新しい大衆小説と神経漫遊者(ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』)
読み始めてしばらくして、ふと「ニューロマンサーってネクロマンサー(死人使い、降霊術)のもじりだったのか!」と気づいた。
調べてみると、半分当たっていた。
ウィキペディアによると、あとの半分は New Romance (新しいロマンス)をもじったもの、ということらしい。この場合の「ロマンス」とは、恋愛小説というより、大衆小説のことだろう。
次に、「ニューロン(神経)」はわかるけど、「マンサー」って何さ?と思って語源を調べてみたら、ラテン語で manteía「予言、占い」のことだった(注1)。へぇー。神経占術師?
それはともかく、「ニューロマンサー」ってちょーかっこいい。
造語で、ダブルミーニングで、ひとつのジャンルを代表するタイトルでもあるのだ。
私もこういうタイトルを作ってみたい。
『ニューロマンスカー』というのはどうだろう。サイバーパンクと、新しい大衆小説と、新しいロマンスカーのトリプルミーニングである。
新型ロマンスカーのロマンスシートに座った初老のカップルハッカーが、パンタグラフから小田急電鉄のメインコンピュータをハッキングして、首都圏を大混乱に陥れるSFパニック小説である。
伊坂幸太郎さんとか小川哲さんとかになら、このタイトルとプロットを売ってあげてもいいよ(死ぬほどいらねーよ)。
映画化するなら主演は真田広之さんと薬師丸ひろ子さんの『里見八犬伝』ペアを希望する(知らねーよ)。
注1. 『松岡正剛の千夜千冊』では「ニューロ・マンサー(神経的人間性)」としているが、これはおそらく誤りだろう。mancer を man の派生語ととったのだろうか。「ニューロマンサー 意味」で調べるとトップに出てくるけど、いいのだろうか。ちなみに中国語では神经漫游者,神经唤术士と表記するらしい。苦労がしのばれる。