逆ぶりっ子がクセになっていると齢20歳にしてようやく気づく。
ぶりっ子、小悪魔、あざとい系などなど、こういった女性は男性にモテる。高校生くらいまではこの手の女性を毛嫌いしていた時期もあったが、最近ではむしろ尊敬の対象である。異性を虜にする彼女らの振る舞いは技術であり、ぜひとも習得したいと切望してきた。
願うだけではなく、行動にも移してきた。笑顔を絶やさない、リアクションは大きく、かわいく頼み事をする、さりげないボディータッチなどなど、代表的な仕草に挑戦した。「自分がやったら気持ち悪いんじゃないか」と頭の中でささやく第3者視点の自分を押しのけ、実行に移した。傍から見ればまだまだぎこちないだろうし、実際効果も出ていないけれど、それでも以前と比べればだいぶ成長した、とそう思っていた。しかし問題は別にあった。異性を虜にする技術を身につけ成長する云々の前に、より根本的な問題を見落としていたのだ。
それが逆ぶりっ子癖である。逆ぶりっ子という言葉があるのかどうか知らないが、ぶりっ子が異性を虜にするなら、逆ぶりっ子は異性から恋愛対象として「見られない」ように努力することである。ぶりっ子を志しながらそれと逆行する癖を持つという、こんな大問題になぜ気がつかなかったのか、我ながら疑問である。
気づいたきっかけは気になっていた異性との会話だった。私とその彼と、私の友人N子の3人でご飯を食べに行く約束をし、待ち合わせ場所で私と彼が先に着いて話をしていた。彼とN子は初対面。N子には彼氏がおり、念のため釘を刺しておこうと思った私は、N子に彼氏がいることを伝えた上で「だからべたべたしたりするのは今回はなしね。でも○○(彼の名前)が女子に迫ってるところとか見てみたいかも笑。」という感じで話を続けた。
お分かり頂けるだろうか。この恋愛感情を一切感じさせないセリフ。これでも私はこの彼に恋愛的好意を抱いているのだ。このセリフのあと、ふと「あれ、これ自分から脈なしって言ってるようなもんじゃない?こんなんじゃ口説く気も起こらないに決まってるじゃん!」とようやく気づいたのである。
どうしてこんな癖を身につけてしまったのか心当たりはいくつかあるが、それはまた別の機会に書こうと思う。とにかくここで重要なことは、異性を虜にしたい、ぶりっ子になりたいという自分の意志と反する悪癖は、一刻も早く克服するべきだということである。一旦ぶりっ子修行は延期し、気になる異性に対する脈なしアピールを止める訓練を始めよう。
2022/04/07 さつき