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【ショートショート小説】さしすマガジン令和7年2月号③【月イチ企画】
はじめに
お待たせしました。AIの考えた文章を盛り込んだショートショートを作る企画。私、雨隠日鳥の番でございます。細かいことはさておき、本文をどうぞ。※少し短めです。
本文
それは、偶然だった。だから私は最初、気のせいだと思った。
まさか。そんな。ありえない。思わず足を止めて、私は呆然と見つめていた。
何気ない日常。ありふれた日々の中で私は君を見つけた。街角で偶然会った君の姿は、まるで幻のようだった。そして、またもや遠くに行ってしまった。
「見つけた」
幻。そうでなければ白昼夢だろうか。
ずっと、ずっと探していた。五年前のあの時からずっと私は君のことを想い続けていた。
「……っ!!」
勤めている会社への出勤なんてどうだってよくなって、私は君を追いかける。君の今の容姿は既に覚えた。君が着ていた衣服も目に焼き付けた。
ごく普通のサラリーマンといった感じだ。その薬指に銀のリングがあることには驚いた。君がもう家族を作っているだなんて、驚きだった。
何年もずっとずっと探していたのだ。だから一度ヒントを手に入れた私が、君を探し出すことなんてそう難しいことでもなかった。
のほほんと生きている君を見つけて、私はどうしようもなく嬉しくなった。
ああ、良かった。貴方が居てくれて。貴方がまだ生きてくれている。あの日、突然消えてしまった貴方を私はずっと、ずっと探していたのだ。
なんて声を掛けようか。普通に話しかけるのではやはり芸がない。君には盛大なサプライズをしなければ。これは私の気持ちで、そして私の兄の気持ちでもある。何年越しのこの気持ちを一体どうやって君ぶつけようか。
なんて。そんな妄想をするだけで思わず笑みを漏らしてしまう。
それからの日々は、毎日が幸せで幸せで仕方がなかった。これまで以上に貴方のことを想う日々が続いた。
私の考えたサプライズは、君にどんな表情を浮かべさせることができるのか。期待で胸が膨らんだ。
色々と下調べをして、色々と準備をして、貴方の家まで特定してようやく準備が整った。
「ふふっ、ふふふっ、あはははははっ!!」
家の中で、そんな風に笑ってしまって、苦情が来たけれど、まぁそんなことはどうだって良かった。
君と最も思い出深い日付を待って、私は君の家のインターホンを鳴らした。宅急便を装って貴方を誘い出す。
そうして、私はようやく貴方と顔を合わせた。
「久しぶり。私のこと、覚えてる? 今日のこと、覚えている?」
君は驚いて、慌てふためいて、取り乱してくれた。その表情は、私の望むものとは少し違ったけれど、それでも良かった。君はちゃんと私のことを覚えていてくれた。それがどうしようもなく嬉しかった。
最初のサプライズは、少し衝撃が強かったらしい。だけどそんなことはお構いなしに、君を連れて、私は山奥へと向かった。
ずっと、ずっと用意していた秘密の場所へ連れて行って、思いつく限りのサプライズをした。
君は感動して涙を溢れさせてくれた。だけど、それだけじゃあ足りない。私の気持ちは収まらない。もっと、もっと、もっと。そう思っている内に、君は疲れて眠ってしまった。
まぁ、仕方ないと言えば、仕方がない。君は最後の最後まで、絶えず叫んでいたのだから。
最後の別れ際、君の瞳に映る私の顔が、もう二度と見られないと思うと、心が張り裂けそうだった。
だけど、もうこれで終わりだ。終わったのだ。ようやく。
お別れをした後、日付が変わるギリギリに放ってしまったけれど、私は兄のお墓参りをした。
君がいたこと、沢山のサプライズをしたことを報告した。
それから数日後。いつもの日常に戻った私は、いつもの満員電車の中で、不意に君の顔が浮かび、思わず笑ってしまった。
――山奥で身元不明の男性のバラバラの遺体発見。強い恨みを持った者の犯行か。
※エモい言葉で全然エモくないことをしよう、という意図で作成しました
さしす文庫 note月イチ企画
令和7年2月号:AIお題ショートショート
作:雨隠日鳥
お題
・「街角で偶然出会った君の姿は、まるで幻のようだった。そして、またもや遠くに行ってしまった」
・「満員電車の中で、不意に君の顔が浮かび、思わず笑ってしまった」
・「最後の別れ際、君の瞳に移る私の顔が、もう二度と見られないと思うと、心が張り裂けそうだった。」