王道楽土と極楽浄土【名詞】paradise(ジョン・トーランド『大日本帝国の興亡』)
辻政信の理念を紹介した一文より。
いわゆる「王道楽土」を a Buddhist paradise と訳しているのが興味深い。
私も詳しくはないが、「王道」は儒教の概念だろう。
とはいえ「極楽浄土」ではより現実的ではなくなってしまうから、ここではあえて「仏教徒の楽園」と訳したが、もちろん満州国の国教が仏教だったわけではない。
著者はそのあたりのことを踏まえて、あえて分かりやすくキリスト教の天国と対比するために a Buddhist paradise としたのだろうか。
というように、日本の歴史について、外国人が外国人のために書いた英文の不自然さを説明するために、それをあえて和訳してみるのもおもしろい。
ちなみに原題の The Decline and Fall of Japanese Empireというタイトルは、ギボンのThe History of the Decline and Fall of the Roman Empire (『ローマ帝国衰亡史』)へのオマージュではないかと思うのだが、この本の邦題『大日本帝国の興亡』は誤訳だと思う(これがホントの「興亡も筆の誤り」)。
大日本帝国が興るところは書かれてないから。あるいはメインタイトルの Risingをタイトル織り込んだのだろうか。
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