尿膜管遺残症の入院日記FINAL(手術編)~遥かなる旅路 さらば臍よ~
入院日記最終章です。
今回はちょっと痛い表現やらアレな話が多いので苦手な人は注意してください。
↓の続きです。
手術前のいろいろ
再入院して、いよいよ開腹手術の日が迫る。
手術内容は単純明快で「臍と膀胱の間の管の切除」というもの。
悪いものは元から断つという考え。
嫌いじゃないね。悪即斬だ。二重の極み。ガトチュゼロスタイル!!
初入院から1か月後のことなので、臍にある肉芽の腫れも落ち着いていたので正直な気持ちとしては「もうやらなくてもいいんじゃないか?」と思い始めてた時期。
そんな私の気持ちとは裏腹に病院側は手術する気満々のようで、手術の同意書を書いたり血液検査や麻酔のアレルギーチェックが始まる。
麻酔の担当医師に「全身麻酔の後遺症でうんたらかんらがピーピーする可能性あります。でも可能性は10万人に1人くらいなので安心してください!」的な事を言われる。
「そもそも5000人に1人しかならないような病気になって手術する事になったわけでそんな気休め言われてもねぇ!?」と内心思ったが私も大人なので黙って従う。
こういうもんは結局運が悪い奴が悪いのからね。恨みっこなし!
可能性は低いが輸血するかもしれないのでこれも同意書を書かされるが輸血だけはちょっと抵抗あるので少し悩む。
オカルト的なものを信じてるわけではないが、自分の体に他人の生命的な物質が入ってくる話に対して即答で「YES」は言えない。
もし輸血をしても輸血したかどうかを言わないでおいてもらえるかと頼もうとしたが、輸血しなかった場合も「もしかしたら輸血したのかも?」と自分の体に疑心暗鬼になりそうなリスクもあるので結局輸血OKで通すことにした。
手術の事前準備は選択の連続である。
なるべく自分の判断で選択することによって後悔しないようにしておくことにする。
結果としては輸血をせずに済んだ。
これで1986オメガトライブのライブでカルロス・トシキに「君は1000%~♪」と透き通った歌声と同時に指を指されても安心できる。
もし輸血してたら「何%かは私じゃないんですけどねぇ」と冷めたオーディエンスになってたかもしれない。
検査や書類のやり取りが終わり看護師に「手術までにT字帯を買っておいてください」と言われる。
最初はT字帯がなんのことだかわからなかったが、要は「ふんどし」だ。
人生初ふんどし、お買い上げです。
手術前日に試着してみたが抜群の通気性でケツに爽やかな風を感じる。
すっかり気分は花の慶次。 手術は漢の華舞台。
手術日当日
手術の前日から断食をする。お腹を空っぽにする必要があるらしい。
私の手術はお昼の12時から約2時間程度なので朝食を我慢するだけで済んだ。
朝食の代わりに朝から1時間程度の点滴をする。
いつもやる抗生剤よりデカめの点滴だ。
看護師に「点滴が終わる1時間後くらいに浣腸をします」と告げられる。
まぁやるだろうとは思ってたので心の準備はできていたが、一応「さっきトイレで出たんですけど、やらなきゃダメですか?」と聞いておくが、「やらなきゃダメです」と即答される。でしょうね。
そして1時間後、浣腸マシーンを持って看護師さんが来る。
よくある片手で持てるいちじくサイズの浣腸を想像してたが遥かにデカイぞ!
それと、1時間で終わる予定の点滴がまだ終わってない!!
看護師は点滴が終わってないことをしっかり確認しつつ浣腸の準備は進み、説明が始まる。
どうやら浣腸は体内に入ってから5分我慢しないといけないらしい。
できらぁ!とか返事をする前にどんどん準備が進む。
いよいよ私のケツ待ちになり、そのままなし崩し的に脱がされることになる。
そして浣腸が始まり体内に結構な量の下剤が入っていく。
下剤が全体の5割くらい入ったあたりで私は理解した。
絶対に5分我慢できないということに。
選択肢は3つだ。
①. ハンサムの私は突如我慢できるアイディアをひらめく。
②. 仲間が助けてくれる。
③. ベットで漏らす、現実は非常である。
◯をつけたいのは②だが残念ながらそもそも仲間が居ない。仲間が居たところでこの問題に対してなにができるのか。
やはり、ここは①しかないようだ。
浣腸が終わると同時に中身の残った点滴を片手にトイレに向かう。
「5分我慢してください!」と制止しようとする看護師を「トイレで我慢するから!!」と振り切る。
めんどくせぇ患者の判を押されたくないが故に看護師には協力的に接してきた私の初反抗だ。
思わぬ反撃に面をくらったであろう看護師達は思わず道を開ける。
今にも倒れそうなキャスター付きの点滴スタンドを片手に早すぎず、遅すぎずの速度でトイレへ向かう。
あとはトイレの個室が埋まってないことを祈るのみ。
私はトイレを我慢する時にいつも中学生時代のことを思い出す。
中学生だった頃の中間テスト、ろくに勉強してなかった私はすぐに解答できる問題がなくなり終了時間まで暇を持て余していた。
そんな時に廊下から流れてくる異臭に気づく。 よくない臭いだ。
クラスメイトが少し遅れてザワつきだす。
「これって…アレだよね…?」誰かのそんな声が聞こえる。
そしてテストの終了の合図があり白紙同然のテストを提出した私は臭いの元を辿って教室の外へ出る。
隣のクラス、隣のクラスと廊下を進むほど臭いの強さと同級生達のザワつきが増していく。
臭いの発生源と思わしき教室の前に自分と同じように野次馬の生徒が何人かいた。私もその教室の様子を廊下から覗き見る。
その教室ではほとんどの生徒がなにかを避けるように窓際に集まり、一人の男子が席に座りながらシクシクと音を立てて静かに泣いていた。
彼がなぜ泣いていて、なぜ他の生徒達が蜘蛛の子を散らしたかのように席を離れていたのか。
詳細はあえて全て語らずとしておこう。
ここまでの話の流れで読み取っていただきたい。
ただ、彼は受験という人生において大事な時期を控えた中学生であるということは忘れないであげてほしい。
どんなに臭くともテストで100点取れればそれは文句無しの100点である。
我慢できずに席を離れればそれは無と化してしまうのだ。
良い高校を目指すのであれば内申点に響く中間テストの点数を取り逃すことはできないだろう。
彼は一時の恥を受ける覚悟で未来に繋がる100点を選んだ。
もし自分が彼と同じ立場なら我慢できずにテストを諦めてトイレに行ってしまうだろう。
彼は細い体つきだったが、見た目に反してタフな精神力の持ち主だった。
ただ一つ、疑問なのは「なぜ彼は私と同じ高校に通ってたのか」だ。
おいおい!貴重な中学生時代という青春のカードを切って、良い高校に通うんじゃなかったのかい~!?(ズコー)
話はすっかり逸れたが、そんな中学生の彼に思いを馳せつつトイレを目指す。
無事、トイレの個室は空いていた。
もし5分我慢し、ギリギリの状態でトイレに駆け込むも個室が空いてなかったらどうするつもりだったのだろうか?
今となっては知る由もないが、勇気ある強行突破は間違いではなかったようだ。
トイレまでの移動に約1分かかった。
あとは便座に座って4分我慢するだけだ。
残り4分。
頭では理解していたが尻は無情にも30秒も持たずに限界を迎え、体内から下剤だけが出ていく。
対戦ありがとうございました。
看護師に顛末を正直に話せば浣腸がやり直しになるのは目に見えていたので「もうバッチリです」とだけ答えておく。
ともかく手術の前哨戦ともいえる、私VS浣腸はノーお漏らしで無事フィニッシュを迎えた。
大勝利!
手術本番
看護師さんに付いてオペ室まで歩きで向かう。
オペ用のエリアに入ると急に人の気配がなくなり雰囲気が変わる。
オペ室に入り心電図を胸に取り付けると「ピッ ピッ ピッ」と私の心臓の鼓動に合わせてオペ室全体に心拍音が鳴り響く。
これがなかなか恥ずかしい。
手術の担当医師に挨拶したり体を触られたりすると身体が緊張し、心拍音が早まって尚更恥ずかしさが増すので深呼吸をして鼓動を落ち着かせる。
「大丈夫ですからね~、麻酔したらすぐ眠くなりますから~」と患者の緊張を解そうと柔らかい口調で話しかけられる。
執刀医からサポートの看護師が皆いつもよりもワンランク上の柔らかい口調で私を緊張させまいとする努力にプロ意識を感じる。
子供の頃に初めて歯医者行った時もこんな感じだったなぁと思いだす。
まずは背骨の中心あたりに局所麻酔を刺し、そこから全身麻酔を流すらしい。
全身麻酔が効き始めると私が眠り始めて手術が始まるという流れ。
つまり局所麻酔を耐えるのが唯一の私にできるミッションで、あとは目覚めたらベッドの上ですということ。
局部麻酔をするために背中をアルコールで消毒してもらうが、なんだか思ってたより念入りに拭かれる。
「ピッピッピッピッピッ」と早まる鼓動が室内に鳴り響く。
消毒が終わると手術台の上で横向きになり、お腹を抱えるようにうずくまって背中を突き出す。
突き出した背骨と背骨の隙間を通って長い注射針が刺さっていく。
既に麻酔が効き始めてるので痛くはないが異物感がすごい。
刺してる注射に対して、のけぞらないように背中を突き出す姿勢を維持しないといけないのだが体の防衛本能が働いて刺さっている針を体が拒否する。
もし我慢できずに背中を伸ばしてしまえば、そのまま注射針を体に刺したまま折ってしまいかねない恐ろしい状況になるので、できる事と言えば「ぐお~」と小さい声で呻いて時間が過ぎるのを待つだけ。
「ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ」さらに早まる鼓動のBPM。
ここまでくると恥ずかしさよりも情けなさが上回る。
しばらくすると針が抜かれ、苦悶ともまた違う何とも言えない時間が終わる。
そしてここで眠てしまったようで綺麗に記憶がない。
彼女がスト5のトレーニングモードをやってる夢を見て、若是空の立ち強Kカウンターヒットからの中P→大Pターゲットコンボができた!と喜んでいたところで「手術終わりましたよ~」と医者に起こされる。
悪い夢ではないので苦痛とかはなかったのだろう。
チラッと見たらいつの間にか下の毛が剃られてT字帯を履かされていた。
なにも言われてなかったので下の毛は剃らないで進むもんだと思ってたいたが、恐るべしオート前田慶次システム。
移動式ベッドを押されて元に居た病室に戻るのだが、ベッドから結構なスピードと揺れを感じて吐きそうになる。
あと30秒走ってたら吐いてたかも。
手術後
こっから地獄
なんか体に色々装備されている。
酸素マスク 苦痛度★★
手術後は呼吸が上手くできず息苦しいので2時間ほど酸素マスクをつけるのだが、なんと酸素マスクしても息苦しい!
30分ほど付けたが、こりゃ苦しい!たまらん~!と看護師の居ぬ間にこっそりマスクを外してみたら自由に息ができる。
こりゃおかしいな?と思って酸素マスクのチューブを辿ってみたら自分の頭で酸素チューブを押しつぶしていた。
そりゃ苦しいわけだ。
チューブを戻しても呼吸はあまり変わらず、やや苦しい。
苦しいけど酸素マスクの時間は短いので★★です。
心電図モニター 苦痛度★★
胸から三カ所と指先を細長いコードで初代ゲームボーイ(単3電池4本入り)くらいの大きさと重さのモニターに繋げられる。
これ自体に痛みはないが、ベットで寝転がってるだけでコードが絡まるしゲームボーイ部分が角ばっているため、うっかり寝返りで挟むとまぁまぁなダメージを受ける。
じっとしてれば無害ではあるが、手術跡の癒着を避けるためにある程度ベットでもゴロゴロしないとダメなので厄介なヤツ。
2日間くらいつけっぱなし。
散歩の時はめちゃめちゃ邪魔なので苦痛度★★★になる。
ドレーン 苦痛度★★★
いつの間にか手術跡のすぐ脇腹に刺されているチューブ。
特に説明もなかったのでなんのためのチューブかよくわからないまま刺してた。
どうやら体内に貯留した血液・膿・浸出液らを排出しているらしい。
悪いヤツじゃないけど履き替えたパンツがドレーンのあった部分だけ見事に汚れてたので★★★にしてやった。どうだ!こんにゃろ!
尿道カテーテル(尿の管) 苦痛度★★★★
チ〇チ〇(以下クララ)の先っちょからチューブが繋がって尿を排出する。
もぉ~~~~~~~不快っ!!!!
付けている間はずっっっと残尿感。
尿を貯めておくパックがベッドの右脇にあるのだが私のクララは左寄りなためパックに尿が貯まるほど右に引っ張られて辛い。
ちなみに点滴スタンドがベッドの左側にあるため起き上がる時はさらにクララが右に引っ張られる。辛いよぉ~~!
それを見た担当医師が看護師を呼び出し「尿パックは点滴スタンドと同じ方向に設置しないとダメでしょ!若い人だったら勃起しちゃって苦しいからねぇ!」と医師と看護師が私のクララを挟んだ状態で説教が始まる。
いや、先生~!私のクララも朝は立ちますから~~~!!!
立たない前提で話進めないで~~~~!!!!!
フットポンプ(足マッサージマシン) 苦痛度★★★★★
足に血栓ができないようにモミモミしてくれる良いヤツ。
ただ48時間はさすがに揉みすぎだろ。
良い事でもやりすぎるとダメってことを教えてくれる最たるマシーン。
人の生み出した業。
寝ても覚めてもウォ~~~~ン(モミモミ♪)と音がするのも辛い。
対策として耳栓があると多少マシ。
私の場合は下半身への麻酔が強かったため12時間程度足が痺れっぱなしな上で揉まれ続けるので非常に辛かった。もう二度とやりたくない。
屁 苦痛度★
看護師に「おなら出た?」と定期的に聞かれる。
「出ないです」と答えると、お腹を動かすために頑張ってしてくださいね。と言われる。
ただトイレに行けない状況なので屁をするきっかけでトイレ行きたくなったらどうするか聞いてみたら「ここでするしかないですね」とまさかの返答。
思わず私の中の烈海王も唸る。
と、いうことで手術は術後の方が大変って事を身をもって体感しました。
まぁ~~~~じで、健康第一っス
医療従事者の皆さんに感謝を込めて、これにて尿膜管遺残日記は終わり!!!!
アヴドゥル…
イギー…
臍…
終わったよ……
完
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