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『アヤシデ』3巻
1巻のあのドロッドロのカオス状態に比べると状況がだいぶ整理されてきて、これが「どういうお話なのか」というのがだいぶ説明できやすくなってきたと思います。
ただ、それはそれで「フツーの漫画」として面白くもあるんですけど、1巻で見せたあのドロッドロの「え? は? そうなるの?」という展開(しかもそれが「なんとなく理解できる」という共感性)がもう一度見たいと願ってしまってもいる。
実は世界の謎はなんにもわかっていなくて、その中に「爆弾」となりうるキャラはゴロゴロ転がってて。
特に「テンメイ様」のあの純粋さはとても危うい爆弾に見えていて、もしアレがひっくり返るような事があれば相当なカオスになるだろうとどこか期待もしてしまっている。
ただこの作者さんが基本的に何を描きたい人なのかはまだわからんので、それをそのまんま描いてくれたら、着いていきたいだけの面白さは担保されてるとも思いますです。
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意外なほどいいキャラだったハチとか、へきるの独白の切羽詰まった感とかは好きです。
こういう設定の漫画で、何やら遠大な計画を立てていそうだったり「人と旧人類」みたいなでかいテーマだったりも面白くなくはないですけど、やっぱりこの人の魅力は地べた這いずる人間の哀しい咆哮な気がするので、それで世界が変わる瞬間を見てみたいちはどうしても思ってしまうかなぁ。