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呪いの臭み #毎週ショートショートnote

「うわっ、なんですかこのにおい!」
 部室の扉を開けた僕は、強烈な悪臭に顔をしかめた。
「やあ、遅かったじゃないか」
 3年の先輩たちは卒業していき、部員はもう二人だけとなったオカ研部室。真っ黒なローブ(近所のホームセンターで買ってきた布切れで作ったもの)を身にまとった先輩が、グツグツと煮立った鍋をかき混ぜていた。

「先輩たちがいなくなったからって、自由過ぎですよ。今日はなんですか?」
 問いかけながら、締め切られた窓を開ける。外の風が気持ちよく流れ込んできた。
 
「今日はだね、にっくきリア充どもに破局の呪いをかけるポーション作りさ! 材料はニンニク、納豆に――」
 楽しそうに話す先輩の長い髪が風に揺れるのが微笑ましい。
「あの、先輩」
「あとはドリアンも――ん、なんだい?」
「服とか髪に、においついちゃいません?」
「なっ」
 慌ててローブや自分の髪のにおいを確かめる先輩。
「く、くさいかも……」
 涙目になっている先輩を横目に、僕は一人片付けを始めた。

「明日は悪魔召喚をやってみせるぞ!」
 いつの間にか元気になり、明日の話をする先輩と一緒に下校しながら、新入部員がこのまま入ってこなければいいのになと願った。

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たらはかにさんの以下の企画に参加しております。

今週は「呪いの臭み」と、ちょっとドロっとした雰囲気のあるお題だったので、甘酸っぱい感じをふんわり匂わせてみました。最初は、先輩には闇のあるお姉さんを想像していたのですが、だんだんと想像の中の身長が縮んでいってしまいました(笑)

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