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『不老不死にならなくちゃ』
定期的にオリジナリティ溢れる面白い人が出てくる「学校物」。
「青春物」とか「10代の若者物」とか「学園物」とかじゃなく「学校物」の短編集。
もう最初の話から「学校物」としか言えない話だしねえ。
ちゃんとあーこれ、こういうの、この「学校にしかない空気感」と感じる雰囲気もたまらんです。
阿部共実とか小骨トモみたいな「学校地獄物」的なドスンとした禍々しさとはちょっと違うけど、ただただ「青春楽しい!」みたいなステキキラキラ空間とは違う、切ないんだか哀しいんだか美しいんだかわからない、独特な「その時にしかない」リアリティある空気を下敷きにして、寓話っぽいトンデモ設定がぶちこまれている奇妙な味わいはかなり好みです。
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個人的に「学校物」は「作者が自分を投影したであろうポジションの人物」以外のキャラが重要だと思っていて。
そこにどれだけリアリティがあるか、ちゃんと「人として見ているか」で、面白さが決まると思っていて。
そういう意味では『オガワくん大繁殖』の岸辺とか、あそこら辺のキャラがもうちょい深掘りされてたらいいのになあとは思っちゃったかなぁ。ちゃんとただの嫌なヤツじゃなく「大人になりたいだけだった人」って描写があったのは安心したけど。
(そういう部分でいうとやっぱり阿部共実の漫画が一番好きなんですが。「一見そうは見えなかった人物」「勝手にこっちがこういう人だと決めつけていた人物」がひっくり返るのは、まだキャラクターが未成熟な「学校物」とメチャクチャ相性がいいと思うので)
こういうタイプの人が長編を描いた時に、とんでもない傑作がうまれる事が多いと思ってるので、覚えておこうと思います。
にしてもいいタイトルだ。