Amazonが終了した主要サービス一覧【2024年版】競合との比較と市場動向
小売・消費者向けサービス
• Amazon Destinations: 小旅行の計画や予約ができるサービスとして2015年に開始されましたが、わずか6ヶ月で終了。競合にはExpediaやBooking.comといった、より広範な旅行予約サービスが存在しており、Amazonが旅行市場で十分なシェアを獲得するのは困難でした。
• Amazon Wallet: Amazonポイントやギフト券を管理できるアプリとして2014年に登場しましたが、利用者が少なく、終了しました。競合としては、Apple PayやGoogle Wallet(現Google Pay)などのモバイル決済サービスが既に広く浸透しており、Amazon Walletはその波に乗れなかったと言えるでしょう。
• Amazon WebPay: 個人間の送金サービスとして2009年頃に提供されましたが、他の決済サービス、特にPayPalが市場を支配していたため競争に苦しみ、最終的に終了しました。現代ではVenmoやCash Appのようなモバイルベースの送金サービスが主流となっています。
• Endless.com: 女性向けファッションに特化したeコマースサイトでしたが、2012年に終了。当時、ZapposやASOS、そして後に登場したファッション専門のサブスクリプションサービス(Stitch Fixなど)との競争が激化しており、Amazonがこの市場で特に強みを発揮することはできませんでした。
• Amazon Restaurants: 2015年に始まったレストラン料理のデリバリーサービスは、競合の台頭により2019年に終了。特にDoorDash、Uber Eats、GrubHubといったプレイヤーが急成長しており、Amazonはデリバリーサービスでの競争に勝てませんでした。
• ポップアップストア: 一時期、87店舗ものポップアップストアを展開していましたが、2019年3月に全店舗が閉鎖されました。Amazonがオンラインでの強みを持つ一方で、ポップアップストアは一時的なプロモーションに留まり、オフラインでの戦略には結びつきませんでした。従来の実店舗型小売業(WalmartやTarget)とは異なるアプローチでした。
テクノロジー関連サービス
• AWS DeepLens: ディープラーニング対応のビデオカメラで、2024年1月31日にサポート終了予定。専門的なAIハードウェアとして登場しましたが、Google CloudのAutoMLやNVIDIAのJetsonシリーズといった、より強力で柔軟なプラットフォームが台頭し、競争が激化していました。
• Amazon Honeycode: ノーコードでアプリを開発できるプラットフォームも2024年2月29日に終了予定。AirtableやNotionといった、より幅広い用途に対応するノーコード・ローコードツールが競合しており、市場の中でAmazon Honeycodeの差別化が難しかったと言えます。
• AWS OpsWorks: サーバー設定管理サービスとして、ChefやPuppetと競合していましたが、これらのツールの普及とDockerやKubernetesといったコンテナ管理ツールの台頭により、OpsWorksの役割が限定的になっていき、2024年5月26日にサポート終了予定です。
• AWS CodeStar: アプリケーション開発支援サービスで、2024年7月31日に終了予定。JiraやGitHub Actions、GitLabなどの他の開発支援ツールが人気を集める中、CodeStarは市場でのポジショニングが難しかったと考えられます。
• AWS Application Cost Profiler: マルチテナントアプリのコスト分析サービスとして、2024年9月30日に終了予定です。DatadogやNew Relicといった、より強力なモニタリングおよびコスト分析ツールが台頭しており、顧客がこれらのツールに移行したことが要因と考えられます。
• AWS IoT 1-Click: IoTデバイスの管理を簡素化するサービスで、2024年12月16日に終了予定。IoT市場では、Microsoft Azure IoTやGoogle Cloud IoT Coreといった強力な競合が存在し、Amazonのサービスは差別化が難しい状況でした。
• Amazon Tap: ポータブル版Alexaスピーカーで、2018年末に販売が終了しました。Google HomeやAppleのHomePodなど、競合他社も音声アシスタント搭載デバイスを次々に投入しており、Amazon Tapはその中で大きなシェアを獲得できませんでした。
その他のサービス
• Askville: 2006年から2013年まで運営されたQ&A掲示板サイト。Yahoo!知恵袋やQuoraといった他のQ&Aサイトが市場を支配しており、Askvilleは特に大きなインパクトを残すことができませんでした。
• Music Importer: ローカルに保存された音楽をクラウドで再生できるサービスでしたが、2015年頃に終了しました。Apple MusicやSpotifyのようなストリーミングサービスが圧倒的なシェアを占め、音楽をクラウドにアップロードして管理するスタイルは需要が低下しました。
• Test Drive: Androidアプリをブラウザ上でエミュレートできるサービスとして提供されましたが、約4年で終了。Google Playストアの充実やAndroidデバイスの普及が進み、エミュレートの必要性が薄れていきました。
• Unbox: 2006年に開始された動画ダウンロードサービスでしたが、NetflixやHuluといったストリーミングサービスの普及により、ダウンロード型のビデオ配信サービスは需要が減少し、短命に終わりました。
Amazonの戦略的判断
Amazonは、常に市場の変化を敏感に察知し、利用者が少なかったり、戦略的に重要でないサービスを迅速に終了させることで、リソースを他の成長分野に振り向けています。特に2024年には複数のAWSサービスの新規顧客受け入れ停止を発表し、大きな注目を集めました。Amazonは今後も新たなサービスを展開しつつ、競争が激化する領域ではリソースの最適化を図る姿勢を見せ続けるでしょう。
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