とある5月
「そもそも。Aくんについては、私がたまたま彼を気に入って、声をかけたことが始まりだ。予想以上にAくんが私のことを気に入ってくれて……という結果をもたらしたため、私がはじめたことはきっかけに過ぎず、もはやこちらが執着する必要はないのだ。
私は自分をちやほやしてくれる存在がいれば十分なのであって、今までも他の人でその恩恵は受けていた。
Aくんはたまたま私の理想通りだったから、逃すまいと執着していたが、そもそもしなだれかかり、相手からの評価で自分の価値を測ること自体がまちがいだったのだ。
自分がしたいように、今まで通りに色々な人にちやほやされたいし、Aくんがいなくても私は一人でも楽しい。
ただ、一緒にいると「もっと」「別の次元での」たのしさがあるということを知っただけだ。」