2024ベストアルバム30選
今年も終わるぞ。今年のアルバム100枚をTopsters 3を使って選んでいたのですが、70枚を過ぎたあたりで全データ破壊してしまい、心が折れました。しかし、「そういう運命だったんだ」と思う令和ロマン・くるまさんの主人公理論を使い、30枚に厳選してnoteに投稿することに。100枚だと絶対していなかった。
ちなみに私はTaiTanが憧れ。中高生のころまで持っていたサッカーのコーチになるという夢以来、夢がなかったが、いまはいつかTaiTanと仕事をするという夢があるかもしれない。よく分かってはいない。
前置きはこれくらいにして、30枚なのでスピーディーに紹介していく。順位があるわけではないです。どうしても海外アーティストはリリックへの理解が薄いので、分量に差は出ますが悪しからず。
1.MONO NO AWARE - ザ・ビュッフェ
上半期のベストアルバムでも挙げさせてもらったが、やっぱりこれは本当に大傑作。一年通して聴き続けた。
玉置周啓は、"静と動"、"過去と現在"、"在るとない"のような発生していること、起こったことを全て受け入れているように感じる。ある種の諦めのような気がするかもしれないが、そうではなく、その上で発生する葛藤の中のアレコレさえも受け入れる。みたいな感じ。『野菜もどうぞ』の「野菜は美味しいから食う、本は面白いから読む、眠たいから今は寝る」や映画『パストライブス』からインスピレーションを受けた『イニョン』の歌詞などは、そんなスタンスが透けて見える最たる例だと思う。
2.Lil Soft Tennis - BIG HARD TENNIS - EP
前作『i have a wing』のハイパーポップから一転、今作ではかなりロックな一面を押し出したEP。それでも、前作と同様「大きくなる」「これからの時代はおれがかき回す」といった意気込みを感じる作品。実際、今年は2回ライブを見る機会があった。2回目は今作のリリース後ということもあり、みんながテニスに巻き込まれていくのを感じた。本人がよく言うけど、本当に年々「大きくなる」ので全員名前を知る日が必ず来る。
3.Clairo - Charm
大大大傑作。これほどまでに、心を浄化させられた音楽は初めて。繊細で柔らかい歌声とそれぞれの楽器が見事に調和している。寝る前に聴いていたアルバムランキング第一位。これに関しては来年も不動だと思う。
4.MIKADO - Re:Born Tape
ミックステープといいつつも、曲順含め構成的にもアルバムっぽさがある作品。地元の話を中心に日記的に書き殴りながらもどこか笑えるリリックが特徴。後半はややエモーショナルな一面ものぞかせてくる。TOFUとの共作も含め、基本的にはパッションが大きいラップが多いので、そのギャップも含め幅の広さに驚かされる。
一番笑えて好きなパンチラインは『syachi』の「肌の上で動く針、それはタトゥーで時計じゃない。和歌山やし食べるみかんだけどリリック絞るライム。親泣かせる仕方ない、これで稼ぐごめんなさい。あげる溶けないほうのアイス」
5.PAS TASTA - GRAND POP
前作、『GOOD POP』から『GRAND POP』へ。前作はハイパーポップ色強めで大好きだったと同時に、今作を聴いて「POP」ミュージックとして前進したPAS TASTAを感じた。最初聴いたときは前作のほうが好みか?と思っていたけど、何周もするうち(その時点でハマっているが…)に少しずつ解釈が進んだ気もする。Xのどこかで、「ポップミュージックの一番気持ちいい部分をずっとやっている」的なるポストが目に入ったのだけど、大納得。気持ちが良すぎるよ。今年のサンリオハロウィンで初めて生で見れて感無量でした。
6.柴田聡子 - Your Favorite Things
甘い声と優しい音色が特徴的であるけど、それでも足場ははっきりと確認できる感じ。何よりそこがいい。正直、全曲グッドミュージック。それなのに、一曲一曲がつぶし合わずシームレスに次の曲へ移っていく。それも色んな音楽が展開されていくにも関わらず。一曲一曲はミュージックに足場があるのに、アルバムとしては声に足場があるからこのように感じたり、あるときには一曲一曲は声に足場があって…と反対にも感じたり。
多分私が思っている以上にとんでもなく難解なのだと思う。それでも、大衆が聴いても心地よさを感じられるくらいポップに寄せてくれてもいる。究極のバランス感覚。
7.¥$,Kanye West,Ty Dolla $ign
結局なんやかんやスゲーなと思う。何回死んでもアルバムさえ出せば、あれこれが無に帰されるくらい話題にされて実際とんでもないアルバムになるカニエ。音楽の歴史の一問一答があったら絶対★3がつく名前だと思う。どのアルバムもそうだけど、一曲目でグイっと持っていかれる。
8.Claire rousay - sentiment
アンビエントなベッドルームポップ。ジャケットのような日が一年で何日と来る日が個人差はあれど、あると思う。まさにそういう日に聴きたいアルバム。優しく、儚い。実験的なのに温かいアルバムはどこか自分を受容しようと思える。今年、日本来ていたけど観れずで残念。東京が羨ましいのはこういうとこ。
9.Need a Flex - 破壊と再生
日本のシーンで最もかっこよかったレイジのアルバムだと思う。本人がXで本作のビートを提供してくれていた人たちに感謝していたけど、ヒップホップのサブジャンルでこのアルバムが出たことこそ、日本のヒップホップが大きくなった証左だと思う。リリース翌日にこのアルバムに客演参加しているMyghty TommyのEPも出てたけど、こちらもかっこよかった。日本のラップは結構ガラパコスで、USとは似てない人が多いけど、日本のレイジシーンはめちゃくちゃUSだと思う。もっとレイジが流行ってほしい。
10.藤原さくら - wood mood
柔らかく、優しいJAZZにスモーキーな藤原さくらの声が絡みつく。本人が「原点回帰をしながら新しい扉を開いた」と話すように、1stアルバム『good morning』と雰囲気は少し近いと思う。そこに大人の色気と落ち着きがある感じ。ここ2.3年のアルバムは多ジャンルのミュージシャンがプロデュースで一つのアルバムに参加してたこともあってか、ごちゃ混ぜJPOPのアルバムという印象がどうしてもあったけど、今作は一貫したJAZZアルバムで洗練されている。朝でも夜でもずっと聴いていられるスーパーなアルバム。
11.春ねむり,Frost Children
このリリースを知ったとき、さすがに目を疑った。春ねむりが海外で人気なこと、Frost Childrenの曲を聴けば日本が好きなことは容易に想像ができること、これらを踏まえれば有り得ない話ではないが、さすがにびっくりした。結果は大爆発。両者が合わさって100点を目指しているのではなく、両者の100点をバチバチにぶつけあった結果200点の一作品になっている。
12.Dos Monos - Dos Atomos
Atmos(原子)が表すように、剥き出しというか、ストレートというか。イヤホンをつけてこのアルバムを聴くと、いまからこのアルバムと戦うんだという気さえする。前からではあるけど、RIZINのテーマソング的なのに今回も起用されたのは、自分の極限を肉体的に相手にぶつけるという、ある意味ではシンプルな格闘技との親和性が高かったからで、それはこのアルバムが剥き出していることの証明でもあると思う。アルバムを聴き終えたあとには「終わった!」という感想が毎回残る。長いというわけではなくて、「戦った!」という気さえしてくるから。
13.AMEFURASSHI - Flora
もちろんNew JeansはGOATですが、日本にもNew Jeansがいることは知ってほしいと思う。坂道アイドルを筆頭にアイドルのことはよく分からないのであまり言うこともできないのですが、『私立恵比寿中学』や『REIRIE』…と日本のアイドルも音楽的にがっちりとしたアルバムを作っているグループも多いんですね。日本の人気アーティストの8割より、AMEFURASSHIのほうが良い曲作っているんじゃないのと思う。
14.Tyla - TYLA
今年は日本にも来ていましたね、観たかった…。私を含め、『water』の大ヒットで知った人も多いと思うのですが、アルバムではルーツのアフリカを土台にシームレスに曲が続いていくのでアルバムとして聴き心地が良いのがとても好き。
15.TOFU&MIKADO - New Vintage
ここ数年盛り上がりが凄まじく、シーンの話題にも度々上がる和歌山から2人のラッパーが放った作品。なんといっても特徴はダブルミーニング。笑えるしカッコいいのずるい。
「ずっとソフトバンクなのに今年変わるキャリア」、「俺は鼻からいく白浜」、「プリント割れるまで着たギャルソン、でももう割れない俺のハート」みたいな良パンチラインだらけ。
まず、王道的なカッコよさをもつHIPHOPで普通に聴いていてもカッコよく聴ける上にコレだからすごい。客演もlj、HARKA、7と和歌山のラッパーから。クルーを結成しているわけではないけど、音楽性の趣向と地元を押し出す姿にBADHOPをどこか感じる。でも、みんな若いし、これからそのくらいシーンに名前を残していくんだろうなと思う(言った!!)。
16.Watson - Soul Quake 2
MIKADOを含むいま勢いのあるラッパーたちにも影響を与えているWatson。といっても彼自身も若いのですが…一つの型を完全に見つけてシーンを無双しています。そんな大人気状態でもまだ徳島を拠点に活動していて、今作も随所に徳島のことを歌っている。
『阿波弁』では方言を生かしながら徹底的に韻を踏む。そんな中でも欠かさずいちいち面白いこと言ってくれるのがたまりませんね。
17.どんぐりず - DONGRHYTHM
ワールドな音楽をふんだんに取り入れているダンスミュージックで最高に楽しい。楽しくないときもこれ聴いたら踊れるし、楽しいときはもっと楽しくなる。
18.Valknee - Ordinary
valkneeはリリックが面白いラッパーの代表格だと思う。
「ICEBOXに9%やりすぎ、弱冷房回避してるギリ、だってペイするキャッシュがない日々、私ゴールドなる木に」、「バカ寿司食ってダベり、シャバイサーモンチーズ炙り、狂ってる物価毎日、たまに乗っちゃってんのタクシー」など、普通に笑えるだけでなくHIPHOP精神ゴリゴリ。
リリックだけ見てもvalkneeかなと思えるものは、本人のものになっているということだろうし、ラップである意味があると思う。あと、それぞれの曲で繰り返されるワードがいちいちチャーミーで頭に残る。ミュージックもダンスミュージックで踊れるし、かなり好きでした。
19.Smino - Maybe in Nirvana
ラップがスムーズすぎて耳触りがいいアルバム。スルッといける。
20.パソコン音楽クラブ - Love Flutter
クリアな電子音楽が脳内に響く。サウンドが完璧にまとまっているのに頭の中では一音一音が正確に意思表示される。アルバムとしての完成度が高くて聴きごたえがある。何度も聴きなおしたくなる。
21.Mustard - Faith Of A Mustard Seed
超豪華客演陣に、極上のビートクオリティー。夢が詰まっている。
22.Roy Blair - Chasing Moving Trains
シンプルに良い。歌もミュージックも100点。
23.Quadeca - Scrapyard
『Texas Blue』はアンセム。全体的に雰囲気はアブストラクトで哀愁を感じる。
24.iVy - 幽泳プログラム
neo羊文学・kurayamisakaを感じるシューゲイズ。どういったキャリアを歩んでいくのか、作品を生むのかはまだまだ分からないけど、とんでもないとこまで行く可能性があると思う。
25.NENE - 激アツ
今年世界で活躍したプロデューサーkoshyが全曲プロデュース。それにNENE。鬼に金棒。東横でのフリーライブ含み、かなり潮流に敏感なのだと思う。
26.BLACKSTARKIDS - Saturn Dayz
ジャズラップからドラムンベースなど、メインストリームのトラップなどからは離れた距離からかましてくるラップトリオ。全体的に全世代聴きやすい曲が多い。
27.Little Simz - Drop 7
7曲15分とボリューム感が無いのでサクッと聴ける。もう少し長く聴きたいのが本音ではあるが、それでもまとまり具合と『Fever』がMy best級に良かったので入れた。
28.窓辺リカ - Infinite Window
知らない人はもったいない。14歳で渋谷WWWのステージに立つのすごすぎ。シンガーソングライターとかならまだ分かるが、このタイプのアーティストがこの年齢でどうやってこんな音楽作れるんだ?ジャケットからは想像がつかないほど先鋭的な電子音楽がバキバキ鳴る。それに持ってきて歌も展開が読めず面白いのがいい。
29.Corey Lingo - For What It's Worth
plugg・pluggnbの曲をジャンルとして認知して聴き始めたのは昨年末あたりでまだまだ知らないことだらけですが、それでもこの作品はこのジャンルで今後もトップレベルに君臨してくれる気がする。ハイハットが気持ち良すぎる。
30.Geordie Greep - The New Sound
足し算的に詰め込まれたアルバム。てんこ盛りで休む間も与えられずにいろんな音楽が鳴る。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。今年は2600アーティスト聴いたようです。来年は5000目指してみたい()。