2年間の透析治療で感じたこと
私はSLE(全身性エリテマトーデス)の悪化により腎不全を発症し、腎移植が必要になりました。
しかし、当時はコロナ禍で手術をすぐに受けられず、腎移植までの2年間、透析治療を受けていました。
今回は、透析を受けて感じたことや大変だったことについてまとめてみます。
腎臓の役割
まず、なぜ腎不全を起こした患者が透析を受ける必要があるのか、腎臓の役割から説明します。
腎臓の主な役割
腎臓の主な役割は以下の通りです。
体に溜まった余分な水分や塩分、老廃物を尿として排出する
体内の水分や電解質(例:ナトリウム、カリウム、リン)のバランスを整える
血圧を調節する
ビタミンDをつくり、骨を丈夫に保つ
赤血球をつくる働きを助ける
このように、腎臓は私たちの体を正常に保つためにとても重要な臓器です。
腎臓が悪くなると
腎臓の働きが悪くなると、体に老廃物や水分が溜まり、以下のような症状が現れます。
体の浮腫み
血圧上昇
貧血
これらの症状が進行すると、心臓の機能が低下したり、意識障害や呼吸困難などの尿毒症(腎臓が機能しないために毒素が体に溜まる症状)が起こり、最悪の場合、死に至ることもあります。
腎臓は一度悪くなると回復の見込みがほとんどありません。
そのため、透析が必要になるのです。
透析治療とは
透析治療とは、腎臓の代わりに血液から老廃物や余分な水分を取り除き、血液をきれいにする治療法です。
透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」の2つがありますが、今回は私が経験した「血液透析」に絞ってお話しします。
血液透析とは
血液透析は、腕のシャントという血管に針を刺し、体外に取り出した血液を透析器(ダイアライザー)を通して老廃物や余分な水分を取り除き、きれいになった状態で体内に戻す方法です。
一般的に、血液透析は週に3回、1日4時間のペースで行われます。
シャントについては別の記事で詳しく説明しています。
透析を経験して
水分管理
まず、透析で大変だったのは水分管理です。
透析患者は腎臓の働きが低下しているため、尿が十分に排泄できず、体に水分が溜まりやすくなります。
私の場合、一日に少し尿が出ていましたが、1日の水分摂取量は食事も含めて2000ml以下に制限されていました。
透析患者にはドライウェイトと呼ばれる体重の目安があり、その体重まで水分を排出する必要があります。例えば、ドライウェイトが70kgなら、透析と透析の間で体重が72kgを超えないように食事と水分量を調整します。72kgを超えると、その分だけ透析時間を延ばさなければなりません。
水を自由に飲めないのはとても大変でした。また、鍋など水分が多い食事も控える必要があったため、飲食を自由に楽しむことができなかったのが特に辛かったです。
透析中の低血圧
血液透析では、体から水分を取り除くため、透析中に血圧が下がりやすくなります。低血圧になると吐き気やめまい、動悸などが生じ、透析を中断しなければならないこともありました。その場合、十分に水分が排出できず、次の透析まで水分制限がさらに厳しくなることもあります。
こうした事態を避けるため、透析中は30分おきに血圧を測定します。また、ドライウェイトの管理も重要で、体重の増加に気づかずにいつもどおりに透析を受けると、低血圧が起こりやすくなるため、体重の変化に応じた調整が必要でした。
私も何度か透析後や透析中に血圧が下がってしまい、倒れそうになったことがあります。帰宅途中に立ちくらみがして、しばらくその場で座って動けなかったこともありました。
透析時間
週に3回、1日4時間も透析に費やさなければならないのも大変でした。透析は座って受けることも可能ですが、血圧が下がりやすくなるため、透析中はほぼ寝たきりで、片手しか動かせません。体勢を変えることもあまりできず、体が痛くなることも多く、この時間はとても長く感じました。
幸い通院していた病院にWi-Fiがあったので、iPadで映画やアニメ、YouTubeを観たり、音楽を聴いたりして過ごしました。テレビも置いてはありますが、私はあまり観ることはなかったです。
他の患者さんたちは会話を楽しむ様子もありましたが、私より二回り以上年上の方ばかりで会話にはなかなか参加できず、少し孤独感がありました。(最年少だったので、少し特別な気分にはなっていましたが…笑)
(2024.11.18 追記)透析日のスケジュールを記事にしました。
日常生活での体調の変化
日常生活でも体力が低下し、少し歩いただけで疲れたり、吐き気や立ちくらみを起こすこともありました。そのため、出かける際には親に車で送ってもらったり、友達にも家の近くで遊ぶよう配慮してもらいました。
この時に支えてくれた友人や家族には今でも感謝しています。
まとめ
以上が、私の透析体験です。
透析治療は腎臓の機能を補うための大切な手段ですが、患者には日常生活にさまざまな制約や負担が伴います。水分や食事の管理、透析中の体調変化、長時間の治療時間など、決して簡単なものではありません。
しかし、透析を通じて、健康のありがたみや周囲の支えの大切さを強く感じました。
今は腎移植をしたので透析を受けていませんが、この経験は私の人生にとって大きな教訓となっています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
感想や質問をお待ちしています。