながみんな赤木みたいに生きられないよ。
無理を通して最期までカッコ良くなんて在れないよ。
確かにそうかもしれない。
でもどんな人間であっても「出来ないこと」ではない筈だよ。
と、それで生まれてるキャラクターが黒沢やら二階堂やらなんだと思うんですよね。

やっぱり自分が一番好きな福本漫画のポイントはそこなんだなぁと改めて思う。

「人として生きること」の話をずっとしている。
それを見せやすい対象として、人生の岐路が圧縮されたような舞台だてとして「ギャンブル」が素材になることが多かったという。
そういう順番なんだと思うんですよね。
「ギャンブル漫画家」じゃなくて「人生漫画家」。
その見せ方のひとつの方法として「ギャンブル」があったという。

だから麻雀もしてないし血も抜かれてないし大金も動かないけれど、『二階堂地獄ゴルフ』メチャクチャ福本漫画してるなぁと感じるわけです。

いやー、超面白い。
やっぱ自分は福本漫画好きなんだよなぁ。

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