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『DOGA』3巻

AとB。
ふたりのキャラクターがいます。
Aはaに秀でているがbが出来ない。
Bはbに秀でているがaが出来ない。
その2人が一緒になれば互いを補完しあえる関係になるので「魅力的なコンビ」のキャラクターになります。

なんてバカみたいに当たり前な内容ですが、意外とちゃんと出来ている作品は少ないと思います。

結構ムリヤリBに活躍の場を与えて「やっぱりAにはBがいなくっちゃね!」という見せ場を作りにいったり、あと単純に「見栄え的にこの2人並んでるといいカンジ」だったり、そういう意味で「いいコンビ」なキャラクターは多いと思うし、それが悪いってわけでもないんですが、でも本質の部分じゃ違うような気もするんですよね。

なんでそんな事を考えたかというと、この漫画のドガとヨーテが、本ッッッ当に理想的な「魅力的なコンビ」だなーと改めて思ったからです。

要因は幾つもあると思うんですけど、まず第一にそれぞれのキャラクターが「コンビにするために生み出されたキャラ」って感じがしないのが大きい。
説明がすんごいむずかしいんですけど、「AとBが出会う前の人生」がしっかりある感じ?
魅力的なコンビを描きたいとなるあまりに、Aの相方として(またはBの相方として)の設定ばっかりになっちゃって「お前らって出会った瞬間にうまれたの?」みたいに感じちゃうパターンも多い気がするんですが、そういうのが全く無い。
お互いにしっかり「相手と出会うまで」の人生が積み重ねられていて、それだけでもちゃんとキャラクターとして生きている。

でも圧倒的に「ふたり」でいる時の方が魅力的に見える。

このふたりが揃ってると明らかに面白いんだもの。
互いの長所も短所もどちらも魅力的に見えてくる。
でもそこに「コンビとしての魅力を出すため」っていう作為もあまり感じないんですよ。

自然に、そうなるように、このふたりが出会って、それが魅力的になっている。

そこが「すげー」と思うんだけど、うまいこと言語化できねーなぁ。

魅力的なコンビを作ろうとしてあんまうまくいってないなぁって時に陥る事として、AもBも個のキャラクターとして魅力的にしたいと考えた時に自然と「出来ないこと」の比重が小さくなっていってしまうんじゃないかと。
言っちゃえば欠点だしカッコ悪いとこなので、そこを乗り越えてしまったり、いつの間にか消えてなくなっちゃったり。
結果として「いや、Aがaもbもすりゃいいじゃんもう」みたいなパターンも多い気がするんですよね。
(『相棒』とか。水谷豊が全部やればいいんじゃねーのかと思ってしまう)

「出来ないこと」もキャラクターの魅力だと思うんですよね。
ドガとヨーテはそこが凄くうまく出来てる。
互いに「出来ないこと」にしっかり理由がある。

すんごく単純化していっちゃえば「体は弱いが賢いヤツ」と「ものを知らないけど力持ちなヤツ」のコンビなわけで。
ヨーテが「体は弱い」のはこの物語の設定の根幹部分だし、そうなった経緯(機械化)も読者は見て知ってる。
ドガが「ものを知らない」のはこの世界観の根底にある社会のせいだし、ふたりの身分の差によるギャップという形で読んでると何度も現れる。

どっちも納得できる「出来ないこと」だし、それが漫画のテーマと不可分になってる。

だから「このふたりが連れだってこの世界を旅する」事に漫画の中でとても意味があると感じるし、このふたりじゃなきゃダメだともなってる。

本当に「ベストコンビ」だなぁと思います。
恋愛感情じゃないのがまたいいね。



本筋の内容としても本格的に「追手側」が出てきて面白くなってきた。
しかも追手側の連中が想像してた以上に「恐い」&「手練れ」でめっちゃいい感じ。

あのお兄様が「どうやら完全に頭がおかしいっぽい」というにはわかってましたけど、その手駒の連中がこんなにちゃんと魅力的なのは予想外。
まだ名前も判明してないのにどいつもちゃんとキャラが立ってる。
しかも全員が特殊技能持ちっぽいなんて。
「冒険エンタメ」としてサービス満点で素晴らしいっす。

こっからドンドン楽しくなっていきそう。

ひとつだけ贅沢言うなら、カラーページもっと見たいなーとは。
やっぱ世界観がすげえいいし、色の使い方もステキなので。
表紙以外でももっと見たい。
と、贅沢だけ言っておく。

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