オンキヨーの苦闘とe-onkyo musicの終焉:ハイレゾ音源と音楽配信市場の変遷
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さて、今回はe-onkyo musicです。
どんなサービスだったか
e-onkyo musicは、2005年に開始された日本初のハイレゾ音源配信サイトです。当初は11曲の音源からスタートし、最終的には69万曲以上のハイレゾ音源を提供する国内最大級の配信プラットフォームに成長しました。ハイレゾ市場の先駆者として、ジャズ、クラシック、J-POP、アニメ・ゲーム音楽など、幅広いジャンルを超高音質で提供していました。特に、32bit(整数)やDSD11.2MHzの音源まで対応し、オーディオ愛好家をターゲットにしていました。
どういう経緯で始まった事業だったのか
e-onkyo musicは、オンキヨー株式会社が自社のオーディオ技術を活用し、急成長するハイレゾ音源市場に対応するために始めた事業です。2005年当時、CDを超える高音質音源への需要が高まっており、オンキヨーはそのトレンドに乗り、市場のパイオニアとして参入しました。オンキヨーの技術力と「音のこだわり」を活かし、デジタル音源市場の中でも高音質に特化したサービスを提供しました。
誰が作っていたサービスだったか
このサービスは、オンキヨー株式会社(後にオンキヨーホームエンターテイメント)が開始し、2021年にはフランスの音楽配信大手Xandrie S.A.が運営するXandrie Japan株式会社に譲渡されました。譲渡後も運営は続けられましたが、オンキヨーグループ全体の経営難が事業への影響を与えました。
なぜ上手くいかなかったのか
e-onkyo musicが上手くいかなかった理由は、いくつかの要因が重なっています。
ストリーミングサービスの台頭
SpotifyやApple Musicといったストリーミング型の音楽サービスが急速に普及し、特に若年層を中心に「音楽を所有する」ことよりも「ストリーミングで楽しむ」トレンドが主流になりました。これにより、ダウンロード型サービスの需要が次第に低下していきました。ハイレゾ市場の限定性
ハイレゾ音源のターゲットはオーディオマニアや音質にこだわる一部の層に限定されており、一般的な消費者市場にはなかなか広がりませんでした。高額な専用機器が必要なことも、普及の妨げになりました。オンキヨーグループの経営難
親会社であるオンキヨーの経営状況が悪化し、グループ全体で十分な投資ができない状況に陥りました。e-onkyo music自体の収益性も、限られたニッチ市場に依存していたため、資金繰りが厳しくなったと考えられます。競争激化とコスト問題
ハイレゾ音源の配信には高いコストがかかり、これに見合った収益を確保するのが難しかったことも一因です。特に、Qobuzや他の国際的なハイレゾ配信サービスとの競争が激化したことが影響しました。
サ終後の譲渡先はあるか
e-onkyo musicは、サービス終了後にフランスの音楽配信プラットフォーム「Qobuz」に統合されることが発表されています。Qobuzは、約1億曲以上のハイレゾ音源を提供予定で、e-onkyo musicのアカウント情報や購入履歴は引き継がれるため、ユーザーは引き続きサービスを利用できます。Qobuzはストリーミングとダウンロードの両方を提供しており、さらに多様な音楽体験が可能になります。
参考リンク:
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