『ユリシーズ』と『ドルアーガの塔』はちょっと似ている【伝承】Will o’the wisp
20世紀を代表する小説のひとつとされながら、難解すぎて読破する人がほとんどいないことでも有名な『ユリシーズ』より。
主人公のひとりブルームが、友人の葬式に参列中、墓守はどうやって女を口説くのか?について考えている場面である。
なかなかの不謹慎である。まあ文学とは、人間とはそういうものではあるのだが。
ご存じない方には、どこらへんが世紀の傑作なのかを、この抜粋からお伝えするのはなかなか難しいし、私もまだよくわかっていないが、今回気になったのはウィル・オー・ザ・ウィスプである。
この名前を初めて知ったのは、ファミコン版『ドルアーガの塔』(1984)だった。
悪魔に囚われた巫女(彼女)を救うため、王子ギルが謎と魔物に満ちた60階建ての塔に登る、名作アクションRPGである。
そして、各階で制限時間を過ぎると出現するのが、無敵の青い火の玉ウィル・オー・ウィスプである。
今回このゲームについてウィキペディアや開発秘話、回顧談など色々な記事を懐かしく読ませていただいたが、衆目の一致する評価は、今も昔も変わらず「理不尽だが名作」というものだ。
各階に隠された宝箱の出現方法が、文字通りノーヒントで脈絡もないからだ。もしかすると、「理不尽」という言葉を知ったのも、このゲームからかもしれない。
とはいえ私も昔ずいぶん遊んだ。実兄は、今でもときどき60階まで登るという。たぶん60歳になっても60階まで登り続けるだろう。
しかし一方、若い人たちや海外のゲーマーの間では、この面白さはあまり理解されないらしい。
だって理不尽なんだもの。
そういう意味で、『ドルアーガの塔』と『ユリシーズ』はちょっと似ている。