【就活】「人事の息」に気をつけよう
みなさんこんにちは!
就活支援をしていると、とある企業に入りたい就活生から「先輩社員が素敵だったので」というのが決め手だという話をよく聞きます。
でも、ちょっと待って欲しい。
今回は「特定の社員を決め手にする」就活のリスクについてまとめました。
企業選びの軸と早期退職する理由
かれこれ15年以上採用の仕事をしていますが、就活生の企業選びの軸はそこまで大きく変化していないように感じます。
リクルートキャリアの調査では、自身が成長するイメージが持てるかが一番で、以降は福利厚生や勤務地、安定性など条件面が多く並びます。
残念ながらいずれも入社後に仕事を続けていける本質的な理由ではないのですが(また改めて書きます)、いずれにしても、成長できそう!と「学生本人が感じる」かと「見た目の条件面が良ければ」決めてくれるようです。
※参照元:リクルートキャリア「就職プロセス調査」(2019)
その一方で、日本では新卒入社3年以内の離職率が約3割以上という状況が30年ほどずっと続いています。
退職理由の上位をざっくり言うとこんな感じです。
「思っていた仕事と違った」
「思っていた待遇や福利厚生じゃなかった」
「成長できそうになかった」
「働かされ過ぎ」
「人間関係が無理」
…あれ?苦笑
こうやって、入社前の決め手と並べてみるととても切なくなりますね。
参照元:アデコ【アンケート調査】新卒入社3年以内離職の理由に関する調査(2018)
なぜこんなミスマッチが起きてしまうのでしょうか。
就活で「公式に」出会える社会人は「上の2」
組織創りを語る上でよく出てくる話の一つに「2:6:2の法則」(働きアリの法則)というものがあります。
人間が構成する組織の構成比は、
やる気がある:20%
普通:60%
やる気なし:20%
になる。というものです。
これは元々は「パレートの法則」(2:8の法則)というイタリアの経済学者パレートが発見した経済学の法則から派生した亜種ではあるのですが、よく使われていますね。
僕自身もこの2:6:2の法則に全てが当てはまるかといえば多少のブレはあるものの、過去に所属したバイト先、会社、コミュニティを振り返ってみると大枠そうなっていたなぁと感じます。
さて、ではあなたが経営者だったとして、採用活動を担当する人事や採用担当者は会社の中で2:6:2のどのゾーンの人に担当させたいでしょうか。
多くの方が「上の2」と考えるかと思います。
(育成や経験を積ませるといった視点・目的の場合は変わります)
就活生に向けて自社が魅力ある会社であることを印象付ける為には、人事のプレゼンだけではなく、実際に現場で働いている先輩社員と接触させる手段は有効です。
なぜなら、就活生が入社の決め手にする要素の第1位は「この会社なら自分が成長できそうと思えるか」なので。そう思わせられる人に接触させるのが説得力になるからです。
では、人事が就活生の皆さんに接触させる先輩社員は2:6:2のどのゾーンの人が多くなるでしょうか。
当然、「上の2」の可能性が高いですね。
でも、ここで気をつけたいのは就活生にとって企業を選ぶ上で大切な判断ポイントである「社風・価値観」をどうやってはかることが出来るかということです。
ホームページでうたわれている理念や表向きの社風ではなく、「実際の社風や価値観」とはその企業の「多くの社員が日常で体現している言動・行動」によって形作られています。
多くの社員。
2:6:2
真ん中です。
つまり、就活生にとって本当に大切な情報をくれるのは、「人事の息がかかった」上の2ゾーン先輩社員ではなく、社内で普通に仕事をしている「普通の6」先輩社員ということですね。
こういうズレからミスマッチが起きているんだろうなぁと感じます。
ちなみに、じゃあ上の2先輩社員と会う必要がないかというとそんなことはありません。その企業が「会社の看板」として公式に表に出ることを認めている上の2ゾーンの社員とあなたが接点を持ったとして、もしも「あれ、全然魅力的じゃないな」と思ったら、その人たちが上の2になるわけなので。という判断基準にはなります。
本質的な社風や価値観を掴むためには、インターンシップや会社訪問などで社内を普通に歩いている社員さん(人事の息がかかってない)に声をかけたりしてみての反応をみるのが良いと思います。(今は直接会うことが難しいこともあるので、なおさら難易度が上がっているとは思います)
企業側の丁寧な説明と学生側の本質的な思考が必要
なんか、これまでの話を就活生視点で見るとあたかも企業側が騙し打ちをしているかのように思えたかもしれませんが、決して全ての企業がそういう考え・活動をしているわけではありません。
僕のお友達、繋がりで同じく人事をされている方の企業でとても素敵だなぁと感じる企業もたくさんあります。(実際に就活生に相談を受けた時にご紹介したりもします)
ポイントは同じ先輩社員ばかりではなく、複数の先輩社員に接点を持たせてくれたり、良いところばかりではなくまだ足りてないところや弱いところも話してくれる、会社訪問なども快く迎えてくれる、といった誠実で正直、オープンマインドな企業かどうか。
このように対応してくれる企業は信頼できますよね。
逆に言えば、学生側も「都合の良い情報」ばかりではなく、社会に出るとどんな会社に入っても大変なことはある、という覚悟を持った上で就活に臨み集めた情報を鵜呑みにせず、自分の価値観と照らし合わせたり、しっかり思考を入れた上で本質的に判断することが大切だと感じます。
いかがでしたでしょうか。
今回は就活支援をしていてよく見かける就職先の危ない決め方についてまとめてみました。
参考にしていただけたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!