『スーパースターを唄って。』3巻
「才能」を漫画に描こうとする時にどう表現するかは、漫画の永遠のテーマのひとつなんじゃねえかなぁと思います。
今まで色んなジャンルの漫画で色んな方法が試されてきたわけで。改めてそういう考えで色んな漫画を振り返るのも、時を忘れるくらいに面白そうと思う。
あの漫画のあの表現方法は好きとか、そういえばあの漫画のあの展開ってそういうことだよなとか、あの漫画にいまいちノレなかったのはそこが原因だったのかなぁとか。
思い返してやっぱり感じるのは「理屈」よりも「説得力」。
読んでて「負けた」と思わされたら負け。
作中でのロジックとか知らん。「よく考えたらおかしな点」とかも知らん。何をどう考えてこういう描きかたになったとかも知らん。
「あ、スゴいことが起きてるんだ」と思わされたら負け。
そういう意味で『スーパースターを唄って。』の雪人がラップをしだした瞬間の「説得力」はすげえもんがありました。
はっきりと震えた。読者として「永遠に忘れられない一瞬」になるような説得力。
実はラップシーン自体は描かれないのに「きっと凄いことが起きたのだ」と思わされちゃったんで完全に負けでした。
で、3巻でのリリーの話は、話としてはメチャクチャ好きだし、この作者さん特有のリリカルな回想描写の雰囲気もメチャクチャいいです。
ただビミョーに「負けた」とまで思えなかったのも正直なところあって。
「それが何故か」を考えるだけでも数時間くらい経ってしまいそうなくらい。
たぶんちょっとした「体調の差」とかのレベルかもしんない。
でもやっぱりこの漫画を「雪人の物語」と思って読んでたからかなぁというもはあるかも。
あの回想からの一撃を雪人だけに許された表現方法に感じてたのかもしんない。
んー、うまく言えない。
「才能」って言葉を作中で明言するリスクも感じたりしたりなんだり。
まぁ変わらず面白い漫画だし、何より「唯一無二」な何にも似てないオリジナリティが絶対にあるって漫画なので、続きは楽しみにしてます。
いやぁ、難しいよなぁ。「才能」を表現するのって。それだけをテーマに飲みながら語りたい気分だわ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?