基礎疾患を持つ私のコロナ体験
2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、私たちの生活を一変させました。
私はSLE(全身性エリテマトーデス)という病気を抱えており、医師からは「感染すると重症化しやすいから特に注意して」と強く言われていました。また、腎移植後は移植腎に影響が出る可能性があるとも教えられていました。
SLEの治療には免疫抑制剤が欠かせませんが、免疫力が低下するため感染症のリスクが高まります。特に新型コロナウイルスは私にとって大きな脅威であり、日ごろからマスクの着用や手洗い、消毒を徹底し、外出を最小限に抑えながら感染予防に努めていました。
今回は、そんな私が新型コロナウイルスに初めて感染したときの体験についてお話しします。
コロナ感染の経緯
感染対策を徹底した日々の努力もあり、2022年末に腎移植を受けるまでの間、コロナに感染せずに過ごしていました。しかし、移植後の生活に慣れ始めた2023年8月、恐れていた事態がついに訪れたのです。
そのきっかけは、交際をしている彼女がコロナ陽性と診断されたことでした。陽性の連絡を受けたとき、すぐに病院に連絡し状況を説明しましたが、「発熱するまでは様子を見るように」との指示でした。
しかし案の定、翌日には38度を超える熱が出てしまい、再度病院に連絡。今度は「来院して検査を受けてください」と言われましたが、高熱で動けず、親に車で送ってもらいました。
コロナの入院生活
病院で検査を受けた結果、やはり陽性と診断され、即入院。部屋は個室で、治療のため一部の免疫抑制剤が中止され、ひどい倦怠感、高熱、筋肉痛、頭痛と闘いながら過ごしました。
点滴での治療が行われ、入院当日の夜には症状がある程度落ち着きましたが、この先コロナが重篤化しないか、SLEが悪化しないか、腎移植への影響がないかといった不安でいっぱいでした。
そんな中、唯一の心の支えが彼女との通話。彼女の優しい言葉に励まされ、少しだけ未来が明るく感じられたのです。
幸い、入院から3日後には症状が安定し、検査でも問題が見つからなかったため退院が許可されました。医療スタッフの迅速な対応には本当に感謝しています。
コロナの後遺症
しかし、退院後も困難は続きました。コロナの後遺症で味覚と嗅覚が失われてしまったのです。カレーのような香りが特徴的な料理も味が分からなく、「何を食べてもただの食感」という状態が続いたのは本当に辛かったです。
食事を楽しむことができない日々が3か月ほど続き、改めて「食べる楽しさのありがたみ」を実感しました。初めて味覚が少し戻り、焼き魚の塩気を感じたときの感動は忘れられません。
まとめ
今回の経験を通じて、感染症の恐ろしさを改めて痛感しました。
SLEという基礎疾患があるため、日ごろから感染予防を徹底していましたが、感染症を完全に防ぐことは非常に難しいことです。
そのため、私のような基礎疾患を持つ人々にとって重要なのは、病気にかかった後、どれだけ迅速に行動できるかです。体調のわずかな変化を見逃さず、すぐに病院に相談することや、指示を的確に守ることが健康を守る鍵になるのではないでしょうか。
今後も、自分の経験を深く共有し、同じような状況の人々に役立つ情報を発信していきたいと思います。
この記事が、誰かの不安を少しでも和らげるきっかけになれば幸いです。