処女性と可用性【名詞】Availability
YouTubeの動画Japan's MOST SHOCKING Weather Girl OUTRAGE(日本のお天気お姉さんのショッキングな炎上事件)(2023)より。
日本の文化が海外でどう評価されているのか、という動画をいろいろ観ていたら上がってきた。
なお、上の引用は文字起こしとディクテイションによるものなので、正確かどうかは分からない。
私は全然知らなかったが(似たようなニュースは多いのでスルーしていただけかもしれないが)、去年大変なことになっていたみたいなのである。今さらだが。
説明不要かもしれないが、オタクっぽさをアピールしていた二十代後半のお天気お姉さんにテニスプレイヤーの彼氏がいて大炎上、所属会社の株価も下がった、Why, ジャパニーズピーポー!? いったいなんて国だ!というドキュメンタリー?である。
気になったのは、availability 。これは訳すのが難しい。試しに上の文章をまるごとGoogle翻訳にかけたら「可用性」と出た。これはこれでなんだか生々しい。何に用いるつもりだ。
簡単に言うとavailability とは、「空いてますよ」「どうぞご利用ください」ということだ。
この場合の availabilityとは、「もしかしたら自分も彼女と付き合えるかもしれないという可能性」のことだと思う。私はアイドルにのめり込んだことがないのでその心理はよくわからないが、あるいは「特定の誰かのものではなく、永遠にみんなのものであってくれる可能性」なのかもしれない。そして後者を心から望んでいる人だけが真のアイドルオタク足り得るのかもしれない?
ところで、同じ「事件」を扱った別の動画を観ていたら、ほぼ同じ構成で、同じようなタイミングで例の丸刈り謝罪の画像が紹介されていた。本人にとっては不本意かもしれないが、彼女はこの東洋の島国の特異な現象を表すグローバルなアイコンとなったのだ。
あと、outrage は北野武やスラッシュ・メタルの印象をお持ちの方もおられるかもしれないが、「炎上」のことだそうだ。以前 shitstorm という単語について触れたが、outrageの方がメジャーらしい。
この場合の outrage は第三者による激しい怒りを意味する。
shitstorm は文字通り「ク◯の嵐」で、これも外部からの攻撃だ。
しかし「炎上」は第三者による放火とも自爆とも明言していない。いずれかの行為の結果しか示していない。責任の所在がはっきりしない。
なんだかこのテーマで比較文化的な話が一本書けそうである。
なにしろアイドルとはそもそも不特定多数のファンがいて成り立つ商売だから、一対一で付き合える可能性はほぼ皆無なわけたが、それでも「もしかして」と一縷の望みを抱くことができるのが真のアイドルオタクなのだろうか。それとも、たくさんのファンが支えてこそ成り立つアイドルを、その一員として仲間意識を持ちつつも誰よりも熱く応援するのが真のアイドルオタクなのだろうか。彼らはどのように共存しているのだろうか。うまく棲み分けているのだろうか。あるいは個人の中にその2つの要素が矛盾することなく同居しているのだろうか。不義を犯した?対象へのアウトレイジは、嫉妬なのか、それとも欺瞞や裏切りへの懲罰欲求なのか。ちなみに件の動画では、このような現象は西洋では起こり得ず、日本や韓国など東アジアでは一般的だとしていた。以前読んだ従軍慰安婦についての本によると、東アジアでは慰安婦は戦後その過去を隠さざるを得ず、故郷に戻ることもできなくなることもあるが、東南アジアでは逆に賠償金を受け取るために次々と名乗り出てくるという報告がなされていた。また、今読んでいるエマニュエル・トッドの家族システムに関する本によると、アフリカでの例を挙げて「女性の性的自由は男性支配と父権制のレベルに反比例する。女性たちへの監視と抑制の弱いところではHIVウイルスの広い伝播を許す」としている。未婚女性の処女性がその社会でどのように捉えられているかということが、この問題にも関わっているのかもしれない。