実践編 Dwevoでいろいろやってみよう! (中編)
この記事は、「実践編 Dwevoでいろいろやってみよう!」の中編だ。前編の続きであり、引き続きDwevoを使う新たなゲームを考えてみる。前編で書いた情報を使用することがあるので、まだ見てない方は先に前編を読んで欲しい。
できたら、なるべく前編の記事にも貼ってあるDwevoの考案者である珍ぬさんの記事も読んでいただくとありがたい。
Dwevoの各サイコロの名称やDwevoに関する用語は、前編と同じものを使用する。また、今回からは特定のサイコロを指す時、単に前編に載せたリストで付けられたサイコロの名前だけで呼ぶことにする。すぐに確認したい方は手持ちに用意しておこう。6が1面だけのサイコロはA、全面が1のサイコロはZ、という感じだ。ちなみにßは特別な全面が空白のダイスだ。基本的にゲームには使われないが、バリアントルールとして既存のゲームに組み込んだり、あるいは特別な扱いを受けるサイコロとして使うこともあるだろう。今回は出番アリなのでどういう活躍をするか見届けて欲しい。
それでは、早速3つ目のゲームを作ってみよう。
ゲーム③ スキルを駆使して資金を稼げ!
すぐに気づいた方もいるかもしれない。これはDwevo考案者である珍ぬさんの記事に単純な例として書いてあるダイスゲームが元になっている。
早速そのルールをここに載せよう。(※元々のルールをかなり改造している。原型はあるが、根本的な変更(勝利条件の変更など)もあるのでご了承頂きたい。)
必要なもの:Dwevoセット、袋、「資金」「BP」を管理できるもの(メモ、チップ等、2種のポイントを混ざることなく管理できれば何でもよい)
人数:2〜5くらい(理論上は無制限)
ルール:
〜準備〜
Dwevoセットを袋に入れ、予めプレイヤー間で勝利となる「資金」の数を決める。ここでは「資金」の単位は「G」とする。勝利となる資金の量の目安は30Gほど。プレイヤーは均等に5Gの初期資金を受け取り、何らかの方法で順番を決める。
〜ゲーム開始〜
準備が終わったら、ゲーム開始となる。順番となったプレイヤーは手番を行い、手番を終えたら次のプレイヤーの順番へ移る。
〜手番〜
手番では大きく「スキルの発動」「サイコロの購入」「サイコロを振る」「出目の処理」「手番終了」の5つに分かれる。
① スキルの発動(ほぼ任意だが一部強制)
手番となったプレイヤーは、後述する「BP」を消費して様々な「スキル」を発動できる。(最初はBPが0なのでスキル使用はできない)
BPが足りるならば、いくつスキルを発動させてもいいが、同じスキルは1手番に1度しか発動できない。
しかし、一部の状況で強制的に発動させないといけないスキル、特定のスキルと併用できないスキルも存在する。
② サイコロの購入(強制)
発動するスキルを選んだら、プレイヤーは資金を消費してサイコロを購入する。基本的に1G=1個で、複数購入も可能だが、最低1個は購入しないといけない。ただし袋の中にはサイコロが29個しかないので1度の手番で30個以上購入することはできない。資金で購入した個数だけ、袋からランダムにサイコロを取り出す。
③ サイコロを振る(強制)
購入して取り出したサイコロを全て振り、出目を確認する。
④ 出目の処理(強制)
基本的には出目の合計と同じ数だけ資金を、0の面の数だけ「BP(Blank Point)」を得る。ただし、発動したスキルの条件を満たせば、その効果に応じて獲得量が増加する。
⑤ 手番終了(強制)
資金とBPの獲得を終えたら、振ったサイコロを全て袋へ戻し、資金の総数を確認する。
勝利となる資金の数を超えていればそのプレイヤーが勝利、超えていなければ次のプレイヤーへ順番が移る。
(用語や単位は仮に付けてみたものであり、気に入らなければ変えても良い。また、数値も全て暫定的なものである。)
あとはスキルを追加すればひとまず完成だ。さて、どのようなスキルを追加するべきだろうか……
緊急破産回避 1BP
手番開始時に資金が0Gだと強制発動。この1BPを消費して即座に1G得る。それ以外の状況では発動できない。
このスキルを発動させなければならない時、BPが足りるならば他のスキルと併用して発動させてもよい。
とりあえず資金が尽きてしまった時に詰まないためのスキルを用意しよう。資金が尽きた時、必ずBPを獲得していることを利用した詰み回避法だ。ただし、BPが1しかないと2以上の出目が出るまでサイコロを1個振る以外何も出来なくなってしまい、かなり厳しくなる。
サイコロ指定 1BP
購入して袋から出すサイコロを1つだけ好きに選べる。
1つだけサイコロを指定できるスキルだ。とりあえずZなどを確保して他スキルの効果を発動させる流れが多くなりそうだ。
資金ブースト・1 2BP
出目1が出た場合、その数だけさらに資金の獲得量を1G増やす。
BPブースト・1 3BP
出目1が出た場合、その数だけさらにBPの獲得量を1BP増やす。(資金の獲得量は変わらない)
というわけで出目1関連のスキルを作ってみる。1の目は全体の27%はあるのでBPを増やせるスキルも用意してみた。指定スキルでZを確保し、他の数多くのサイコロにも含まれる1を狙うコンボが考えられそうだ。
資金ブースト・2 6BP
出目2が出た場合、その数だけさらに資金の獲得量を3G増やす。
2が実質5になる強力なスキルだ。しかし、2の出目は全体の15%ほどしかないのでそれだけではなかなか安定しない。いかにK,Lの2が3面あるサイコロや2が2面あるサイコロを引けるかが勝負となりそうだ。
コピー&ペースト 3(〜9)BP
直前のプレイヤーの手番で振ったサイコロの種類・出目を1つだけ宣言し、1Gを支払い(出目を出した者に支払うわけではない)購入することで自分が降った結果とすることができる。このスキルを使用する際は相手の手番終了時にサイコロを袋に戻す前にその旨を伝えてサイコロを残してもらうこと。ただし、基本的に消費BPは3だが、出目が3以上のサイコロをコピーする場合は消費BPが3+出目の数となる。
直前のプレイヤーの結果を利用する変わったスキル。誰かが6を出したらみんな流用してぐるぐる回り続けそうなので高い出目の時は消費を重くしてみる。
お得なセール 5BP
3Gで4個サイコロを購入することが出来る。ただし、この方法で購入出来るのは6G8個まで。端数や9個目以降は通常価格で計算する。
福袋 8BP
5Gで8個サイコロを購入することが出来る。ただし、この方法で購入出来るのは1度だけ。9個目以降は通常価格で計算する。
サイコロを購入すると考えている時に何故かスーパーの光景を連想し思いついたスキル。「おひとり様2パックまで」のイメージまで反映させてしまった。ついでにおひとり様1袋までの福袋も入れてみた。
資金ブースト・3+ 12BP
サイコロを1つしか購入出来なくなるが、3以上の出目が出た場合出目の2倍の資金を追加で獲得する。
お得なセール・福袋との併用は不可。(複数購入が不可なので意味がないため)
3以上の出目が出れば資金の獲得量が実質3倍になるとんでもないスキルだ。しかし、サイコロを1つしか購入出来ないという代償と非常に重いコスト、そして全体の1割ほどしかない3の目以上が対象と、非常にハイリスクハイリターンなスキルになっている。選択スキルでDやGを選ぶと少しでも確率を増やせるが、それでも1/3しかない。コピー&ペーストとの併用が可なので大量にBPを持っていたら5や6をコピーして確実に大量の資金を獲得出来る。やっぱり対策するべきか……?
とりあえず思いつくスキルを一通り考えてみた。BP消費のバランスや、細かいスキル内容の調整などなど、様々な修正は必要だと思う。さらに新たなスキルがいくつか現れるかもしれない。個人的には1〜2BPの軽いスキルがもう少し欲しいと思う。いい案ください。
とりあえず、BPを使って資金を貯め、貯めた資金でBPと資金をインフレさせていく様子から、
Dwevo Profit TYCOON(デュエボ プロフィットタイクーン)(略称DPT)と名付けた。DTPの更なる発展には君の手がかかっている!
tycoonは「(日本国)大君」(徳川将軍のこと)が語源となっており、「実力者」「大物」の意味を持っている。利益をどんどんインフレーションさせていくゲームにこの語が付きがちなのだ。「なんかすごそう」だから全部大文字にしてしまっている。
ゲーム④ Dwevoが盤面!?陣取りxすごろくゲーム
さて、4つ目のゲームは今までのゲームとはかなり異なる雰囲気となっている。というのも、なんとDwevoを(ßも含めて)盤面として扱うからだ。どういうことか、以下のルールを見てみよう。
必要なもの:Dwevoセット+ß 全30個(ある程度大きいサイズであるとプレイしやすい)、普通のサイコロ(混乱の防止のためd6を振ると記述する)、プレイヤー人数分の駒、持ち主を区別できるトークン 各5〜10枚ほど(半透明だとプレイしやすい)
人数:2〜4程度
ルール:
〜準備〜
DwevoセットからAを取り出し、ßと共に避けておく。そして、それ以外のDwevoセットを全て振る。
そして、ßを左下、6の目を上に向けたAを右上に置き、残りは振った出目を変えないようにランダムに縦5*横6の長方形に並べる。
それが今回のゲームの盤面となり、左下のßが「スタート」、右上の6の目のAが「ゴール」となり、他のサイコロは「マス」となる。
適当な方法でプレイヤーの駒と順番を決めて準備完了。
〜ゲーム開始〜
最初に全てのプレイヤーの駒を「スタート」に置く。
各プレイヤーは順番が来たらd6を振り、出た目と同じ「行動力」を得る。ただし誰も制圧していない目のあるマスに居る場合は、行動力を得る代わりに「制圧」に挑むことが出来る。手番で行うのはその2つのいずれか一方である。
行動力を得た場合、プレイヤーは行動力を1ずつ消費して上下左右に自由に1マスずつ移動することが出来る。行動力は必ずその手番中に使い切らなければならない。誰かが止まっているマスは自由に止まることも通過することも出来る。盤外には行けないが、望むなら同じ場所を往復して行動力を消費しても良い。ただし、「自分が制圧していない目のあるマス」を「通過(そのマスから出ようとすること)」する場合は、その目の数だけ余分に行動力を消費しないといけない。行動力が足りない場合はそのマスから出られずこのマスで(行動力を使い切り)止まったことになる。(※出目のあるマスから出るには自分が制圧するか、出目+1以上の行動力が必要であることに留意すると良い)
「ゴール」は「出目6のマス」として扱い、一度入ったら出ることや制圧することは出来ない。誰かがゴールマスに入ったらそのプレイヤーを除いてあと一巡各プレイヤーが手番を行い得点計算に移る。その時に後追いでゴールへ入っても良い。
「制圧」に挑む場合、d6を振って出た目がマスの目を超えていれば(同じはダメ)制圧成功となり、自分が制圧したマスとして自分のトークンをそのマスに置く。出た目がマスの目を超えていないならば制圧失敗となりこの手番では何も出来ないが、次の順番では(誰かに制圧されてなければ)また制圧に挑むことが出来る。
誰かが制圧したマスはゲーム終了まで取り消されない。
〜得点計算〜
誰かがゴールマスに止まり、その後の一巡の手番が終わったら得点計算に移る。得点は、次の式で算出される。
得点=制圧したマスの目の数の合計-現在地からゴールまでの距離の最短マス数(目のあるマスによる行動力減少は無視し、あくまでも縦横移動で純粋な最短マス数を数える)
ただし、速攻でゴールへ向かうプレイヤーが現れるのを防ぐため得点がマイナスになる場合は0点で留まるとする。得点が一番高いプレイヤーが勝利となるが、該当するプレイヤーが2人以上いる場合は制圧した目の数の合計が多いプレイヤーが勝利となる。それも同じ場合は高い出目のマスから制圧したマス数を比べ、差があった時点でそのマス数が多いプレイヤーの勝利、全て同じ場合はその複数のプレイヤーが勝利とする。
写真は盤面の一例だ。自分が自作したもののようにサイコロが小さくて置きにくい場合はサイコロ同士をソーシャルディスタンスさせてサイコロの周りに周囲との配置状況が混合しないように置けばいいだろう。
実は適当に上の写真のようにDwevoセット(+ß)を長方形に並べてみたら思いついたゲームなのである。
写真の盤面では左下に目があるマスが広く広がっていたり、ゴールを守るように目があるマスが配置されたりしているが、もちろんこのような配置だけでなくDwevoセットの出目やランダム配置によって様々な特色の盤面が現れるだろう。
障害物(目のあるマス)を通らないゴールへの一本道が出来る可能性もあるため、すごろくではあるが1番にゴールした場合の獲得点が直接的には与えられない。あくまでも目のあるマスを制圧することが重要であり、ある程度制圧を行いつつ、他のプレイヤーの制圧が進む前にゴールへ向かう判断をいつ行うかが重要となりそうだ。
止まったマスを「振り直して」出目を変えてしまうなど、サイコロで盤面が出来ているからこそ出来る行動も面白そう。
恒例のとりあえず命名の時間にしよう。
Dwevo Area Acquisition Race(ドゥエボ エリアアクィジションレース)(略称DA²R)
「エリア獲得レース」……もっといい感じの案あればお願いします。ついでに追加要素、ルール改善案、その他諸々も大歓迎。
期待値は1、でも本当は∞
前編と合わせて、合計4つのゲームを考案してみた。どれも1度はサイコロを振っているが、そのゲーム性はどれも大きく異なっていると思う。
「期待値が1」という性質を利用しているか否かでも大きく異なるかもしれない。
④に至っては利用しているのはむしろ「種類数」や「目の数の割合」である。
Dwevoは様々な種類のゲームを作れる可能性を秘めている。「期待値は1」だが「ある意味では∞」なのだ。
ちなみに、Dwevoは期待値が1のサイコロのセットである。とある複数の種類のサイコロのセットで遊ぶボードゲームは、自分が知っている中では「ダイス麻雀」や「UNO DICE」などがあるが、Dwevoはそれらとは違って様々な遊び方を作ることが出来る、カードで言うとトランプのような存在なのだ。
つまり、Dwevoはいわば「汎用ダイスセット」なのである。
最初かどうかは分からないので他の「汎用ダイスセット」がもしあれば教えてください。めっちゃ気になります。
トランプや「FESCA」、「セブン」を初めとする「汎用プレイングカード」とは違い、かなり癖があり既存のダイスゲームのルールをそのまま持ってくることは難しいが、Dwevoなりのオリジナルゲームはまだまだ沢山作れそうである。
全面が1のZは、「それ単体」だと何も意味を成さないジョークグッズになってしまうが、「Dwevoセットに混ざる」ことでゲームで問題なく扱えてしまうのだ。Dwevoの本質は「期待値が1のサイコロのセット」であることではないだろうか。(異論は認める)
さて、一旦自分からのゲーム考案は終わりにするが、前編・中編で考案してきたゲーム、そのルールはいわば「α版」である。何かしら大小様々な、中には致命的な欠陥が見つかる可能性もあり、今後もアップデートされる可能性がある。あるいは、この記事を見てくれているあなたがアップデートするかもしれない。そのような批評・意見・提案等は遠慮なくどんどん自分に送って頂きたい。
もちろん、Dwevoを使った新たなゲームも大歓迎だ。バリアントルールもいいぞ!
そういう意味では、この前編と中編は未完成である。自分がこれを「完成」させられるかは分からないが、この「実践編 Dwevoでいろいろやってみよう!」を見てDwevoを作り、いろいろやってみた方がさらに現れたら、とても嬉しい限りだ。
待て、まだ続きがある
……と終わりそうな雰囲気を醸し出しているが、「後編」がまだ残っている。後編ではようやくパズルの考案に移る……とは言ったものの、実は自分は恥ずかしながら「パズル」と「パズルゲーム」の違いを正確に区別することができていない。もしかしたら「1人用ゲーム」の考案になっているかもしれないのでご了承頂きたい。
あと、これまでどういう訳かめちゃくちゃノリに乗って2日に1本のペースでnote記事を投稿し続けているのだが、自分はパズルを解くのにめちゃくちゃ時間がかかるタイプなので、かなり遅い投稿となる予定だ。その間に、軽い記事がいくつか挟まるかもしれないが、どうか気長に待って頂きたい。
そして……
みんなも、Dwevoを作っていろいろやってみよう!
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