秘密警察を宣伝してみる #毎週ショートショートnote
「パパは秘密警察で、日本を守ってるんだぞ。 凄いだろう!」
休日の男は、誰にも打ち明けてはならないはずの秘密を、今年の春、小学校に入ったばかりの娘へ打ち明けていた。娘にかっこいい所を見せたいという見栄は、規則には勝てなかった。
「パパすごい! おうえんしてあげるね!」
娘はきらきらとした表情で、画用紙に何かを書き始めた。そこには、可愛らしく描かれた父親の似顔絵と、習ったばかりのひらがなで、応援の言葉が書かれていた。
『がんばれひみつけーさつ にっぽんまもるよ』
父親は破顔し、娘の頭を力強く撫でた。娘は、嬉しそうに目を細める。その可愛らしい絵は、玄関に飾られた。
ある日、仕事から帰ってきた父親は、玄関に飾ってあった絵がなくなっていることにき気づき、娘に問いただした。
「あのね、スーパーで、ちちのひで、パパのえをぼしゅうしてたから、もってった!」
そうかそうかと、娘を撫でようとした父の手は空中で静止した。
目を見開く父の携帯が鳴った。
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たらはかにさんの以下の企画に参加しています。
今週のお題、難しかったー!
秘密警察を宣伝しちゃうという状況を、ポジティブな宣伝の形で実現したくて色々考えた結果こうなりました。
まあ娘は「宣伝する」という意識は一切ないのですが……w
このあとパパはどうなったのか……。娘が悲しまない結果になればいいですね。
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