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2025年大河ドラマは EdoYear!香司の視点から見る江戸の生活
大河ドラマは江戸の町民と吉原をどう描がく?
今年の大河ドラマは、江戸中後期の町人文化を描く「べらぼう」。主人公となる「蔦屋重三郎」は好きな人物の中のひとり。まさか大河の主人公として描かれることになるとは全く思っていませんでした。あの発想と行動力はどのような形で形成されていたのか~毎週……まだ初回のみ拝見~録画貯めていますので、今から楽しみにしています。
お香の専門家、香司の視点から見る大河ドラマ
去年の大河ドラマははじめて平安時代を描いた「光る君へ」でした。お香が貴族の生活の中では欠かせない時代であったため、どのように表現されるのか興味深く拝見していました。注意深く画面に目を凝らすと、香炉がしつらえの中にそっとお置かれておりましたが、話の中では数えるほどしか描写されておらず、香司仲間の間では「日常すぎて描かれなかったのかもしれない」と話していました。
今年の「べらぼう」でも実はお香が深くかかわっている時代。貴族や武士のものだったお香が、一般庶民~町民に根付いたのがこの江戸時代。線香が開発され広く普及し、町の旦那衆に組香(香り当ての遊戯、香り比べ)が一大流行していました。一般の町民へも「伽羅の油」(香料を使用した鬢付け油)といった香り付きの鬢付け油が流行ったり、匂い袋を持ち歩くなどするように変化しました。
遊郭とお香の関係
遊郭とお香は密接な関係にあります。江戸時代は毎日お風呂に入るわけではありません。ましてや、女性が多く生活する吉原でもそれほど環境の良くない~格差の大きい場所でした。遊女の最上の身である太夫はともかく、多くの遊女の入浴頻度はかなり少なかったのではないでしょうか。そこで登場するのが「お香」です。お香のかおりは体臭をやわらげ、より魅力的な香りを纏い客を迎える…ということで、遊女はお香を身に付けていました。平安時代のように衣や髪に焚き染めるのではなく、お香を入れた袋に紐を付けて首から下げる「掛け香」(匂い袋)を装着していました。
また「丁子風炉」という現在のアロマポッドのようなものを用いてお香(丁子)を焚き、お歯黒どぶから来る悪臭を中和させるといったこともしていたようです。
その様子は多くの浮世絵に描かれています。こちらも「光る君へ」の時と同じく、日常に使用する装身具でありつつも表面に見えるアイテムではないため、身に付けている様子がドラマの中で写されているか~は、今後の楽しみとしておきたいと思います。
(タイトル画像に使用した浮き浮世絵の女性はお香を装備しています。※別投稿でご説明予定)
第1話の表現で物議と賛否をかもしている今年の大河「べらぼう」。
江戸時代好きでもある私には様々な視点で楽しんでゆける一年になりそうです。おそらく、お話の中で表現されることはないと思いますが、お香に関するものが映って居たり、語りたい場面が出てきましたら、こちらで語らせていただきたいと思っております。
また、昨年の「光る君へ」で登場したお香についても折に触れ投稿していこうと思っておりますので、目に留まりましたらフォローしていただければ幸いです。