明治20年創業 「素麺の新しい愉しみ方のブランド化」への挑戦 #販路開拓
はじめに
株式会社SASI DESIGNと実際のクライアント様のプロジェクトをご紹介します。
ただのモノのデザインではなく、「経営自体をデザイン」し、「経営者の想いを具体化」するための伴走を、是非ご覧ください。
【クライアント】
菅哉物産株式会社
【課題】
消費動向の変化や卸値の安値化による低利益率化
【ソリューション】
素麺をオリジナルつゆと愉しむブランド化による付加価値の向上。それによる販路開拓
国民的ブランド「揖保乃糸」を手掛ける菅哉物産
国民的なブランドである、「揖保乃糸」。兵庫県手延素麺共同組合による商標であり、菅哉物産株式会社は組合に所属する企業の一つです。
その歴史と高い技術力から、組合が指定した数軒の熟練した製造者しかつくれない、揖保乃糸の高級シリーズである「特級」も製造する菅哉物産ですが、近年の消費動向の変化や卸値の安値化による経営状況の悪化という課題を抱えていました。
そこで経営自体をデザインするため、戦略プロデューサーを含むSASI DESIGNとチームを組み、「もっと、素麺の丁寧で様々な愉しみ方を知ってほしい。」という菅野社長の想い=アイデンティティを具現化し、今まで以上に価値のあるものを、より多くの方に届けるための「素麺の新しい愉しみ方のブランド化」への挑戦が始まりました。
私達が知らない素麺
揖保乃糸は、600年前から続く、伝統的な手延べ製法で製麺されます。
素麺はとても繊細なため、短時間で強引に細く引き延ばそうとすると簡単に切れてしまいます。
そのため縒りをかけながら無理なく引き延ばし、熟成させた後、また再び延ばす必要があります。
私達がよく知っている揖保乃糸は、この「熟成」と「延ばし」の工程を繰り返し、人の手で、手間暇を惜しまず、11工程の末、完成します。
また素麺は熟成の期間によって、新物(一年)、古物(二年)、大古物(三年)と分かれ、それぞれのどごしや歯ごたえ、つゆとの相性が変化します。
素麺の新しいブランド化にあたり、まず熟成することで食味が増すということを、今まで以上に消費者に伝えるため、これらの食味テストを実施し、ブランディングの可能性を探すところからプロジェクトはスタートしました。
いくつかの麺種によってコシやのどごしが違い、好みによって食べ比べることができる揖保乃糸。
さらに、ほとんどに共通して見えてきたのは、「古物(二年)、大古物(三年)はつゆとの絡まり具合が抜群にいい」ということ。
このことから、より熟成され洗練された素麺=熟成素麺という概念の啓発に力を入れるため、「時を愉しむ素麺」というブランドイメージが明確になりました。
さらに国民食であるラーメンのように、つゆと、麺種と年数による麺の組み合わせの愉し方を提案するブランドを展開することが決まり、菅哉物産とSASI DESIGNでそれぞれの熟成素麺の特性を愉しむためのオリジナルつゆの開発に至りました。
デザインコンセプト
より正確に菅哉物産のアイデンティティをデザインするために、麺種による食味テストの他に、他産地の素麺との食味テストも実施しました。その際に際立ったのは、「揖保乃糸の白さ」です。
品質の高い他産地の素麺もあるなか、真っ白なパッケージを使用したのには、その揖保乃糸の白さを表現する想いが込められています。
また特注の真っ白なパッケージには熟成素麺が二束入る、米袋を特注し、「米袋を縛る紐を結う」という動作を追加することで、見た目の高級感の他に、手作り感、おいしさも表現しました。
ロゴデザインは菅哉物産の「す」を大きく、上品に表現。これは素麺の持つ伸びやかでありながら、豊満なイメージを込めており、さらに金箔で印刷することで、「熟成された上質な素麺である」ことを印象付けました。
販路開拓への歩み
素麺の全く新しいブランドとして生まれ変わった熟成ごち素麺は、リニューアルオープンした菅哉物産公式webショップ「山海庵」で、9/16より予約販売が開始しています。
私達がよく知る素麺の、丁寧で様々な愉しみ方を是非一度ご体験ください。