40.古墳群と花園の馬見丘陵公園
奈良県でお手軽にコバノミツバツツジに出会える場所は、香芝市・広陵町・河合町にまたがる面積56.2haの県営馬見丘陵公園です。馬見丘陵には国指定特別史跡の巣山古墳を含めて、約250基の古墳が集中しています。この古墳群と花をテーマにして、標高70m程度の東西3km、南北7kmに拡がっている広域公園です。ちなみに広域公園の面積は、50ha以上が標準です。1984(昭和59)年から整備が進められ、2012年に中央エリア、南エリアを含めて全面開園しました。
著者は、2017年4月20日のコバノミツバツツジがほぼ散ったあとと、2022年4月4日の満開近しの時期に訪問しました。中央口の駐車場に車を停めて、公園館で展示室を見てから、地図をもらってツツジの場所を確かめます。石畳のまっすぐな園路を少し進みます。
左手に入ると、そこはコバノミツバツツジの1つ目の群生地です。
古墳の丘に出ると、広々とした芝生に桜が咲き、なだらかな斜面の下に上池が見えます。
2つ目の群生地は、中央口の芝生の丘の後ろです。
3つ目の群生地は、訪問していませんが、より南側の臨時駐車場の脇です。
1979年と2021年の航空写真を比較すると、これらの群生地は元々樹林地で、コバノミツバツツジが自生していたと判断できます。
ただし、2017年4月20日に初めて訪れたときに、マクロ撮影していると、雌しべ下部の粒々に見える腺毛を発見します。トウゴクミツバツツジが混ざっていることに気づきました。
さらに2022年4月4日には、ホンミツバツツジも混ざっていることを確認しました。雑木林の高木を間伐した後、「ミツバツツジ」と記して注文して、補植したと思われます。このときに、植木業者がトウゴクミツバツツジやホンミツバツツジも混入したと考えられます。種名板が設置されて正確な種を観察する植物園ではないので、郷土種のコバノミツバツツジだけにしてほしいものですが、ここでは植えてしまったものは仕方がない、著者のようなマニアが観察しています。
奈良県の平野部はコバノミツバツツジ、標高数百mより上にはトサノミツバツツジが一般的です。従来トウゴクミツバツツジは、三重県・滋賀県境の鈴鹿山地以東に分布しているといわれてきましたが、奈良県内の曽爾高原の標高700mほどの場所でも見つかりました。
馬見丘陵公園は、多くの古墳群と年間を通じて様々な花が咲く、広々とした公園で、計4か所、982台の駐車場があります。南北7kmの公園なので歩きますが、近鉄田原本線池部駅から、緑道北口まで徒歩2分です。