告白水平線 #毎週ショートショートnote
「ねえ、ウミガメのスープって知ってる?」
下校中、綾は幼馴染の圭太にそう話しかけた。
「ああ、水平思考ゲームってやつだろ? YESかNOで答えられる質問で状況を絞り込む、みたいなの」
「それそれ。私さ、問題考えたから、やってみない?」
「すごいじゃん。いいよ」
「じゃあ、問題。アヤはケイタと遊んでいると、胸が苦しくなります。なぜでしょう」
圭太は、少し焦った様子を見せながら質問を始めた。
「な、なんだ、俺たちの名前そのまま使うのかよ。えっと、アヤは病気でしたか?」
「うーん、どちらとも言えない、かな」
「他の友達と遊んでいるときも苦しくなる?」
「NO」
「苦しくなる、っていうのは、ドキドキするっていうこと?」
「YES、かな」
それってもしかして。圭太は顔を赤らめながら頭に浮かんだ答えを投げかける。
「アヤは、ケイタのことが、好き?」
一瞬の静寂。
「――残念! 正解は、ケイタのチャックが開いてるから、でしたー!」
自分の股間に目をやった圭太は慌ててチャックを閉めた。
「そ、そういうのは早く言えよ!」
「ちゃんと閉めてないほうが悪いんでしょ!」
そう言い残し、綾は駆け出していった。
「……今日もちゃんと言えなかったや」
ため息交じりの独り言がどこかから聞こえた。
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たらはかにさんの以下の企画に参加しております。
水平、というところからウミガメのスープをテーマにしてみました。ちょっとタイトルとずれてると思われちゃうかな、と不安になりながらの投稿です。
ちなみに、ウミガメのスープといえばクイズYouTuberカプリティオチャンネルさん。クイズ作家さん作だったり、視聴者投稿型だったりで、良質で不思議なウミガメのスープを長らく紹介されています。ショートショート好きな方も楽しめるのではないでしょうか。
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