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タブレット虐待
帰宅して、いつものようにタブレットの電源ボタンを押す。
うんともすんとも言わない。
長押しするとメーカーのロゴが出るが、立ち上がらない。
安物とは言え、まだ買って半年にもならない。このままくたばられたのでは、さすがに収まりがつかない。
「寝たふりしてんじゃねーよ」とばかりに長押しを何度か繰り返していて、はたと気付いた。
もしかしてバッテリー切れでは?
コンセントにつないでみると、電源は0%だった。
胃の中に何も残ってないのに、叩き起こされ、けなげにもロゴマークを表示し続けていたのである。
にもかかわらず、私は暴言を吐き、ムチ打って働かせようとしていたのである。
『フランダースの犬』とか『小公女セーラ』でもこれほど無慈悲な虐待はなかったのではないか。
とんでもない因業ジジイである。
私はそっとタブレットの亡きがらを抱き取り、滂沱の涙にくれたのであった……(勝手に殺すな)。