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医療ドラマを観るときに気になる“現実との違い”

医療ドラマは、多くの人に愛されるエンターテインメントの一つです。緊張感あふれる手術シーンや心温まる患者と医師の交流、医療従事者たちの奮闘が描かれ、多くの視聴者を魅了します。

しかし、患者として観ると「こんなこと本当にあるの?」と思わず首をかしげる場面に出会うこともあります。

もちろん、ドラマはフィクションであり、リアリティを追求しすぎるのは野暮だと承知しています。
その上で今回は、患者の視点から見た医療ドラマの“現実とは少し違うシーン”をいくつか挙げてみたいと思います。

入院経験のある方々には、共感できる部分があるかもしれません。 



夜中に患者が病院を脱走するシーン

夜中に患者が病院を抜け出し、翌朝になってからいなくなっていることに気づく、という展開をドラマで見かけたことがあります。しかし、現実にはほぼ不可能です。

夜間は看護師が巡回しており、ナースステーションにも常駐しています。病院によっては1時間ごとに病室を確認することもあるため、朝まで気づかれないという展開はまずあり得ません。

一方、昼間に病棟を抜け出す展開は、少し現実味があります。私自身、病棟から病院内のコンビニに行く際、特に何も言わずに出かけていました(もちろん、事前に許可を取っています)。

そのため、「コンビニに行く」と言って最低限の荷物を持ち、そのまま病院を抜け出すことは可能かもしれません。(絶対にやらないでください。)


カーテンを開けっぱなしの病室シーン

ドラマでは、大部屋のカーテンが全開になっている病室をよく見かけます。

しかし、実際は患者のプライバシーを守るため、ほとんどの病院ではありえません。医師や看護師が訪問した際も必ずカーテンを閉めて退出します。

私の経験でも、病室でカーテンを開けっぱなしにしている人を見たことはありません。特に夜間は、プライバシー保護のため必ず閉じるのが一般的です。

このようなシーンは、視覚的な開放感を演出するためのドラマならではの工夫でしょう。


点滴を自分で抜くシーン

ドラマや映画では、急いで行動しなければならない状況で患者が自ら点滴を抜くシーンが登場します。

しかし、現実では点滴を抜くことは痛みを伴い、感染リスクもあるため、普通の人が簡単にできる行動ではありません。無理に抜くことで血管に損傷を与えたり、針が折れて血管内に残る可能性もあり、非常に危険な行為です。


患者や看護師が病院の屋上にいるシーン

医療ドラマでは、患者や医療スタッフが屋上で考え事をしたりするシーンがよく登場します。

しかし、実際に患者が病院の屋上に行くことはほぼ不可能です。屋上は通常、安全管理上の理由から立ち入り禁止となっており、多くの病院でアクセスが制限されています。

このようなシーンは、病院という限られた舞台にドラマチックな広がりを与えるための演出であり、視聴者の心を引きつける重要な要素と言えます。


手術直後に元気な患者が登場するシーン

ドラマでは、大手術を終えた翌日に患者が元気に会話したり、歩いてるシーンが描かれることもあります。

しかし、現実は手術後の回復に時間がかかります。痛みや倦怠感を伴うことが多く、数日間は安静が必要です。 

私が移植手術を受けたときも、傷口の痛みと倦怠感で動くことすら難しく、ベッドから起き上がるだけでも体力を消耗しました。会話をするだけで疲れてしまうほどで、ドラマのような元気な患者の描写にはあまり現実感がありません。


まとめ

医療ドラマは、感動やスリルを与えるエンターテインメントとして、現実とは違う部分があるのは当然です。しかし、患者の視点から見ると、「こんなシーンはないだろう」と思わず笑ってしまうこともあります。 

こうした違いを知ることで、現実の医療への理解が深まるとともに、ドラマの一味違った楽しさを味わうこともできます。次回医療ドラマを観る際には、現実とフィクションの違いに注目しながら、自分なりの視点で楽しんでみてはいかがでしょうか?

なお、この記事はあくまで個人の意見に基づいています。
実際に「こんなことがあったよ!」というエピソードがあれば、ぜひ教えてください。皆さんの体験談を聞いてみたいです。

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サーシー@SLE×腎移植
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