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【ショートショート】もしもの話



「もしもさ、明日地球が滅ぶとしたら、お前何する?」



「え、なに。急に。」

「や、ちょっと聞いてみたくて。」

「ベタすぎね?」

「えええーベタでいいじゃん。ほら、何するよ。」

「えー。あー。なんだろうな。お前なら?」

「めっちゃ寿司食う!」

「馬鹿すぎね?」

「最高じゃん?最後は好きなもの食いたいでしょ」

「そういうもんか」

「そういうもんだよ」

「俺はなんだろうな。誰かと笑ってられたらそれでいいかな。」

「え、」

「なんだよ」

「いやなんかお前らしくないなと思って」

「何期待してたんだよ」

「めっちゃ肉食う、とか」

「お前の中の俺馬鹿すぎね??」

「そういえば聞いた?」

「なにが」

「俺らでよく行ってた焼肉屋あったじゃん」

「ああ、駅前のな」

「そそ。あそここの前、肉盗難にあったんだって」

「まじで?」

「まじまじ。近くのやつからきいた」

「ほんとにいたんだ。肉食いたいやつ」

「そこは『馬鹿すぎね?』じゃねぇのかよ」

「持ちネタみたいに言うなよ」

「あと2時間くらいか」

「腹減ったー」

「えー。まじで寿司食うか?」

「どしたの急に」

「や、なんか話してたら食べたくなってきた。」

「わかる。でもどこもやってねーべ?」

「ねーな。俺らも盗むか」

「寿司を?」

「寿司を。」

「あれって握る人いないとさ」

「あそっか。」

「馬鹿すぎね?」

「お前がいう?」

「なんだと」

「てかこんな話してて大丈夫なの」

「なんかあった」

「お前らんとこ呼ばれたんじゃなかった?」

「あー。いや、なんか色々あったっぽくって」

「大丈夫なの」

「うん。大丈夫」

「ならいーけど」

「お前こそどーなん」

「んーなんかこっちもムズいっぽくて」

「やっぱ全員は無理よなぁ」

「人数少なすぎんだよね、あれじゃ」

「朝なんかディズニーの開演前みたいになってた」

「まじ?そんなやばいんだ」

「だからもう無理かなって」

「諦めんなよ」

「ディズニー行きたかったな」

「分かるわ。行っとけばよかった。」

「彼女いなかったしなぁ」

「そこかよ」

「そこだよ」

「今どーなってんだろうな」

「逆にやってたりしてな!」

「ありえる。ディストピア的な」

「もう的でもないけどな」

「俺でも最後お前と喋れればいいかな」

「なにそれ」

「いや最初の質問のやつ」

「ああ。恥ずくね?」

「恥ずい。」

「まぁ俺もそれでいいかもな。」

「だろ?」


「久しぶり、最近どーよ」

「こっちはもうギリギリだな」

「まぁ、楽しかったよ。退屈はしなかったな」

「もしも。もしもな」

「もしお前が生きてたらってたまに考えんだけど」

「こんな会話になんのかなって。」

「もう数年前だけどさ」

「多分お前こんな話し方してただろ?」

「まぁーでもなぁー」

「まぁ最後までこんなことしてんのもなぁ」

「最高に馬鹿すぎるっしょ?」

空から青白い星が降りてきた。
それが奇しくも涙のように見えてしまって
ひとりで笑ってしまった。



【ショートショート】もしもの話

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