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『バックホームブルース』2巻

面白い!

なんつーかすっごい「ちょーーどいい」。
主人公である青空柑二郎のキャラの、クソ野郎っぷりやムチャっぷりやいいオヤジっぷりのバランスがちょーーどいい。
実際に人に迷惑かけすぎだしセコいし人間ちっちゃいしでダメダメはダメダメ。
でもやっぱりどこか愛せるオヤジ。

「ダメに見えて実は愛せるオヤジ」って、言うのは簡単だけどそのキャラを成立させるのって実はなかなか難しいと思うんですよね。
例えば作中のキャラが主人公にそういう評価をしていても、読んでる側が「別に愛せないけど」と思ったらもう終わりなわけで。
でも青空柑二郎はそうはなってないと思います。
その理由はしっかりあると思ってて。

2巻を読んでハッキリした気がするけど、青空柑二郎の一番のテーマ(つまりこの漫画のテーマ)は「カッコつける事のカッコ良さ」なんだろうなぁと。

カッコつけた結果が実際にカッコいいかどうかは問題じゃない。
自分が考える「カッコつけ」を押し通してみせるという生き様としての「カッコ良さ」。
そこで発生する現実とのギャップはちゃんとギャグにしながら(ギャグ自体がちゃんと面白いのはさすが長尾謙一郎)、「カッコつける事」から逃げ出さないオヤジをしっかり描いてるから、このキャラはちゃんと魅力的な「愛せるオヤジ」になってるんだろうなーと感じます。

特に今の時代、「カッコつけること」って一番ダサいことにもなりかねないと思うんですよね。
だからみんなカッコつけたがらない。
「頭良く見せたい」人はすんごいいっぱいいるし、
状況とタイミングに合わせて適切な言動を取れるみたいな「(大人として)格好いい」的な評価なら欲しい人もたくさんいると思う。
でも隠す気なんか毛頭ないレベルでバレバレのド正面から、全力で「カッコつけて生きてみせる」ような、自分の生き様全BETみたいなカッコ良さはダサいと感じて避けたがる人も多いんじゃないかなぁと感じます。

だからやっぱり青空柑二郎は今の時代に全く合っていない。

そして、だからやっぱり青空柑二郎はすっごい魅力的なキャラになっているんじゃないかと。

お話自体もテンポが良いからサクサク読めて、ギャグもしっかり面白い(細かい台詞のニュアンスが絶妙でいい!)。

「読みやすさ」もちょーーどいい。

なんちゅうか、こういう「床屋に置いてあって欲しい」タイプのいい漫画ってもっとたくさんあっていいのになーと思います。
たぶん今後もずっと、出てるの見かけたら買い続けるタイプの漫画だろうなー。


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